春は気圧の変化が⼤きく、頭痛を起こしやすい時期です。日本の15 歳以上の片頭痛の患者数は約 840 万⼈といわれています(*1)。頭痛のタイプや原因を知って対策をすることで、スッキリ快適な春を過ごしましょう︕ 

1. 頭痛にはどんな種類があるの︖




頭痛は主に、⼀次性頭痛と⼆次性頭痛の 2 種類に分けられます。 
 
⼀次性頭痛はストレスや⽣活習慣によって起こる頭痛で、「緊張型頭痛」「⽚頭痛」「群発(ぐんぱつ)頭痛 」があります。

片や⼆次性頭痛は病気が原因で発⽣する頭痛で、「⾼⾎圧性」「副⿐腔炎」「脳⾎管疾患」などによって起こります。それぞれの症状や特徴をご説明するとともに、受診や病院での検査をした⽅が良い症状など、緊急性の高いケースについてもお伝えします。 

(1)⼀次性頭痛 
①緊張型頭痛 
・⼀次性頭痛のうち、最も一般的 
・頭全体が締め付けられるような鈍い痛みが数⽇間続く場合がある 
・⾸や肩こりを伴うこともあり、特に⼣⽅にひどくなる傾向がある 

②⽚頭痛 
・頭の⽚側がズキズキと脈を打つような痛みがある
・歩いたり、階段を上ったりする動作で痛みが強くなる 
・吐き気や嘔吐を伴うこともあり、光や⾳、においに敏感になる症状が表れる 
・4 時間から 72 時間続くといわれている

③群発頭痛 
・⽐較的稀な頭痛で、特に⽬の周囲や前頭部、側頭部に激しい痛みが表れる
・えぐられるような強い痛みが⼀定の期間、集中的に起こる 


(2) ⼆次性頭痛 
①⾼⾎圧性の頭痛 
・⾎圧の上昇により頭全体や後頭部にズキズキした痛みや頭重感が起こる
・特に朝起きた時や興奮時に表れることが多い 

②副⿐腔炎による頭痛 
・頭全体やおでこ、こめかみ、⿐の奥に痛みが起こることがある
・⿐づまりや⿐⽔がひどくなると痛みが悪化しやすい 

③脳⾎管疾患による頭痛 
・突然起こる激しい痛みが特徴 
・脳梗塞、脳出⾎、クモ膜下出⾎などの病気が考えられる 
・クモ膜下出⾎の症状は、後ろから⾦属バットで頭を殴られたような痛みとして表現されることがある

あなたの頭痛のタイプはどれに当てはまりますか? 

⾼⾎圧性頭痛の場合は⾎圧の管理が⼤切です。頭全体や⿐の奥に痛みがある場合は副⿐腔炎が疑われますが、その場合、⽿⿐科の受診をおすすめします。 突然の激しい痛みや意識障害を伴う場合、緊急対応が必要です。すぐに救急車を呼び、医療機関で迅速に検査を受けましょう。


*1 Sakai, F. et al.:Cephalalgia. 1997;17(1):15-22.

2. 頭痛って何で起こるの?

人体に影響を与えるもののイメージ

頭痛は、⾎管の拡張や収縮による⾎流の変化によって起こります。緊張型頭痛・⽚頭痛・群発性頭痛について、具体的な原因を⾒ていきましょう。原因を知れば対策をすることができます。 

(1)緊張型頭痛の原因 
姿勢の悪さが⼤きな原因です。⻑時間のパソコン作業や下を向いて携帯を使っていませんか? 筋⾁がこわばり、⾎流が悪化する事で緊張型の頭痛を引き起こします。 

(2)⽚頭痛の原因 
⽚頭痛の原因は 4 つあるといわれています。 

① 気圧や気温の変化 
3 ⽉は冬から春への移⾏期で、暖かい空気と冷たい空気がぶつかり合うことで、低気圧と⾼気圧が交互に発⽣しやすくな ります。この気圧の変動が短期間で繰り返されて⾃律神経を乱し、⾎管の調整機能が低下することで⽚頭痛が起こりやすくなります。特に低気圧のときは⾎管が拡張しやすく、頭痛を引き起こす原因になります。 

② 環境の変化やストレス 
3 ⽉は新学期や異動を控えた時期で、環境の変化が多く、ストレスが増えやすい時期です。ストレスが蓄積すると、⾸や肩の筋⾁が緊張し、⾎流が悪化することで、頭痛を引き起こしやすくなります。 

