今回は、シニア向け分譲マンションの特徴や入居対象者、費用について解説します。
「老後はマンションを購入して住みたい」「シニア向けのマンションってどのようなところ?」とお考えの人は、ぜひ参考になさってください。
シニア向け分譲マンションは、高齢者を対象にさまざまなサービスを提供する民間の分譲マンションです。契約形態が「所有権方式」であるため、マンションは自分の所有財産になり、売買や譲渡、相続、貸与などが可能になります。
シニア向け分譲マンションの入居対象者は、主に60歳以上、自立〜要介護(軽度)の方です。物件により年齢制限を設けている場合があります。
介護サービスが必要な方は、一般の住宅と同様に、入居者が個々に外部の介護サービス事業所と契約して訪問介護、通所介護などの在宅サービスを利用します。
シニア向け分譲マンションの設備や付帯サービスに法的規定はないため、内容はマンションによりさまざまです。館内はバリアフリー仕様で、オール電化や各部屋に緊急呼出しボタンを設置するなど、高齢者に配慮した設備が整っています。
マンションを企画・販売する業者によって違いはありますが、ハイグレードな住宅設備、24時間の管理サービス、フロントサービスが整えられているのがシニア向け分譲マンションの特徴です。
例えば、以下のような設備・サービスが利用できます。
・カラオケルーム
・シアタールーム
・フィットネスルーム
・図書館
・カフェ
・栄養指導サービス
・ドクター訪問
・定期検診サービス
シニア向け分譲マンションの価格は物件によりさまざまですが、数千万円~数億円程度と高額です。
月額費用は、10〜20万円程度が一般的です。管理費、水道光熱費、修繕積立金、食費が含まれています。
そのほかに、各種サービスの利用料や介護保険サービスを利用する場合は、その費用も必要です。介護保険サービスを受けるときの自己負担は原則として1割ですが、所得が高い人は2割もしくは3割負担となります。
さらに、シニア向け分譲マンションは本人所有の不動産であるため、固定資産税などの税負担も生じます。
シニア向け分譲マンションとサービス付き高齢者向け住宅は、どちらもバリアフリー対応であり、比較的自由な生活を過ごせるという点は共通しています。そのため、老後の住み替え先を検討するときに、どちらを選ぶか悩む方もいるのではないでしょうか。
ここでは、シニア向け分譲マンションとサービス付き高齢者向け住宅の違いを確認しましょう。
契約方式
・シニア向け分譲マンション 所有権契約
・サービス付き高齢者向け住宅 賃貸借契約(一部で利用権方式も)
入居時の費用
・シニア向け分譲マンション 数千万円から数億円
・サービス付き高齢者向け住宅 賃貸借契約(一部で利用権方式も)
月額費用
・シニア向け分譲マンション 10〜20万円程度
・サービス付き高齢者向け住宅 10万円~40万円程度
居室
・シニア向け分譲マンション 一般のマンションと同じ
・サービス付き高齢者向け住宅 キッチン、洗面、浴室、トイレなど
サービス内容
・シニア向け分譲マンション 安否確認、生活支援サービス、緊急時の対応
・サービス付き高齢者向け住宅 安否確認、生活相談、生活支援サービス
おすすめの人
・シニア向け分譲マンション
資産として売却したい
賃貸住宅として貸し出したい
相続財産として残したい
手厚いサービスを利用して、充実した老後を送りたい
・サービス付き高齢者向け住宅
一人暮らしの不安を解消したい
特養の順番がくるまで利用したい
・自分の資産のため、リフォーム・売却・相続・賃貸などが可能
・高齢者向け設備が充実
・家族も同居できる
・外出や外泊が自由
・高齢者向けのサービスが充実
充実したサービスや設備を利用しながら、楽しく自由に過ごせることが、大きなメリットといえるでしょう。
・購入価格と管理費が高い
・固定資産税を支払う必要がある
・手厚い介護が必要になると、介護施設へ移る可能性がある
・物件数が少ない
費用の高さや、重度の介護が必要になると住み続けることが難しくなるのが、デメリットになります。
・運営主体:民間企業
・入居対象者:主に60歳以上、自立〜要介護(軽度)
・介護サービス:外部の介護サービス事業所と契約する
・入居時の費用:数千万円~数億円程度
・月額費用:10〜20万円程度
・認知症:程度による
・看取り:不可
・医療的ケア:不可
監修者:中谷ミホ
画像著作者:Freepik ※トップ画面
著者:古賀優美子
北海道の2つの自治体で約15年間保健師として勤務。母子保健・高齢者福祉・特定健康診査・特定保健指導・介護支援専門員業務などを経験。その後、高齢者デイサービスセンターで5年間介護員として勤務。2021年4月から専業ライターとして活動を始め、主に介護福祉関連の記事を執筆する。