みなさんは目にも「フレイル」があることはご存じですか? 目のフレイルはアイフレイルと呼ばれ、視力に問題が出るだけでなく、治療が必要な病気の始まりだったり、将来の健康寿命に影響を与えたりする可能性もあるため、十分な注意が必要です。そこで今回は、京都大学大学院医学研究科眼科学教授の辻川明孝先生に、アイフレイルの概要やチェック方法、アイフレイルの原因となる病気、目の健康習慣などについて解説していただきます。

アイフレイルの進行を抑えるためには、スマホの使い方や喫煙といった生活習慣を見直すことも大事です。気づかないうちに、少しずつ症状が進んでしまう場合もあるため、「自分は大丈夫」などと思わずに、生活習慣にもきちんと気を配りましょう。
アイフレイル対策として、日頃から意識したい「目の健康習慣」は次のとおりです。
①適切な眼鏡・コンタクトレンズを使用する
見えにくいのに、眼鏡やコンタクトレンズの度数を変えずに使い続けると、目が疲れやすくなります。適切な度数の眼鏡やコンタクトを使いましょう。パソコンの利用頻度が高い人は、中近両用やパソコン用眼鏡などを試してみるのもおすすめです。
②「20-20-20 ルール」を守る
アイフレイル対策には、目を休めるのも有効です。パソコン・スマホの利用や読書などで、「20分間」近くを見続けたあとは、屋外の景色など「20フィート(約6m)以上」離れたものを、「20秒間」眺めましょう。20分間を目安に一休みして、遠くを眺めてもOKです。
③スマホは目から30cm以上離す
長時間のスマホ利用は目の負担になります。また、スマホを見るときは、画面を30cm以上離して、目より少し下の位置になるようにしましょう。画面が見えない場合は、眼鏡やコンタクトレンズで矯正するか、文字を大きくするなどして、目の負担を軽減させてください。
④禁煙する
喫煙は、目の血管にも悪影響を及ぼします。加えて、タバコに含まれるニコチンには、網膜での新生血管の増殖を促す作用があるため、加齢黄斑変性のリスクを高める可能性があります。
⑤ドライアイを防ぐ
アイフレイルの原因には、ドライアイもあります。コンタクトレンズをつけている人は適切に使いつつ、ドライアイ用の点眼薬も活用するとよいでしょう。エアコンの温風が顔に当たると目の乾燥を招くので、冬場は注意してください。
⑥目のまわりを温める
涙液の油成分を分泌することで、涙液の蒸発を防ぐマイボーム腺はまぶたの内側にあり、まぶたの血行をよくすると眼精疲労が改善します。ぬらしたタオルを電子レンジで温め、まぶたにのせて目のまわりの血行をよくしましょう。
ここまで、アイフレイルに関する情報を紹介してきましたが、目の不具合や不調を早期に発見し、適切な予防・治療につなげるためには、定期的に眼科を受診することも必要です。
日本眼科啓発会議が40代以上の男女に対して行った「目の健康に関する意識調査」によると、「目について気になっていることがある」と回答した人のうち、3年以内に目の検査を受けた人は全体の57.9%。つまり、半数近くの人は目になにかしらの不調があっても、眼科に行っていないわけです。
「年だから仕方がない」などといわず、見えづらさや不快感がある場合は、早めに検査を受け、アイフレイルの早期発見・早期対応に努めましょう。
監修:辻川明孝先生
辻川明孝(写真下)
京都大学大学院医学研究科眼科学教授。
日本眼科学会(評議員)、日本眼科医会、日本網膜硝子体学会(常務理事)、日本眼循環学会(理事)、日本近視学会(理事)、日本微小循環学会。京都大学眼科学教室では、眼科領域の種々の疾患の病態解明と治療法の開発を目指して研究を行っている。中でも網脈絡膜疾患研究が盛んで、加齢黄斑変性、網膜色素変性症などの主要な疾患の病態解明や幹細胞を使った網膜血管再生などの細胞治療の研究、さらに緑内障、糖尿病網膜症などの変性疾患に対し、これまでにない新しい治療法の開発などの研究も行っている。
著者:MySCUE編集部
MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。