シニアと行きたい旅行プランをトラベルライターの間庭典子がご提案。残暑が過ぎ、ちょっと遅めの 夏休みの穴場が山岳リゾート、白馬。山頂までゴンドラやリフトで一気に登り、北アルプスの絶景を楽しんで!
長野県の白馬と言えば、世界中のスキーヤー&スノーボーダーが憧れるスキーリゾート。1998年の長野オリンピックでスキー競技が開催されたことでも知られています。雪のホワイトシーズンには道も渋滞し、スーパーで食材が売り切れてしまうほどゲストが殺到しますが、ここ最近はゲレンデがオフの時期のグリーンシーズンにも観光需要が高まっているのだとか…! 白馬駅を中心に点在しているスキー場が、魅力的な施設として集客しているのです。
白馬のグリーンシーズンの成功例が、ゲレンデをスタイリッシュに活用した「白馬岩岳マウンテンリゾート」。北アルプスの絶景に向き合える絶景テラス「白馬マウンテンハーバー」などの映えるスポットが、さまざまなSNSで紹介されて全国区に。中でもハイジの気分になれるブランコ、「ヤッホー! スウィング」は行列ができるほどの人気。週末は多くの観光客でにぎわう施設となりました。
ゴンドラで一気に登れ、経験や体力がなくても登山気分を味わえるのもシニア層にとってうれしいポイント。しかもこのゴンドラ、わんこも乗れるのです。ゴンドラに自転車を積んで、オフロードをワイルドに駆け降りるマウンテンバイクに熱中するサイクリストも。山頂エリアではさまざまなアクティビティが楽しめ、マウンテンカートはキッズたちに人気です。愛犬とも一緒に散策できる1km前後のトレッキングコースもおすすめ。
そして絶景グルメも白馬らしさ。NYの「シティベーカリー」や京都のティーラテ専門店「チャバティ白馬」などのカフェと、 ゲレンデとは思えないクオリティです。
写真上:夏の白馬を一躍、全国区にした北アルプスを望むブランコ、ヤッホー!スウィング。
白馬乗鞍温泉スキー場の「白馬アルプスホテル」では、名画『Breakfast at Tiffany’s(ティファニーで朝食を)』ならぬ『Breakfast in the sky』という日本発のサービスを今年の7月から始めました。これはなんと冬のゲレンデで活躍するリフトを「空飛ぶレストラン」に見立て、空中散歩をしながら、朝ご飯をいただくというプラン。早速、体験してきました!
ホテルの裏手にあるリフト乗り場へ集合時間に行くと、朝の目覚めにふさわしく、笑顔のスタッフがさわやかにお出迎え。2人用リフトに揺られて山の中腹まで登り、そこから「山の神リフト」こと第11ペアリフトに乗り継ぎます。リフトの乗り場近くには即席の天空のドリンクカウンターがオープンしていました。ここでコーヒーやリンゴジュースなど好きなドリンクを選び、朝食BOXを受け取るのですが、むむむ? リフトに乗りながら食べるのって難しくない?と戸惑っていると、スタッフが手際よく乗るリフトの安全バーに簡易テーブルをセッティングしてくれます。言うなればお子様用チェアの大人版のような感じ? 小さなテーブルで機内食を食べる感覚にも近いかな。
朝食BOXを開くと信州サーモンや信州豚のクロワッサンサンドイッチ、ラタトゥイユやサラダなど色とりどりのメニューが。中でも鮮やかなのはフルーツのコンテナ。シャインマスカット、巨峰、いちご、メロン、パイナップル、オレンジ、グレープフルーツの7種のフルーツが一口ずつぎゅぎゅっと詰まっていて宝石箱みたい。朝から気分がアガります。約18分の空中遊覧なので、絶景を見ながら食べているうちに頂上駅に到着。
白馬アルプス第11ペアリフトは標高差465m以上で日本一、終点標高は1598mだそう。到着するとカフェスペースや日本海が望める「海の見えるベンチ」などもありました。壮大なパノラマの中で飲むコーヒーも格別。秋に向け、温かいスープをメニューにプラスする計画もあるそうですよ。雲の上で朝ご飯を食べる、という非日常感にわくわくしますが、信州の食材を生かしたメニューそれぞれが、しみじみと美味しいことにも感動。朝ごはん付の宿泊プランの場合、リフト代、朝食BOX代込み2000円で体験でき、かなりお得です。
ちなみに日の出時刻に合わせて夜明け前にリフトで山頂に向かい、ご来光を拝む『Sunrise Lift』というカフェプランもあります。これはご利益ありそう。こちらは宿泊客以外のビジターも参加でき、山頂でのコーヒーがついて2000円。今後、ランチやカフェなど、この「山の神リフト」で楽しむアクティビティを展開していく予定とのことで、楽しみです。
ドッグフレンドリーな山岳リゾートとしても知られる白馬。「白馬岩岳マウンテンリゾート」の山頂エリアへのゴンドラはリードをつけていればケージなしで愛犬と乗れます。ちなみにゴンドラやリフトの料金はエリア内に入る入園料としての2400円に含まれており、ペットは1頭につき700円。山頂からすこし降りた「白馬ヒトトキノモリ」エリアにアクセスするリフトは、安全を考慮しケージに入れなくては乗れませんが、乗り場で無料で貸し出しているので手ぶらでOKです。敷地内はペットフレンドリーなカフェスペースやテラスも多く、気軽に愛犬と山頂散歩ができるのが魅力なのです。
