昔はお盆やお正月になると田舎に帰り、お墓参りをするのが通例でしたが、最近では考え方の変化や少子化問題なども重なり、遠方であってもお墓参りをする、という概念が薄れてきています。その時に悩みの種になるのが「今あるお墓をどうするか」という問題でしょう。今回は増えつつある問題の1つでもある「墓じまい」の方法やかかる費用について、ファイナンシャルプランナーの新井智美が解説します。

1. 墓じまいとは?

墓じまいとは、現在あるお墓を撤去して更地にし、お寺などお墓を管理している主体に返すことを指します。ただ、お墓を撤去したあとは、お墓にあるお骨も別の場所に移す必要があるため、お墓の撤去からお骨の移動までの流れをまとめて「墓じまい」と捉えておいた方がよいでしょう。
 
墓じまいをすることで、お墓を管理する費用が不要になる点は大きなメリットと言えますが、墓じまいをする際に一時的に撤去費用や改葬などの費用がかかりますので、大まかな費用を把握した上で行うようにしましょう。もちろん、その際の費用負担についてお墓に関係する家族および親族と話し合っておくことも重要です。
墓じまいとは?

2. 墓じまいの手続きはどのようにする?

墓じまいには、お墓に関する手続きと行政面での手続きの両方があります。特に行政面での手続きは知られていないことが多く、直前になって慌てるケースがみられますので、事前にしっかりと確認し、準備をしておくことが大切です。
 
また、墓じまいを行う際には、事前に家族や親族と話し合って合意を得ておくことで、後のトラブル発生を防げます。家族や親族にはどのように墓じまいを行うのか、また、費用は誰がどれだけ負担するのかについてきちんと伝えておくようにしましょう。
 
●お墓にかかる手続き
①お墓(お骨)の移動先を決める
墓じまいを行うにあたり一番に考えなければならないのは、今、お墓にあるお骨をどこに移動させるのかです。近くに新しくお墓を建て、そこに移す方法もありますし、最近では樹木葬や納骨堂のほか、永代供養などの方法をとる人も増えています。移す方法によっては、事前の手続きはもちろん、思った以上に時間がかかるケースも考えられますので、早めに決めておきましょう。
 
②お墓の解体作業を行う
お骨を移す先の準備が整ったら、今あるお墓の管理者であるお寺や管理事務所などにお墓の解体と撤去を行う旨を伝えます。お墓を解体する前には、お寺で供養してもらうケースが一般的です。お寺にその旨をお願いしておきましょう。解体作業は石材店に依頼することになりますので、どの石材店に依頼するか、事前に見積もりを取って比較し、決めておくことも重要です。また、お墓を解体し、更地にして返還するにあたっては、離壇料が発生する可能性がありますので、お寺に確認しておきましょう。
 
③新しいお骨の移動先に納骨する
最初に決めた移動先にお骨を納骨します。納骨方法によっては法要などが必要なケースもありますので、移動先に確認しておきましょう。
 
●行政面での手続き
お骨を移動させるためには、以下の書類が必要です。お墓のある自治体に申請しなければならない書類もあるため、お墓の場所が遠い場合には、不明な点は電話で問い合わせ、もれのないように準備しておきましょう。
 
 
・埋葬証明書:納骨証明書ともいわれ、今のお墓の管理者であるお寺や管理事務所に発行してもらいます。場合によっては、自治体が窓口になっているケースもありますので、まずは管理者に確認してみましょう。
 
・改葬許可証:今のお墓がある自治体に申請し、公布してもらいます。このときに気を付けたいのは、書類はお墓にあるお骨1体につき1枚ずつ必要なことです。お墓に複数のお骨がある場合は、その数だけ公布してもらいましょう。
 
・受入証明書:永代供養許可証と同じ意味を持つ書類で、お骨の移動先のお寺や管理事務所に公布してもらう必要があります。ただし、散骨などの場合は手続きが異なる可能性がありますので、散骨先の住所を管轄する自治体に確認しておきましょう。
墓じまいの手続きはどのようにする?

3. 墓じまいにはどのくらい費用がかかる?

墓じまいの流れや手続きについて理解したところで、気になるのは墓じまいにどのくらいの費用がかかるのか、ということではないでしょうか。墓じまいにおけるお骨の移動先によって最終的な費用総額は異なりますが、おおまかな費用について以下に記載しておきますので参考にしてください。
 
①お墓(お骨)の移動先にかかる費用
・新しいお墓の建設:100万円~200万円程度(場所や選ぶ石材によって異なる)
・納骨堂:50万円~100万円程度(施設やお骨の数によって異なる)
・樹木葬;50万円~100万円程度(場所やお骨の数によって異なる)
・散骨:10万円~50万円程度(散骨を行う業者によって異なる)
 
②お墓の解体作業にかかる費用
お墓の解体作業にかかる費用は、依頼する石材店によって異なります。お墓の立地によっては特殊な作業車などが必要になり、その分費用も高額になります。一般的には1平方メートルあたり15万円が相場と言われていますので、複数の石材店に見積もりを取って検討するようにしましょう。
 
③書類の発行にかかる費用
各種書類の発行費用は1枚あたり数百円程度です。依頼する自治体が遠い場合は、郵送で手続きを行うこともできますが、発行費用および返信用の郵送代を含む金額を切手で用意して依頼する必要があります。最近はオンラインでの申請も受け付けている自治体もありますので、自治体のホームページで確認してみましょう。
 
④その他法要に関する費用
墓じまいの際、さまざまな場面で法要が必要になります。さらに、離壇料(檀家をやめるときに納めるお布施)が必要になるケースもありますので、事前にお寺に問い合わせておきましょう。法要に関する費用については3~5万円程度を想定しておくとよいでしょう。
墓じまいにはどのくらい費用がかかる?

4. 費用や実施時期も含めてしっかりと話し合うことが重要

墓じまいは、これまでご先祖様がいた場所からお骨を移す一連の作業です。そのため、移動先をどこにするのかによって、かかる費用も異なります。移動先をどこにするのかは、家族や親族の意向はもちろん、ご先祖様の気持ちもくみ取ったうえで決めるようにしましょう。
 
墓じまいを行わずにそのままにしておくと、最終的には無縁墓となってしまい、お墓が荒れる原因になります。ご先祖様を敬う気持ちを忘れないためにも、墓じまいの必要を感じた際には早めに話し合い、行動に移すようにしましょう。
費用や実施時期も含めてしっかりと話し合うことが重要

5. まとめ

墓じまいをするにあたり、どんな手続きが必要なのか、費用はいくらかかるのかを解説しました。この記事を参考に、直前になって慌てることがないように、家族で話し合いながら、準備を進められるとよいでしょう。

6. 監修者プロフィール

新井智美(あらい・ともみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
福岡大学法学部法律学科卒業。 2006年11月、世界共通水準のFP資格であるCFP®認定を受けると同時に、国家資格である1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。 2017年10月に独立し、コンサルタントとしての個人向け相談や、資産運用などにまつわるセミナー講師のほか、大手金融メディアへの執筆および監修に携わる。

この記事の提供元
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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい人への介護やサポートをする、ケアラーのためのプラットフォームです。 MySCUE(マイスキュー)は、高齢化先進国と言われる日本が、誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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