家族や被介護者がいる家庭では、洗濯物が大量に出ます。特にシーツや毛布といった大物も頻繁に汚れがち。大物洗濯は干すのにも体力が必要なうえ、梅雨などの雨が多い時期は室内で干すとしても場所が限られてしまいます。そこで力を発揮するのが、乾燥までを全自動で行ってくれる洗濯乾燥機の存在です。洗濯乾燥機にもいろいろな製品がありますが、少しでも洗濯の手間を軽減するためにはどのようなものを選べばよいのでしょうか? 今回は忙しいケアラー向けの洗濯機の選び方について家電ライターが説明します。

1. 洗濯乾燥機を選ぶポイントは「ラク」だけじゃない!

洗濯で一番時間がかかるのが「干す」作業ですが、この面倒な作業までをすべて自動で行ってくれるのが洗濯乾燥機です。乾燥機能まで搭載した洗濯機はその分高額になるため、「自分がラクをするために買うのは贅沢なのかも?」と導入をためらってしまう人もいます。
 
しかし、乾燥機能付き洗濯機のメリットはラクができるということだけではありません。天候に左右されずに洗濯ができるのはもちろん、タオルや毛布などは外に干すよりもフワフワに仕上がるメリットもあります。
 
また、外干しは洗濯物に花粉や黄砂、pm2.5などの汚れが付着する心配もありますが、洗濯乾燥機なら、もちろんそんな心配もありません。そのうえ、洗濯機乾燥は乾燥時に熱を加えるので除菌もできるなど、じつは家族の健康維持のためにもメリットがあります。ケアラーにおススメしたい洗濯乾燥機には4つのポイントがあります。それが「ドラム式」「大容量」「ヒートポンプ」「便利機能」というキーワードです。
洗濯乾燥機を選ぶポイントは「ラク」だけじゃない!

2. 乾燥までを自動化したいなら断然ドラム式洗濯乾燥機

現在主流の洗濯機には大きく縦型とドラム式の2種類がありますが、乾燥までを全自動で行いたいなら、選ぶべきなのは間違いなくドラム式です。ドラム式の洗濯槽は地面に対して垂直に回転するため、衣類を天井まで持ち上げて下に落とすような動き方をします。そのため、衣類が自然に広がり、温風が衣類全体にいきわたるので効率的な乾燥が可能になります。
 
一方、縦型は地面に対して平行に回転するため、洗濯槽の遠心力で無理やり衣類を持ち上げて乾燥させます。このため、衣類が洗濯槽に押し付けられて効率よく風を当てることが難しいうえ、乾燥後もシワにやりやすいというデメリットがあります。
乾燥までを自動化したいなら断然ドラム式洗濯乾燥機

3. 世帯人数が少なくても可能な限り大容量を選ぶべし

ドラム式を選ぶ際、予算と設置場所に余裕があるならば、可能な限り大容量タイプを利用するのがおススメです。その理由は2つあります。1つめは、ドラム式は「回転で衣類を天井に持ち上げて落とす」動きが基本なため、ドラムの直径が大きい方が汚れ落ちがよく、乾燥時にシワになりにくい傾向があるということ。そしてもうひとつの理由が大物洗いに強いということ。少人数世帯でも毛布やカーテンといった大物の洗濯物は存在するため、一人暮らし世帯であっても大容量タイプを選ぶことに越したことはないのです。

4. 電気代と衣類への優しさを考えるならヒートポンプ式

最後にチェックしてほしいのが乾燥方式です。一般的な洗濯乾燥機は、ヒーターによる熱風で衣類を乾燥する「ヒーター式」を採用しています。ですが、洗濯を頻繁にするケアラーにおススメしたいのは、エアコンと同じ仕組みである「ヒートポンプ式」。ヒートポンプ式は空気中の熱をギュッと圧縮することで温風を作り出すため、ヒーター式の半分以下の電気代で乾燥ができます。

ヒートポンプ式のメリットは電気代だけではありません。ヒートポンプはエアコンの「除湿運転」と同じ方法で衣類を乾燥させるため、衣類に当てる風がヒーター式よりかなり低温(60~70℃前後)になります。このため、乾燥機能を使っても衣類を傷めたり縮めたりしにくいというメリットがあります。そのうえ、衣類から出た湿気を水(結露)に変換して排水するので、洗濯機を設置した部屋の湿度や温度がそこまで上がらない、というメリットもあります。


パナソニックのドラム式洗濯乾燥機で比較するとこの通り。標準コースで半分以下、省エネコースなら3分の一以下に電気代を抑えられています

電気代と衣類への優しさを考えるならヒートポンプ式

5. 洗剤自動投入は一度使ったら手放せない機能、IoT機能も人によっては重要

ドラム式でおさえておきたい基本ポイントは以上ですが、それ以外の「イマドキ機能」もチェックしておきましょう。とくにあると便利なのは液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能。洗濯物の量に合わせて最適な量の洗剤を投入してくれる自動投入機能は、洗剤の入れすぎなどを防げます。また、洗剤や柔軟剤のボトルが必要なくなるので、洗濯機周りが散らかりにくいのもメリットのひとつです。
 
このほか、あると便利なのがIoT機能。IoT機能といえば「外出先から洗濯をスタートさせられる」という機能が注目されがちですが、ケアラーにうれしいのは「洗濯終了をスマートフォンに知らせる機能」。おしゃれ着の洗濯など、乾燥機を利用できない場合は洗濯終了後にすぐ干さないと臭いが発生することがありますが、この機能があれば洗濯機から離れた部屋にいても、洗濯終了がすぐにわかり、干すことができます。
 
