5月は「孤独・孤立対策強化月間」だということをご存じですか? 内閣府の取り組みとして今年5月が初めての本格実施となります。孤独・孤立の問題は、シニアケアや介護に携わる方だけでなく、誰にでも、ライフステージのどの段階でも起こり得るものです。「孤独・孤立対策強化月間」を機会に、孤独・孤立の問題について考えてみましょう。
いまの日本社会は、単身世帯の増加や働き方の多様化など、様々な要因によって、人と人とのつながりが薄くなっており、誰もが孤独・孤立の状態に陥りやすい状況になっていると言われています。そして、孤独・孤立とは、一般的には、以下のように言われています。
●「孤独」は主観的概念であり、ひとりぼっちと感じる精神的な状態を指し、「寂しいこと」という感情を含めて用いられていることがある。
●「孤立」は客観的概念であり、社会とのつながりや助けのない又は少ない状態を指す。
このように、孤独と孤立はお互いに密接に結びついていますが、例えば「孤立しているが孤独は感じていない」「孤立していないが孤独を感じている」ということもあり得ます。
ここで大事なことは、一人でいても、つながっていてもよいということであり、「一人でいること」自体が問題ではなく、「望まない」孤独・孤立の状態であることが問題なのです。そして、孤独・孤立の状態になると、最初は小さな悩みや困り事であったものが、一人で抱え込んでしまうことで複雑化・深刻化することがありえるといわれています。
そのため、孤独・孤立の問題では、人と人がゆるやかにつながり続ける社会づくりが求められています。
日本における孤独・孤立の全体像を把握するため、2021年(令和3年)より全国調査を実施し、結果を公表しています。
2023年(令和5年)の調査結果によると、孤独感が「しばしばある・常にある」との回答が4.8%、「時々ある」が14.8%、「たまにある」が19.7%であり、日本に住む人の約4割が孤独を感じることが「ある」と答えています。
孤独感がある人の年齢層や性別などのほか、現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事、社会的孤立の状態など、調査結果の詳細はこちらからご確認いただけます。
この調査では「家族との死別」や「心身の重大なトラブル」、「転校・転職・離職・退職」など誰にでも起こりうる出来事が孤独感に影響を与えることが示されています。孤独・孤立の問題は誰にとっても身近なものであり、誰でも人生のどの段階でも孤独・孤立の状況になってしまうことがありえます。
社会全体のつながりが希薄化している中で、特に新型コロナの長期化によって、このような孤独・孤立の問題がより一層顕在化したといわれています。
そして、この孤独・孤立の問題は、まさに現代の社会問題として、真正面から向き合うことが必要であるという考えのもと、2021年2月に孤独・孤立問題に取り組む閣僚級ポストが設置されました。また、内閣官房に、孤独・孤立対策の担当室が設けられ、重点計画の策定を始めとする様々な取組が始まりました。
孤独・孤立の対策においては、行政とともにNPO等の支援団体、企業などが水平的な連携の中で取り組んでいくことが重要です。そのため、NPO等の支援団体、民間企業、国や自治体等の行政など、さまざまな主体が参加する「孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム」を立上げ、相互に連携・協力しながら孤独・孤立の対策に取り組んでいます。
そして、2023年5月には「孤独・孤立対策推進法」が成立し、2024年4月1日から施行されます。実は、この「孤独・孤立対策推進法」は孤独・孤立対策について、世界ではじめての法律となっています。
人と人、人と社会がつながることの重要性は、国際的にも認識され始めており、WHOでも議論が始まっています。わが国はこの対策では世界から注目されているところです。
孤独・孤立の状態にある人が、悩みや困りごとを一人で抱え込むことがないよう、声をあげやすい・声をかけやすい社会を作ることが必要です。そのために、孤独・孤立の理解・意識や機運を社会全体で高める取組が必要です。
そこで、内閣府では毎年5月を「孤独・孤立対策強化月間」と設定し、集中的な広報・周知に取り組むこととしました。月間専用のホームページを開設し、全国で様々なつながりづくりに向けた取組を紹介していきます。
皆さんも、ぜひホームページをご覧いただき、孤独・孤立の問題について考えていただけたらいいなと思っています!
著者:MySCUE編集部
MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい人への介護やサポートをする、ケアラーのためのプラットフォームです。 MySCUE(マイスキュー)は、高齢化先進国と言われる日本が、誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。