③ ⽣活習慣 
不規則な⽣活で睡眠不⾜になると脳が酸素不⾜になり、⾎管が拡張して頭痛を引き起こします。 コーヒーやチョコレートに含まれるカフェインやワインの摂取も⾎管の収縮・拡張を引き起こし、⽚頭痛の要因となります。この3つの⾷品は⾎管を収縮させた後に拡張させるため、頭痛を引き起こす原因となります。 

④ ホルモンバランスの変化 
⽚頭痛は⼥性に多いといわれています。⽉経に伴い、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が減ると脳の⾎管が拡張するため、⽚頭痛が起こりやすくなります。

(3)群発頭痛の原因 
原因は完全には解明されていませんが、体内時計の乱れや、脳内の⾎管が異常に拡張することが関係していると考えられています。季節の変わり⽬に多く、アルコール・喫煙が誘因になることもあります。 

このように、頭痛の多くは⾎管の拡張や収縮により⾎流が乱れることによって起こるといわれています。 

3. 頭痛を緩和させる習慣

自宅でリラックスしている女性
頭痛がある場合、どのように対策をしていますか︖ 痛みが強い場合、頭痛薬などを使うこともあるかと思いますが、ほかに予防できる⽅法があれば、それが理想的だと思います。

東洋医学では、⾝体の健康を保つために「熱(ねつ)」「⽔(すい)」「気(き)」のバランスが⼤切だとされています。 

「熱」︓体温とエネルギーのバランス・体を温める⼒ 
「⽔」︓体内の巡りと潤い、⾎液やリンパ、体液の巡り 
「気」︓体内を巡る⽣命エネルギーの流れ、精神的な安定や活動⼒ 

この3つのバランスを整えるために「頭寒⾜熱」という考え方があり、以下のような⽅法で実践することができます。

【「頭寒⾜熱」の実践法】 
・アイスノンを使って頭を冷やし⾎管の収縮を促す。
・上半⾝は薄着を⼼がける。
・⾜湯で⾎流を改善させる 
・靴下を必ず履く、レッグウォーマーやひざ掛けを活⽤する 
・温かい飲み物を摂り、内臓を冷やさないように⼼掛ける 

「頭寒⾜熱」は、頭を冷やし、⾜を温めることで全⾝のバランスを整える養⽣法です。これにより、体内のバランスが整い、⼼⾝の安定と健康維持に役⽴ちます。

「頭寒⾜熱」を実践することには、下記のようなさまざまなメリットがあります。 

① ⾎流の改善
② リラックス効果 
③ 集中⼒の向上 
④ 冷え性の緩和 
⑤ ⾃律神経の安定 
⑥ 免疫⼒向上 

頭痛への対処法としてだけでなく、健康を維持する⽅法にもなるのですね。簡単にできる健康法ですので、⽇々の⽣活に取り⼊れてみて下さい。 

⾃分の頭痛のタイプと原因を知り、「熱・⽔・気」を意識した⽣活習慣の⾒直しが、頭痛の予防につながります。 気圧や⽣活習慣、ストレスで起こる頭痛には、「頭寒⾜熱」を意識した予防法を取り⼊れましょう。 

次回の動画では、体を動かして頭痛と体調を整える⽅法をご紹介します。こちらもぜひご覧くださいね。新しい季節に向けて体調を整えていきま しょう。 


協力:⼀般社団法⼈⽇本ナースオーブ


※この著者の関連情報
・メルマガ:「⼈⽣が豊かになる介護メルマガ
・オンライン講座:「親⼦関係 5 つの原則

この記事の提供元
Author Image

著者:郷堀有里夏

⼀般社団法⼈⽇本ナースオーブ・ウェルネスナースとして活動しています。看護師歴は 30 年になりますが、⾃分の親の介護を経験した際は、不安や苛⽴ち、葛藤を感じていました。しかし、認知科学を学ぶことで視点が⼤きく変わり、後悔のない介護を⾏うことができました。現在はその経験を活かし、認知科学やコミュニケーションの⽅法を応⽤したオンライン講座や介護相談を⾏って います。

関連記事

シニアの体型とライフスタイルに寄りそう、 2つの万能パンツ

2022年7月23日

排泄介助の負担を軽減!排尿のタイミングがわかるモニタリング機器とは?

2022年9月23日

暮らしから臭い漏れをシャットアウト! 革新的ダストボックス

2022年9月5日

Cancel Pop

会員登録はお済みですか?

新規登録(無料) をする