近年、訪問型の特殊詐欺や強盗事件が後を絶ちません。特に狙われやすいのが、一人暮らしの高齢者や高齢夫婦世帯。「ちょっと玄関先まで」と応対したことがきっかけで、犯罪に巻き込まれてしまうケースも報告されています。こうした被害を防ぐには、まず「来訪者が誰なのか」の確認が大切です。そこで導入を検討したいのが、「カメラ付きドアホン」。最新の製品なら、来訪者の顔を映像で確認できるだけでなく、録画機能やスマートフォンとの連携機能など、防犯に役立つ機能が満載。この記事では、カメラ付きドアホンのメリットとおすすめ製品を紹介します。

1. 高齢者ほどカメラ付きドアホンが必要な理由

一戸建ての玄関


昔ながらの家では、チャイム音が鳴るだけや音声応答のみのインターホンが多いのが現状です。また、古いカメラ付きドアホンは画質が悪かったり、白黒映像で相手が確認しにくかったりすることも。特に高齢になると視力や聴力が低下しがちなので、こういった設備では誰が来たのかわからず、不審者に対して安易にドアを開けてしまうリスクがあります。

最近のドアホンなら、来客を自動的に録画するような防犯に便利な機能も搭載。さらに、スマートフォンと連携できるモデルなら、介護者が同居していない場合でも安心です。実家のドアホンに連動するアプリを通じて、介護者が遠隔地から来訪者をリアルタイムで確認・応対できるといった製品まであります。最新の高機能カメラ付きドアホンは、離れていても家族の安全を見守りたいという人にとって特に有効なのです。

2. 高齢者世帯に最適なカメラ付きドアホン選びのポイント①設置タイプを選ぶ

防犯カメラの設置工事

いざカメラ付きドアホンを選ぼうと思っても、さまざまな製品があって迷ってしまうかもしれません。ここでは、高齢者世帯にとって特に重視したいポイントをご紹介します。

ドアホン導入で最初に考えるべきは、設置タイプ。市販のドアホンには工事が必要になる「据え付けタイプ」と、自分で簡単に設置できる「後付けタイプ」があります。据え付けタイプは専門業者による工事が必要なため、設置費用と手間が大きくなりがち。その代わり、通常は玄関に設置するカメラ付きの子機と室内の親機となるモニターが有線でつながっているので、音声や映像が安定しているのが大きなメリット。高性能な製品も多く、配線を隠したスッキリしたデザインが多いのもこのタイプです。

3. 防犯機能を重視した、高齢者でも見やすい大型モニター

据え付けタイプの製品のなかでも、「防犯機能」を重視した製品で人気なのがパナソニック。例えば、「ワイヤレスモニター付テレビドアホン 3-7タイプ VL-SWZ700KS」なら、屋内モニターが7.0型とかなり大型で、目の悪い高齢者でも見やすくて便利。ワイヤレスモニター子機もついているので、ベッドからの応対もできます。知らない来訪者が来た時に、ドアホンが合成音声で応答する「あんしん応答」機能といった面白い機能もあり、「高齢者だけで住んでいる」ことを隠すこともできます。


パナソニック「ワイヤレスモニター付テレビドアホン 3-7タイプ VL-SWZ700KS


panasonic wireless doorphone

4. 集合住宅で工事ができない場合は、後付けタイプを

集合住宅の玄関口

集合住宅で工事ができない、あるいは費用を抑えたいなら、後付けタイプを選ぶとよいでしょう。後付けタイプは、玄関子機と室内親機が無線でつながるため、基本的に配線工事が不要。その分、簡単に自分で設置ができるのが特徴です。このタイプは低価格でも、録画や遠隔対応などの高機能な製品が多いというメリットもあります。

ただし、チェックすべき項目が多いのも後付けタイプ。まず、必ずチェックしなければならないのが電源です。ドアホン設置場所の近くにコンセントがない場合は、バッテリータイプの製品を選ぶ必要があります。ただし、バッテリー式の製品は定期的な電池交換やバッテリー充電が必要になるので、定期的にメンテナンスできるかが重要です。

5. 玄関のドアに引っ掛けるだけの後付けタイプ

純粋なドアホンではありませんが、設置の簡単さを最優先するならパナソニックの「モニター付きドアカメラ VS-HC400」が便利。なんと設置はドアにカメラを「引っ掛ける」だけ。既存のドアホンと連動させる製品で、玄関のチャイムが鳴る音でVS-HC400が自動起動してカメラで来客の映像をチェックできるようになります。


