1. 公的施設とは?
公的施設を運営するのは、主に地方自治体や社会福祉法人、医療法人などです。
国からの助成や税金の優遇を受けているため、安い費用で利用できるのが特徴です。
公的施設にはいくつかの種類がありますが、中心となるのが「介護保険施設」と呼ばれる施設です。
介護保険施設とは、介護保険制度に基づき、介護保険サービスを利用できる介護施設のことで、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院の3つがあります。
また、介護保険施設以外の公的施設には、ケアハウス(軽費老人ホーム)、養護老人ホームがあります。
それぞれの施設の特徴は、以下の通りです。
・特別養護老人ホーム
要介護3以上の方が対象。費用が安く、看取りまで対応する。入所までの待機期間は長い傾向。
・介護老人保健施設
在宅復帰を目的とした、リハビリを行う施設。要介護1以上が対象。特養待機者が暫定的に入所することもある。
・介護医療院
長期的に医療的ケアが必要な方が入所する。要介護1以上が対象。
・ケアハウス(軽費老人ホーム)
自立者向けの一般型と要介護者向けの介護型がある。低所得で一人暮らしの高齢者を対象とした施設。
・養護老人ホーム
生活環境の理由や経済的な理由により、自宅での生活が難しい65歳以上の方を対象とした施設。入所には地方自治体の審査と措置判断が必要。
2. 公的施設のメリット・デメリット
⚫️公的施設のメリット
公的施設は、国の補助を受けて運営しているため、民間施設よりも料金負担が少ないことがメリットです。
月額利用料も割安な場合が多く、ケアハウスを除く公的施設には、入居一時金がかからないため、費用を抑えて入居したい方におすすめです。
また、特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、所得の低い方が施設に入りやすいように、さまざまな負担軽減制度が用意されています。
⚫️公的施設のデメリット
公的施設のデメリットのひとつは、要介護度の入居基準が厳しいことです。介護保険施設では、要介護1以上の認定を受けた方が対象であり、民間施設よりも入居基準が厳しく設定されています。
また、民間施設よりも費用が抑えられることから、入居を希望する方が多く、申し込みをしてもすぐに入居できないこともデメリットです。
3. 民間施設とは?
主に民間企業が事業者となっている施設を民間施設と呼びます。
主な民間施設の種類は、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームです。
民間施設の設置基準や職員の配置基準、提供される介護サービスなどは、国の定める法律や基準などに基づいています。
また、公的施設にはない設備やサービスが整っており、利用者の希望に沿った手厚いケアを受けながら充実した生活を送ることができます。
主な民間施設の特徴は、以下の通りです。
・介護付き有料老人ホーム
入居者の状態にあった介護サービスを定額で受けられる。24時間のケア体制で、認知症や看取りなど幅広く対応。
・住宅型有料老人ホーム
介護サービスは、外部の介護事業者と契約する。イベントやレクリエーションが充実している。
・サービス付き高齢者向け住宅
高齢者向けの賃貸住宅。生活の自由度が高く、食事提供や安否確認などのサービスが受けられる。
・グループホーム
認知症の方だけが入居できる小規模な施設。入居するには同一市区町村に住民票があることが条件。
4. 民間施設のメリット・デメリット
⚫️民間施設のメリット
民間施設では、利用者の希望に沿った多様なサービスを提供しています。そのため、利用者のニーズに合わせて施設が選べることが民間施設のメリットと言えるでしょう。
例えば、有料老人ホームでは、介護・看護スタッフを増やし、手厚い介護や医療を特徴にしているところもあれば、リハビリの専門職を手厚く配置して、質の高いリハビリテーションを提供する施設もあります。
また、民間施設は、施設の数が多いため待機期間が短く、比較的早く入居できることもメリットです。公的施設にすぐに入れないため、空きが出るまで民間施設に入居しながら待つ人も多くいます。
⚫️民間施設のデメリット
一般的に民間施設の費用は、公的施設よりも高額になる場合が多いことがデメリットです。
施設ごとに設備やサービスレベル、人員体制に差があるため、予算によって生活の快適度や満足度が変わってくることも理解しておきましょう。
また、民間企業が運営する施設のため、経営が悪化した場合には、事業譲渡や倒産もあり得ます。
5. さいごに
介護施設や老人ホームにはさまざまな種類があるので、違いや特徴がわかりにくいと思います。
施設探しをする時には、情報を整理しながら進めていくことが大切です。その第一歩として、まずは「公的施設」と「民間施設」の違いを理解しておくと良いでしょう。そして、それぞれの中で、入居する本人の状況や希望条件に合わせて、最適な入居先を見つけていきましょう。