年齢を重ねると耳の聞こえが悪くなるのは仕方のないことです。ついテレビの音量を上げてしまいがちですが、周囲の迷惑ではないかと気になりますし、音量を上げたからといって明瞭に聞こえるわけではありません。そこで今回は、テレビの声が聞こえやすくなると話題のスピーカーを試してみましたのでご紹介します。
加齢によって起こる現象の一つとして、聞こえが悪くなるということがありますよね。筆者も先日実家に行ったとき、テレビの音量があまりに大きかったので「テレビの音、大きいね」とやんわり言ったところ、「そう?」と母。一方の父は「ぼくは音量23ぐらいでいいんだけど、母さんは26ぐらいに上げないとダメみたいね」と、謎のマウントを取っていました(笑)。
個人差はあれど、年齢を重ねると多くの人が 耳が遠くなります。補聴器メーカー「リオネット」によると、聴力は一般的に20代後半から徐々に低下し始め、50代から顕著に低下、80代になると高度難聴になる傾向にあるようです(※1)。
では、なぜ聞こえが悪くなるのでしょうか。一般社団法人日本耳鼻咽喉科統計部外科学会によると、高齢者難聴の主な原因は、音を感知する有毛細胞が徐々に減少し、高音域を感知する力や音の微妙な周波数の違いを聞き分ける力が低下するためだとの解説があります(※2)。その結果、脳に届けられる音の情報が少なくなり、言葉の内容を認識するのに時間がかかるようになるのだそうです。
このとき、ふと思い出したのが、テレビCMでもおなじみ、株式会社サウンドファンの「ミライスピーカー・ミニ」19,800円です。
※1 聞こえの程度と年齢別による聴力低下
※2 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会 高齢者とのコミュニケーションに苦労していませんか?
とある家庭の家族会議。「最近テレビの音が大きいと思います」と娘が発言したのに対し、「聞こえにくいんだもん。仕方ないと思います」と反論するお父さん。それに対し、議長であるお母さんが「だったらミライスピーカー」と結論を出すというCMをご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。
これはまさに、今のわが家ではないか!ということは、わが家にもミライスピーカーが役に立つのでは? そう思い、さっそく実家で試してもらうことにしました。
スピーカーというと置き場所が心配になりますが、実物を見るとかなりコンパクト。前にせり出ているものの、大きさは幅90×高さ154×奥行き200(いずれもmm)で、テレビの横に置いても邪魔になりません。設置方法も簡単で、音声ケーブルをテレビに接続し、電源アダプターをコンセントに挿すだけ。
まずは母にふつうにテレビを見てもらい、いつもの音量での聞こえ具合を確認しましたが、そもそもの設定音量が大きいので、聞こえにくいという感覚はないようです。そこでミライスピーカーの電源を入れて音量ダイヤルを回したところ、音が一気に大きくなってビックリ! あわて て音量を下げましたが、それでもしっかり聞こえます。
実はこれがミライスピーカー独自の「曲面サウンド」による効果。本体を見ての通り、ミライスピーカーの正面は曲面状になっており、その内側に湾曲した振動板が搭載されています。曲面から発生する特殊な音波をより広範囲に届け、歳を取るにつれて聞き取りにくくなる言葉もくっきり聞こえやすくなるのだそうです。
確かにミライスピーカーを通して聞こえる音は、とてもクリア。単に音が大きくなっているのではなく、今までBGMなどに紛れて聞き取りにくかった会話も、その部分だけ抜き取ったようにきれいに聞こえます。これには母も「すごく聞きやすい!」と感動。結果的に、いつも26にしていた音量を20前後まで下げることができました。
実はミライスピーカーを使って聞こえやすさを感じたのは、母だけではありません。50歳の私も「聞こえるってこういうことか!」と快適さを感じたのです。というのも私自身、子ども時代から耳があまりよくなく、特に「聞き取りにくい」音があることを感じていました。例えば館内放送のような音声は言葉として聞き取ることができませんし、映画の中などの呟くような会話は音量をかなり上げなければ聞き取れないことがあります(そうするとBGMや効果音も大きくなるため、それはそれでストレスになるのですが)。
さらに近年では加齢も手伝ってか音の輪郭がはっきりしないと感じることが増えていたのです が、ミライスピーカーを使うと音声がスッと頭に入ってきます。長く視聴すればするほど、これまでいかに聞こえの不便を感じていたのかに、気付かされました。
音声がクリアに聞こえる一方で、BGMや効果音が小さく感じるため、臨場感が感じにくくなる傾向もあります。その場合は、テレビ側のスピーカーと上手に組み合わせるとよいそうです。
音が遠くまで届く分、テレビから離れた場所にいてもよく聞こえるようになりました。たとえばリビングのテレビをつけたままキッチンで料理しているときなど、これまではテレビの会話が聞き取れなくてストーリーが理解できなくなることがよくありましたが、今はテレビを見なくても会話が頭に入ってきます。かといって音量を上げているわけではないので、周囲への迷惑を気にしなくていいのは安心ですね。
音の聞こえが悪くなるデメリットは、実は会話が成り立ちにくくなったり、テレビの音量が大きくなることだけではありません。前述のように、「脳に届けられる音の情報が少なくなり、言葉の内容を認識するのに時間がかかるようになる」ことも問題となります。実際に、難聴は認知症の危険因子の一つとされているそうです。ですから、「聞こえにくい」は放置していいことではないようなのです。
日常生活に困るほど聞こえが悪くなってきたら、補聴器を使う必要ももちろん出てくるとは思います。ですがその一歩手前として、「テレビの音量を上げないと聞こえない」という問題を抱えている方には、ミライスピーカーのようなものを導入してみるのもいいかもしれません。
そのほかの商品としては、ミライスピーカーとはメカニズムは異なりますが、テレビの音声を手元のスピーカーで聴けるアイテムとして、東芝ライフスタイルのテレビ用ワイヤレススピーカー、山善のテレビ用お手元スピーカーなどがあり、 便利です。テレビの音の聞こえに困っているご家族がいたら、このようなプレゼントをするのもいいですね。
著者:田中真紀子
家電ライター。早稲田大学卒業後、損害保険会社を経て、地域情報紙に転職。その後フリーとなり、住まいや家事など暮らしにまつわる記事を幅広く執筆する。結婚、出産を経て、子育てと仕事の両立に悩む中、家事をラクにしてくれる白物家電、エステに行けなくても自宅美容できる美容家電に魅了され、家電専門ライターに。現在は雑誌、webにて執筆するほか、専門家として記事監修するなど年間300近い記事に携わる。企業コンサルタント、アドバイザー業務、テレビ・ラジオ出演も多数。自宅には常に200を超える家電があり、日常的に使用しながら、生活者目線で情報を発信している。親の介護問題が間近に迫ったアラフィフ。夫、息子(高校生)、犬(チワプー)の3人と1匹暮らし。
ホームページ https://makiko-beautifullife.com/