山の上にこんなにたくさんのわんこが?と驚くはず。広々としたドックランで駆け回るわんこたちも幸せそう。東西南北の全方向を見渡せる絶景ポイントをガイド付きバギーで周遊するアクティビティ「バギークルーズ」も愛犬との同乗OK! 大人2000円、4歳から小学生は1000円で参加できますが、ペットは無料です。家族全員で冒険できるのがうれしいですね。
白馬エリアにはペットフレンドリーな宿も多く、例えば「白馬岩岳マウンテンリゾート」から車で10分ほどの「白馬アルプスホテル」では9室の犬同伴の客室も用意。部屋にはケージはもちろん、ペットシーツや携帯用マナー袋、お掃除グッズなども完備され、身軽にペットとの旅ができる配慮が。敷地内にはドッグランもあり、すぐ裏手の白馬乗鞍温泉スキー場ではホワイトシーズンになると愛犬も一部のリフトに乗れ、一緒にゲレンデで滑走できるのだとか。
写真下:愛犬といっしょに冒険できる「バギークルーズ」は白馬岩岳マウンテンリゾートで予約殺到のアクティビティ。
長野オリンピックでアルペンスキーやジャンプ競技の会場となった八方尾根スキー場もグリーンシーズンはトレッキングや熱気球などのアクティビティの拠点に。このエリアには「白馬東急ホテル」や「白馬リゾートホテル ラ・ネージュ」などの老舗ホテルも多く、成熟した山岳リゾートとして、ゆったりと滞在でき ます。シニア層との旅なら自由度の高い、ラグジュアリーなコテージを利用するのもおすすめです。
この地区でホテルやレストランなどを展開する白馬ホスピタリティグループの「フェニックスシャレー」は八方の中心地から徒歩圏内でありながら、森の中で安らげる和田野にあります。キッチンや洗濯機も完備で、テラスには本格的なBBQセットも。何よりもうれしいのが、最寄駅もしくはバスターミナルから宿までの送迎と、HHG系列のレストランまでの送迎などのシャトルサービスは無料。それ以外でもドライバーの空き状況により、スーパーマーケットや温泉までの送迎もお願いできて便利。専属ドライバーがナビゲートしてくれるような安心感があります。チェックイン&アウト時はもちろん、レストランやスーパーマーケット、温泉までの送迎などもお願いできて便利。系列のホテル「THE HAPPO」自慢のイタリアン「Gio‘s」でディナーもいいし、BBQやケータリングをテラスで楽しむのもいい。地元の食材を生かして調理することもできます。そのときの体調や気分次第で、自分たちにとって快適な旅をプランニングできるのです。インバウンド客にもロコにも大人気なのが「トリコ」。ここはYAKITORIと呼びたくなるようなお洒落な焼鳥屋さんなのですが、リラックスできる雰囲気とどの世代にも親しめる居酒屋メニューが豊富。信州の地酒も各種揃えています。送迎があると家族みんなで飲めますね。しめは焼きおにぎりやタイ風グリーンカレーで!
八方尾根のゲレンデも徒歩圏内で、グリーンシーズンはリフトも運行。所要時間60~90分の整備されたトレッキングコースもあり、安全安心に山登りにもチェレンジできます。
写真下:八方尾根スキー場からも徒歩圏内の「フェニックスシャレー」はキッチン、ランドリー、テラスも完備でドッグフレンドリー。
体力に自信がなくても、家族全員と山岳アクティビティに挑戦できる白馬はシニア旅向き。過ごしやすく、ホワイトシーズンほど混雑しない秋は、実は穴場。10月になると北アルプス名物の「三段紅葉」も拝めます。三段紅葉とは、アルプス山頂の冠雪=白、山の中腹の見事な紅葉=赤や黄色、麓の樹木=緑が織りなす白馬三山のグラデーション。2200mの標高差が見せる、大自然のアートです。これも「白馬岩岳マウンテンリゾート」の絶景テラスから鑑賞できるのです。
「白馬岩岳マウンテンリゾート」では10人乗りゴンドラも建設中。12月に運行が開始され ます。このゆったりとしたゴンドラは段差もなくバリアフリー。なんと車いすごと乗り込めるのだそう。シニア層にとってますますアクセスしやすくなりますね。四面とも強化樹脂ガラスに囲まれた絶景パノラマビューです。昔、登山に熱中した元アルピニストも、山登りは初めてというインドア派も、同じように山頂の絶景が味わえる白馬の山岳体験。家族全員での旅行を企画するのにおすすめの目的地です。
写真下:10月になると緑の葉が赤や黄色に染まり、秋だからこそのゴールデンシーズンに。
著者:間庭典子(まにわのりこ)
中央線沿線の築30年以上の一軒家に後期高齢者の両親と同居する50代独身フリーランス女子。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)「mc Sister」編集者として勤務後、渡米。フリーライターとして独立し、女性誌など各メディアにNY情報を発信し、「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」(講談社)などを発行。2006年に帰国し、現在は日本を拠点に、旅、グルメ、インテリア、ウェルネスなど幅広いテーマの記事を各メディアへ発信。旅芸人並みのフットワークを売りとし、出張ついでに「研修旅行」と称したリサーチ取材や、さびれた沿線のローカル列車で進む各駅停車の旅を楽しむ。全国各地の肴を味わえる地元の居酒屋やスナックなどの名店を探すソロ活動も大好き。