洗剤自動投入は一度使ったら手放せない機能、IoT機能も人によっては重要

6. メーカーごとの特徴を知って自分に合った製品を見極めよう ①パナソニック

●パナソニック
パナソニックの高機能ドラムといえば「ななめドラム洗濯乾燥機 LXシリーズ」。一般的な洗濯機が洗剤・柔軟剤の自動投入機能のみを搭載する中、本モデルは3つめの投入タンクを備えた「トリプル自動投入」機能を搭載。3つめにはおしゃれ着用洗剤か漂白剤のどちらかを設定できます。独自のイオン技術である「ナノイーX」による水を使わない除菌機能も搭載されています。


パナソニック

メーカーごとの特徴を知って自分に合った製品を見極めよう ①パナソニック

7. 風アイロン機能を搭載 ②日立

●日立(日立グローバルライフソリューションズ) 日立のドラム式上位モデルといえば、ビッグドラムシリーズ。中でも「風アイロン」機能を搭載したモデルは、少量の衣類を乾燥させることで軽くアイロンをかけたようにシワを伸ばしてくれます。さらに、SXシリーズなどの上位モデルは掃除に手間がかからない「らくメンテ」機能を搭載。通常は乾燥のたびに必要な乾燥フィルターをなくし、フィルター掃除の手間を低減させてくれました。

日立

風アイロン機能を搭載 ②日立

8. 洗浄力の高さが魅力 ③東芝

●東芝(東芝ライフスタイル)
東芝のドラム式洗濯機といえば、目に見えない微小な泡「ウルトラファインバブル」による洗浄力の高さが魅力。最上位モデルのXPシリーズは、ウルトラファインバブルより少し大きなマイクロバブルの発生装置も搭載。ウルトラファインバブルが洗剤を繊維の奥まで浸透させ、マイクロバブルが汚れの再付着を防ぎます。東芝ならではの低振動設計で、運転音の静かさも魅力です。


東芝
洗浄力の高さが魅力 ③東芝

9. ヒートポンプ&サポートヒーター併用でからっとした仕上がり ④シャープ

シャープのドラム式上位モデルは、ヒートポンプ式と併用してサポートヒーターも搭載した乾燥機能が特徴です。ヒートポンプの省エネ性と快適性を維持しつつ、ヒーター式ならではのカラっとした乾燥仕上がりを実現しています。また、二つの乾燥方式をうまく利用することで、ヒートポンプ単体よりも電気代も抑えられています。光センサーや泡センサーをはじめとした7つのセンサーで洗濯状況をチェックし、自動的に最適な運転パターンを選択して電気や水のムダを省く運転も可能です。


シャープ

ヒートポンプ&サポートヒーター併用でからっとした仕上がり ④シャープ

10. 水平なドラム設置でコンパクトなサイズ感を実現 ⑤アクア

●アクア
アクアの「まっ直ぐドラム2.0」は、その名の通りドラムを地面と平行に配置。これにより一般的な「ドラムをななめに設置した洗濯乾燥機」よりも本体サイズをコンパクトにすることに成功しています。上位モデルのDXシリーズは水の硬度や洗剤の質、布質や汚れの量など10種類のセンシング機能を搭載。AIが最適な洗濯を調節する「Aiウォッシュ」機能を搭載しました。UVライトや除菌水のミストを使った、水なしでケアできる「熱UVパワフル除菌対象コース」も搭載。
水平なドラム設置でコンパクトなサイズ感を実現 ⑤アクア

11. 専用洗剤で衣類を優しくケア ⑥ミーレ

●ミーレ
予算に余裕があるなら、世界的高級家電メーカーであるドイツ「ミーレ」の洗濯乾燥機もおススメです。本製品は洗濯機に合わせた専用洗剤で衣類を優しくケアするのが特徴。また、設置には日本の家庭の標準電圧(100V)の倍の200Vの電源が必要で、その分パワフルで乾燥時間が短いのも特徴です。国産のプレミアム洗濯機は60℃までの熱湯洗いに対応しますが、同製品は90℃までの高温熱湯洗いに対応。洗剤を使わずに強力に除菌したい汚れものにも力を発揮します。ただし、残念ながらプレミアムモデルのWTR860でも乾燥方式はヒーター式となります。
専用洗剤で衣類を優しくケア ⑥ミーレ

12. まとめ

高性能なドラム式洗濯乾燥機は決して安い買い物ではありません。しかし、洗濯機の平均使用年数は10年前後。10年もの間、衣類や寝具を手間なく清潔に保てると考えれば、実は意外とコストパフォーマンスの高い買い物かもしれません。洗濯にストレスを感じているなら、ぜひ便利な洗濯乾燥機の導入を検討してみてください。

13. 監修者プロフィール

倉本 春(くらもと・はる)
家電ライター。白物家電(生活家電)やIoTガジェットなど 、生活を快適・便利にする製品の紹介や解説、レビューを中心に記事を執筆。ソフトバンクにてPC系雑誌(月刊誌PC Japan /PC Computing )の編集を5年、 その後、6年間 東京にてドッグカフェを経営(オーナー兼シェフ)。2013年より生活家電、白物家電をメインとした家電ライターとして活動する。カフェのオーナーシェフ経験を生かした、 調理家電の使いこなし方の紹介やレシピの提案、PC系雑誌の誌編集経験 を生かした、 テクニカル面からの製品紹介、専門ライターとして 製品選定など、柔剛両面からの家電の紹介・解説・監修が得意。

この記事の提供元
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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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