パナソニック「モニター付きドアカメラ VS-HC400


panasonic monitored doorcamela

6. Wi-Fi環境があるなら、賢い防犯機能で人気のAmazon

一部の後付けタイプドアホンは、使用するのにWi-Fi環境を必要とする点も注意。なかでも、スマートフォンとの連携やクラウドサービスといった高度なサービスが利用できる製品は、ほとんどの場合Wi-Fi環境が必要です。

Wi-Fi環境があるなら、賢い防犯機能で人気のAmazon「Ring Battery Doorbell Plus」も便利です。専用の室内用モニターはなく、基本的にスマートフォンや液晶付きAlexa端末と組み合わせて使います。外出先からの応対はもちろん、来客がドアホンを押した場合だけではなく、動く人を自動検知して録画するといった防犯機能まで搭載しています。


Amazon「Ring Battery Doorbell Plus

Amazon「Ring Battery Doorbell Plus」

7. 高齢者世帯に最適なカメラ付きドアホン選びのポイント②防犯に便利な機能があるものを選ぶ

せっかくカメラ付きドアホンを購入するなら、防犯に役立つ性能があるものを選びましょう。まずチェックしたいのがカメラの視野角。視野角とはカメラが写し出せる範囲の角度のこと。この角度が広いほど、玄関先の広い範囲が見渡せます。視野角が狭いとドア正面の人は映っても、離れた人や横に隠れた人は写りません。視野角が広い「広角レンズ」なら死角になりやすい場所にいる人物も捉えて、不審者の見逃しを防ぎやすくなります。夜間の来客がある家なら、夜間でも鮮明に写るナイトビジョンや照明付きの製品も検討しましょう。

左右約170°という、ほとんど死角がないカメラを搭載するアイホンの「WS-24A」。こちらも録画機能はもちろん、ドアホンが合成音声で来客応対する「おまかせ応答」機能など、幅広い防犯機能を搭載しています。


アイホン「WS-24A


アイホン「WS-24A」

8. 離れて暮らす家族もスマホで確認できる

屋内用モニターの見やすさも重要です。寝ていることが多い高齢者世帯なら、寝室など家の中のどこからでも来訪者に応答できるワイヤレス子機付属製品を選ぶとよいでしょう。また、スマートフォンと連携できるモデルなら、外出先からでも来訪者を確認・応対ができて不審者に留守であることを知られる心配がありません。スマートフォン連動タイプの製品には、離れて暮らす家族が実家の来訪者をリアルタイムで確認できる機能を搭載しているものもあり、高齢の親などを見守る上で有効な機能も多くあります。

また、防犯を重視したドアホンなら、かならず録画機能を搭載した製品を選びたいところ。自動録画機能があるか、何件(何時間)まで録画できるかもチェックしておきましょう。映像の保存方法には本体の内蔵メモリに保存するタイプのほか、SDカードに保存するタイプ、そしてクラウド(ネット)に保存するタイプがあります。クラウド保存タイプは本体が破壊されてもデータが残るために安心感がありますが、月額費用がかかる場合が多いのでコストも考慮しましょう。

Wi-Fi環境が必要になりますが、スイッチボットの「SwitchBot スマートテレビドアホン」ならカラーナイトビジョンで夜の来客もしっかり録画。同社のスマートロックと組み合わせることで「来客を確認して解錠」まで専用の室内モニターで一括して行えます。


スイッチボット「SwitchBot スマートテレビドアホン

スイッチボット「SwitchBot スマートテレビドアホン」

9. ドアホンひとつで、暮らしの安心が大きく変わる

インターフォンに応答するシニア女性

最近は「空き巣に入る前に事前訪問して下調べする」など、犯罪の巧妙化が進んでいます。誰が来たのかわからないという不安から解放され、安心して日々の生活を送るためにも、カメラ付きドアホンは生活に欠かせないアイテム。本記事でご紹介した選び方のポイントを参考に、ぜひご自身のライフスタイルやご家族の状況にぴったりの一台を見つけてみてください。ほんの小さな変化が、自宅の安心と安全を大きく向上させるはずです。



構成:株式会社研友企画出版
写真:PIXTA


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この記事の提供元
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著者:倉本 春

倉本 春(くらもと・はる)
家電ライター。白物家電(生活家電)やIoTガジェットなど、生活を快適・便利にする製品の紹介や解説、レビューを中心に記事を執筆。ソフトバンクにてPC系雑誌(月刊誌PC Japan /PC Computing )の編集を5年、その後、6年間東京にてドッグカフェを経営(オーナー兼シェフ)。2013年より生活家電、白物家電をメインとした家電ライターとして活動する。カフェのオーナーシェフ経験を生かした、調理家電の使いこなし方の紹介やレシピの提案、PC系雑誌の編集経験を生かした、テクニカル面からの製品紹介、専門ライターとして製品選定など、柔剛両面からの家電の紹介・解説・監修が得意。

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