「減塩メニューは薄味でおいしくない……」と思っていませんか? 塩分を減らすことで物足りなさを感じることがあるかもしれませんが、そんなときは“おいしさの要素”を足してみましょう。今回は昆布の「うま味」をプラスした、鯛の昆布蒸しをご紹介します。
1日の塩分摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満が推奨されていますが、日本人の平均摂取量はこれを大きく上回る9~10gといわれています。過剰な塩分は高血圧を招き、動脈硬化や脳卒中、心臓病のリスクを高めるため、減塩は健康管理において欠かせません。
しかし、減塩すると「味気ない」と感じることも多いですよね。そこでカギとなるのが「うま味」を活用することです。今回は昆布を使ってうま味をプラス。鯛を昆布じめにして蒸すことで、余計な調味料を加えなくても淡泊な鯛も奥行きのある味わいに仕上がります。また、下味つけの塩は酒などの水分と一緒に鯛にまぶすと全体的に広がりやすいので減塩できます。
付け合わせに、セロリ、長ねぎ、しょうがといった“香り野菜”を加えることで味にメリハリがつき、減塩料理をよりおいしくしてくれます。
魚からたんぱく質、野菜からビタミンやミネラルをバランスよく摂取できるのも魅力。塩分を抑えつつ、味も栄養も妥協しないヘルシーメニューをぜひお試しください!
材料(2人分)
鯛……2切れ(180g)
セロリ……1/2本
パプリカ(赤・黄)……各1/6個
長ねぎ……5 ㎝
しょうが(薄切り)……4枚
昆布(5×10㎝)……2枚
塩……少々
酒……大さじ1
ごま油……大さじ1
A
しょうゆ・酢……各大さじ1/2
砂糖……小さじ⅓
*料理のエネルギー・ 塩分は1人分です。
*野菜類は皮をむくなどの下ごしらえをすませてからの手順を説明しています。
エネルギー 189kcal
塩分 1.1g
料理撮影:石井 宏明
レシピ開発・調理:満留 邦子
①耐熱皿に鯛を入れ、塩と酒をまぶし、昆布を下に敷いて10 分ほどおく。
②セロリは5㎝長さのせん切り、パプリカは縦に薄切りにする。長ねぎは切れ目を入れて芯を除き、せん切りにする。しょうがもせん切りにする。
③フライパンにキッチンペーパーを敷き、水を200mL程度注ぎ、①を皿ごと置く。ふたをして中火で熱し、沸いてきたら火を弱めて10分ほど蒸す。(蒸し器を使う場合も10 分が目安)
④耐熱ボウルに、長ねぎとしょうがが上になるようにして、②を入れる。小さめのフライパンにごま油を入れて強火で熱し、ボウルに入った野菜にかける。さっと全体を混ぜてからAを加えて混ぜる。
⑤器に③の鯛を盛り、④を汁ごとかける。
シニアのためのひと工夫:
セロリは三つ葉に替えてもOK。長ねぎは、小口切りにして繊維を断ち切るとより食べやすくなります。
著者:満留 邦子(みつどめ くにこ) /管理栄養士 料理研究家
大学の家政学部を卒業後、料理研究家のアシスタントなどを経て、独立。書籍、雑誌、新聞、テレビなど多様な媒体で活動し、料理教室の講師や企業のレシピ開発を手掛ける。特に「家庭料理」を得意とし、身近な材料で作りやすいレシピ作りに定評がある。著書に『料理が楽しくなる圧力鍋レシピ』(成美堂出版)、『今日のうどん』(成美堂出版)、『ごはんのおとも』(成美堂出版)など多数。