介護が必要な家族のために介護用ベッドを選ぼうとしても、「どれを選べばよいかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか?
今回は、介護用ベッドの主な機能や種類を紹介し、選び方のポイントをわかりやすく解説します。
介護用ベッドには、主に以下の3つの機能があります。
・背上げ機能
・脚上げ機能
・高さ調整機能
それぞれの機能がどのように役立つのか、詳しく見ていきましょう。
■背上げ機能
背上げ機能とは、ベッドの背もたれの角度を調整できる機能です。角度は、フラットな状態から約75度まで調整可能で、製品によってはほぼ垂直に近い角度まで上げられるものもあります。
【背上げ機能のメリット】
・起き上がる際の負担が少なく、楽に体を起こすことができる
・ベッド上で、食事やテレビ鑑賞がしやすくなる
・身体が起き上がることで覚醒状態を保ち、認知機能の維持につながる
■脚上げ機能
脚上げ機能とは、ひざの位置から角度をつけて高さを調整できる機能です。
【脚上げ機能のメリット】
・背上げ時に、身体がベッドの下方にずり落ちるのを防ぐことができる
・脚のむくみを軽減し、予防する効果がある
・背上げ機能と組み合わせることで、より快適な姿勢を保ちやすくなる
■高さ調整機能
高さ調整機能とは、ベッド全体の高さを上下に調整できる機能です。
【高さ調整のメリット】
・立ち座りが楽になり、日常生活動作がスムーズになる
・介護者がベッド上での介助やオムツ交換などの作業をしやすくなる
・ベッドを低くすることで、転落によるけがのリスクを軽減できる
介護用ベッドは、本体に搭載されているモーターの数によって分類され、それに応じて使用できる機能が異なります。以下では、モーターの数による違いについて詳しく見ていきましょう。
■1モーター
1つのモーターを搭載したベッドでは、以下のいずれか1つの機能しか使うことができません。
・背上げ機能
・背上げと脚上げの連動機能(背もたれと膝の部分が同時に動く)
・高さ調整機能
1モーターは、介護の必要性が比較的低い方に向いています。シンプルな操作で最低限のサポートが可能です。
■2モーター
2つのモーターを搭載しており、それぞれの機能が独立して動くため、複数の調整が可能です。
組み合わせの例は、以下の通りです。
・背上げ+高さ調整
・背上げと脚上げの連動+高さ調整
・背上げ+脚上げ(1+1モーターとも呼ばれる)
複数箇所の調整が可能なため、より動きやすさや快適さを求めたい方におすすめです。
■3モーター
3つのモーターを搭載しており、「背上げ」「脚上げ」「高さ調整」の各機能を独立して動かすことができます。より細やかな調整が可能なため、介護の必要性が高い方に適しています。介護される方の身体の状態や、介護者の負担を考慮すると、3モーターのベッドが選ばれることが多い傾向にあります。
■4モーター以上
一般的には3モーターまでのベッドが広く使用されていますが、より高度な機能を求める場合は、4モーター以上の製品が選択肢に入ります。
たとえば、以下のような機能が搭載されています。
・背上げ+脚上げ+高さ調整+ヘッドレストの調整
・背上げ+脚上げ+高さ調整+体位変換の補助機能
・立ち上がり補助機能など
4モーター以上の製品は、使用する方や介護者の細かいニーズに対応できるため、介護者の負担をより一層軽減します。
イラスト:macrovector/出典:Freepik
介護用ベッドを選ぶ際には、まず「背上げ」「脚上げ」「高さ調整」のうち、どの機能が必要かを明確にすることが重要です。これにより、ベッドの種類(モーターの数)が決まります。
さらに、介護用ベッドをより快適に使うためには、以下のポイントも押さえておきましょう。
■ベッドのサイズを決める
使用する方の身長に合わせて、適切なサイズのベッドを選びましょう。
サイズ表記はメーカーによって異なりますが、おおむね以下のようになっています。
単位:(cm)
また、サイズを選ぶ際には以下の点も考慮しましょう。
・ベッドへのアプローチのしやすさ:人や車椅子、歩行器などが通れるスペースが確保されているか
・介護者の介助のしやすさ:ベッドが広すぎると介助しづらい場合があるため、必要以上に大きくしないことも大切
これらを基に、使いやすいサイズのベッドを選びましょう。
■マットレスの種類を決める
身体の状態に合ったマットレスを選ばないと、動きにくさや身体の痛み、床ずれなどのリスクが生じる恐れがあります。
以下の基準を参考に、マットレスを選びましょう。
・寝起きや立ち座りが大変な方:硬めのマットレスを選び、動きやすくする
・身体の変形や痛みがある方:柔らかめのマットレスで、身体にかかる圧を分散させる
・自力で寝返りできない方:エアーマットレスを使用し、床ずれを予防する
・頻回な体位交換の負担を軽くしたい場合:自動で体位交換するエアーマットレスを選ぶ
■必要に応じて介護用ベッドの付属品を選ぶ
付属品とは、介護用ベッドと一緒に使用するものを指します。主な付属品とその役割は、以下の通りです。
・サイドレール(ベッド柵):転落防止、布団の落下防止
・手すり:寝返り、起き上がり、立ち上がり、乗り移りなどの補助
・サイドテーブル:ベッドでの食事や、読書の際に使用
・スライディングボード:ベッドや車椅子への乗り移りをサポート
・スライディングシート:ベッド上で身体を滑らせて、身体の位置を変える際に使用
使用する方の身体状態や介助の方法に合わせて、適切な付属品を選びましょう。
■安全性に配慮する
リモコンの誤操作により、サイドレールや床などに挟まれる死亡事故も報告されています。
事故を防止するためには、挟み込み防止装置やリモコンのロック機能などの安全装置がついたベッドを選びましょう。
また、介護用ベッドは2009年にJIS規格が改正されているため、最新の規格に対応している製品を選ぶことをおすすめします。
ただし、安全装置がついていても、事故のリスクを完全に防ぐことはできません。ベッドの周囲に障害物がないか確認し、身体の一部が可動部の近くにないことを確かめながら、操作することが大切です。
介護用ベッドには、利用者の動きやすさや快適な寝心地、介護者の負担軽減などを目的としたさまざまな機能が備わっています。
選ぶ際には機能の種類だけでなく、サイズや付属品、安全性にも着目して最適な介護用ベッドを選んでください。
監修者:中谷ミホ
著者:鈴木康峻
2008年理学療法士免許取得。長野県の介護老人保健施設にて入所・通所・訪問リハビリに携わる。
リハビリテーション業務の傍ら、介護認定調査員・介護認定審査員・自立支援型個別地域ケア会議の委員なども経験。
医療・介護の現場で働きながら得られる一次情報を強みに、読者の悩みに寄り添った執筆をしている。
得意分野:介護保険制度・認知症やフレイルといった高齢者の疾患・リハビリテーションなど
保有資格:理学療法士・ケアマネジャー・福祉住環境コーディネーター2級