⾜腰の筋⼒が落ちると転倒しやすくなります。ましてや高齢者の場合、⼀⼈の時に転倒するのは心配ですね。とはいえ、昨今では過剰な救急⾞の使⽤が社会問題になっています。いざという時に救急車を呼ぶべきか、迷うこともあるかと思います。そこで、正しく救急⾞を使⽤するための観察ポイント、そして簡単にできる3つの転倒予防策をご紹介します。
⼈は年を重ねて、活動量が減ると細胞の数が減り、各臓器の働きが鈍くなっていきます。新しいことを覚える能力や注意⼒、集中⼒も低下します。すると、⾝体を動かす筋力と思考の間に誤差が⽣じ、こう動こうと頭では思っても、体は前のめりになって⾜がついていかない、ということも起きてきます。よって、つまずいたり、少しの段差で転倒しやすくなるわけです。
また、その⼈の栄養状態や服用している薬によっては、⾎圧の状態によってふらついたりすることもあります。また、その方が⾻粗しょう症の状態であれば、転倒した際に⾻折や致命的な外傷につながったり、寝たきりにもなりかねません。
このような事情から、ひとり暮らしの⾼齢者が転んだ場合、あわててしまい、即救急⾞を呼ぼうとするのは当然だと思います。家の中はたいてい畳やカーペットが敷いてあるため、転倒してもほとんどの場合、軽傷ですみますが、新聞や郵便物を取に⾏った際に⽞関先で転倒した場合、コンクリートや⽯に頭や⾝体を打つ可能性もあるため、充分注意する必要があります。
数⽇後に内出⾎がある、転んで打った場所が少し痛い、という程度であれば様⼦を⾒て、次の受診時に主治医に伝えれば良いのですが、打った箇所やその後の状態によってはとるべき対応が変わってきます。
「胸」「お尻」「⼿⾸や肩」「頭」の4箇所を打った時の症状の観察について説明をします。
「この程度で呼んでいいの︖」「何とか⾃分で受診できそうだ︕」「家族に連絡を︕」
などと思っている間に意識がもうろうとする、⼿⾜がしびれて連絡ができない、といった場合は、急を要する事態にもなりかねないため、決断を急ぐ必要があります。
救急⾞を呼ぶ際の判断基準は、急な変化やそれが予測できそうなものかどうか、ということです。看護師はそれらを判断するために通常、体温・⾎圧・脈拍・呼吸状態を観察しています。
急を要する症状としては、痛みが強くなっていること・嘔吐・めまい・意識がもうろうとする・呼吸が速くて苦しい・体が熱いなどになり、これらの症状が見られる場合、体に変化が起こっていると思われますので、すぐに救急⾞を呼びましょう。
65歳以上の⾼齢者の3 ⼈に1⼈は、1年間に1回以上は転倒するといわれています。また、そのうちおよそ5%の⼈が⾻折をするともいわれています。これは3秒に1 ⼈が⾻折している計算になります。
転倒を防ぐ方法については多くの情報が出回っていますが、今回はすぐに覚えられて、すぐに使え、すぐに効果のある3つの⽅法をお伝えします。
⾼齢になると、臓器の機能とともに、治す⼒(治癒力)と新しい環境に適応する⼒も低下していきます。思ったように⾜が追い付かず、ふとした拍⼦に転倒しやすくなってしまい、転倒した後には実際は大丈夫であっても、あわてても救急⾞を呼んでしまうということにもなりかねません。
そのような時は、痛み、腫れ、熱感がなく、動きに問題なければ、経過を⾒ていきましょう。排せつ器官がある腰回りの骨は、痛み、⾎尿がでないかどうか、様⼦をみる必要があります。
そして、頭部の観察は慎重に。軽く打った場合でも受診の際は必ず医師に伝えてください。そして、強い痛みがあったり、動けない、嘔吐やめまいがある、呼吸が苦しいなどの場合はすぐに救急⾞を呼びましょう。また、そういった緊急時に備えて、いつでも救急車を呼べる体制をとっておくと安⼼だと思います。
とはいえ、転倒しないことがなにより重要です。動画内ですぐに効果のある転倒予防⽅法を伝えていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
※この著者の関連情報
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著者:福井三賀子
⽇本ナースオーブ・ウェルネスナースとして活動しています。看護師20年の経験と認知科学、⽇本⽂化の観点からコミュニケーションが健康に影響すると考えています。私と同世代の⼥性との関りから、更年期について探究し、講座や動画を通して情報を配信しています。