介護老人保健施設と介護医療院はともに公的施設ですが、入所期間や費用、サービス内容などが異なります。今回は特徴を比較しながら、それぞれの違いをご紹介します。

1. 介護老人保健施設とは

介護老人保健施設(以下老健)は、在宅復帰を目標にリハビリを行う公的な介護保険施設です。主に退院後すぐ自宅での生活に戻るのが難しい方を対象としており、自宅と病院の中間的な役割を果たしています。

老健の大きな特徴は、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門職が入所者一人ひとりに合わせたリハビリプログラムを実施していることです。

入所期間は原則3ヶ月と決められていますが、リハビリの進捗状況や必要性に応じて延長されることもあります。

2. 介護医療院とは

介護医療院は、長期療養を必要とする要介護高齢者に医療的ケアや介護を一体的に提供する介護保険施設です。その多くは、2024年3月末に廃止された介護療養型医療施設の受け皿として運営されています。

外観は病院と区別がつきにくい場合もありますが、実際は医療的ケアを必要とする要介護高齢者の生活施設です。

◾️介護医療院の種類
介護医療院はⅠ型とⅡ型の2種類があり、Ⅰ型は、従来の介護療養病床、Ⅱ型は介護老人保健施設にあたります。そのため、Ⅰ型はⅡ型に比べて、より重度な症状の方を対象としています。

いずれもターミナルケアや看取りに対応しており、終の棲家としての役割も果たしています。

3. 介護老人保健施設と介護医療院の違い

介護老人保健施設と介護医療院には、さまざまな違いがあります。

●介護老人保健施設

入所対象者

・65歳以上で要介護1以上の人
・40~64歳で特定疾病のある要介護1以上の人

入所目的
・在宅復帰を目指す

入所期間
・原則3ヶ月

初期費用
・なし

月額利用料
・5~15万円

医師
・入所者100人あたり1人以上

介護・看護職員
・介護職員:入所者3人に対し1人以上
・看護職員:介護職員の7分の2以上

リハビリ職員
・理学療法士、作業療法士または言語聴覚士が入所者100人に対していずれかの1人以上

医療サービス
・常勤医師や看護師による医療的ケアが受けられる
・インシュリン注射や経管栄養、たんの吸引などに対応

リハビリテーション
・身体機能の向上を目指して、週に数回行う
(入所後3ヶ か月間は週3回以上の場合が多い) 

●介護医療院

入所対象者
・65歳以上で要介護1以上の人
・40~64歳で特定疾病のある要介護1以上の人

入所目的
・長期間療養する

入所期間
・終身利用可

初期費用
・なし

月額利用料
・10~20万円

医師
・Ⅰ型:入居者48人あたり1人以上
・Ⅱ型:100人あたり1人以上

介護・看護職員
・介護職員:入所者3人あたり1人以上
・看護職員:入所者6人あたり1人以上

リハビリ職員
・適当数

医療サービス
・常勤医師や看護師による医療的ケアが受けられる
・高度な医療処置に対応

リハビリテーション
・身体機能維持のため、週1~2回未満行う


介護老人保健施設と介護医療院は、入所期間や費用、サービス内容が異なります。

入所を検討する際は、これらの違いを比較して、自身の身体状況や目的に応じて適切な施設を選ぶことが重要です。

4. 違い①入所期間

介護老人保健施設と介護医療院の入所期間には大きな違いがあります。

老健は、在宅復帰を目指す施設であり、入所期間は原則として3ヶ月とされています。

一方、介護医療院は、医療ニーズの高い方を対象とし、終身利用が可能な施設です。

老健は短期的なリハビリを希望する方に適しており、介護医療院は長期療養を必要とする方に向いています。

5. 違い②費用

【介護老人保健施設】
介護老人保健施設の費用相場は、月5〜15万円です。居室のタイプや広さによって費用が異なるほか、施設が提供するサービス内容によっては、追加料金(各種加算)が発生する場合もあります。

例えば、集中的なリハビリを受けられる施設や、手厚い在宅復帰支援プログラムを提供する施設は、費用が高くなる傾向があります。

【介護医療院】
介護医療院の費用相場は月10〜20万円です。ただし、Ⅰ型とⅡ型で料金が異なります。

Ⅰ型は医師や看護師などの配置人数が多く、より手厚い医療的ケアを受けられるため、費用が高くなります。介護老人保健施設に比べると、介護医療院の方が費用は高い傾向がありますが、施設の人員配置やサービス内容によって異なるため、選ぶ際には十分な確認が必要です。

6. 違い③サービス内容

◾️リハビリテーション
老健では、理学療法士や作業療法士によるリハビリが行われ、自宅での生活を再開するための支援が重視されます。介護医療院でもリハビリは行われますが、主に身体機能の維持・向上を目的としています。

◾️医療的ケア
老健では必要最低限の医療的ケアが提供されますが、介護医療院ではより高度な医療的ケア(経管栄養・喀痰吸引など)が提供され、医療ニーズの高い利用者に対応できる体制が整っています。

◾️日常生活支援
両施設とも食事介助、排せつ介助、入浴介助などの日常生活支援を行いますが、介護医療院ではより重度の介護が必要な方に対応しています。

7. 介護老人保健施設と介護医療院の違いのまとめ


●介護老人保健施設

入所(入居)基準
・65歳以上で要介護1以上の人
・40~64歳で特定疾病のある要介護1以上の人

入所目的
・在宅復帰を目指す

入所期間
・原則3ヶ月

費用の目安
・月額5~15万円(入居一時金なし)

施設の特徴
・在宅復帰を目的としたリハビリテーションを行う施設

向いている人
・医療的ケアやリハビリテーションを受けたい人
・在宅復帰を目指す人

●介護医療院

入所(入居)基準
・65歳以上で要介護1以上の人
・40~64歳で特定疾病のある要介護1以上の人

入所目的
・長期間の療養と介護

入所期間
・終身利用可能

費用の目安
・月額10~20万円(入居一時金なし)

施設の特徴
・長期療養のための医療が受けられる施設

向いている人
・医療ニーズが高く、一般の高齢者向け施設への入居が難しい人
・長期入所を希望する人


監修者:中谷ミホ


写真(トップ):著作者:Lifestylememory/出典:Freepik


この記事の提供元
Author Image

著者:倉元 せんり

福祉系大学を卒業後、急性期病院で医療ソーシャルワーカーとして勤務。現在は、フリーライターとして、福祉にまつわるさまざまな記事を執筆している。福祉制度や社会保障などの知識を分かりやすく伝えるのが得意。
保有資格:社会福祉士・ケアマネジャー

関連記事

シニアの体型とライフスタイルに寄りそう、 2つの万能パンツ

2022年7月23日

排泄介助の負担を軽減!排尿のタイミングがわかるモニタリング機器とは?

2022年9月23日

暮らしから臭い漏れをシャットアウト! 革新的ダストボックス

2022年9月5日

Cancel Pop

会員登録はお済みですか?

新規登録(無料) をする