近年、高齢者を狙った強盗や詐欺などの犯罪が相次ぎ、自宅の安全に対する不安を感じる方も少なくないでしょう。そんな中で「自分と家族を守る目」として注目されているのが防犯カメラです。防犯カメラは、玄関や敷地内を24時間体制で常時監視し、不審な人物の接近や不在時の訪問を記録するアイテム。最近の製品なら、撮影された映像をスマートフォンからリアルタイムで確認できるものが多く、外出中でも自宅の状況を把握できます。この記事では、防犯対策の第一歩として有効な手段である「屋外用」の防犯カメラに焦点を当て、主な機能や高齢者世帯や介護者におすすめの製品を紹介します。
防犯カメラが設置されている家は、泥棒や不審者にとってターゲットになりにくいといわれています。カメラの存在自体が「見られている」という意識を与え、犯罪を思いとどまらせる大きな抑止力になるからです。また、万が一、強盗や詐欺などの被害に遭っても、防犯カメラがあれば警察への通報や捜査の際に有力な証拠となります。
さらに、防犯カメラは外出中や離れて暮らす家族にとっても有効な見守りツール。スマートフォンでいつでも映像を確認できるため、遠隔地に住む高齢の親の状況を把握するのに役立ちます。宅配業者を装った不審者が来ていないか、郵便物が放置されていないかなどが確認できるのは防犯上大きなメリットです。
「防犯カメラ」と聞くと、昔は設置工事が必要で、お金持ちが使うアイテムというイメージがありました。しかし、インターネットやスマートフォンの普及により最近の防犯カメラはぐっと手軽で低価格になってきています。多くの製品は自分で設置可能で、Wi-Fi環境とスマートフォンがあればすぐに使用できるものが主流になりました。
とはいえ、防犯カメラの利便性はわかっていても、なかなか導入ができないという声も聞きます。その理由としてトップにくるのが導入のハードル。カメラの映像をスマートフォンでチェックできる防犯カメラはWi-Fi環境が必要なうえ、製品購入後は専用アプリのダウンロードやWi-Fiの設定も必要です。機械が苦手な人にとっては、こういった設定が自分にできるのか不安になるでしょう。高齢者だけが住んでいる家ではWi-Fi環境がない場合や、そもそもスマートフォンを持っていないこともあります。
そんな場合におすすめなのが、「モニター連動」タイプの防犯カメラ。例えば、パナソニックの「モニター付き屋外カメラ VL-CV100K」はカメラとモニターがセットになった珍しい製品で、電源を入れるだけですぐに使用できます。カメラのセンサーで人を検知すると、自動的に録画する機能も搭載。夜中に人が来たらライトを点灯したり、スピーカーから声をかけて威嚇するといった機能も搭載しています。
ひとつのモニターで最大4台のカメラを登録可能。Wi-Fi環境があればスマートフォンと連携して遠隔地からチェックすることも可能です。
パナソニック「モニター付き屋外カメラ VL-CV100K」
そもそも屋外にカメラ用の電源がない、という人も多いはず。最近は電池や内蔵バッテリーで動く製品が多いのですが、防犯カメラは常にチェックするものではありません。このため「気が付いたら1年以上前にバッテリーが切れていた」という事例も少なくないのです。特に、カメラを設置する高齢の親世帯が遠方の場合、「防犯カメラの電池を入れ替えるために実家に帰省する」というわけにもいかないでしょう。
こういった家庭に便利なのがソーラー充電に対応した防犯カメラ。例えば、モバイルバッテリーで人気のアンカーが発売する「Eufy SoloCam E30」は内蔵バッテリーのほかに、取り外し可能なソーラーパネルを付属しており、特殊な環境でないかぎり充電を必要とすることがありません。
しかも、この製品はレンズが動くことで水平方向に360°、垂直方向に70°の撮影が可能。動く物を見つけると自動でその方向を撮影するAIモーショントラッキング機能まで搭載しています。日当たりの悪い場所にカメラを設置したときは、カメラとソーラーパネルは3mの延長ケーブルで接続して分離して使うこともできます。
アンカー・ジャパン「Eufy SoloCam E30」
屋外カメラを設置するうえで、意外と見落としがちなのが撮影した映像の保存先。スマートフォンと連携する防犯カメラの多くは、カメラに挿入したmicroSDカードやカメラ内部のメモリに映像を保存します。データが手元に残る安心感はありますが、カメラが盗まれたり壊されたりしたら、せっかく撮影した犯人の録画映像が失われるリスクも。
最近はデータをクラウド(ネット)上にアップロードするサービスも増えていますが、こちらはほとんどが月額料金がかかるタイプのものです。そこで「ランニングコストをかけずにデータを保護したい」場合は、防犯カメラの録画映像を屋内で保存できる製品をおすすめします。
例えば、最初に紹介したパナソニックの「モニター付き屋外カメラ VL-CV100K」なら、屋内用のモニター内にmicroSDカードがあるので安心です。
※別売のmicroSDカードが必要です。
対応のmicroSDカード:microSDHCカード:32GB
microSDXCカード:64GB・128GB
また、ソーラーパネルの項目で紹介したアンカーは、カメラを管理するための「Eufy HomeBase S380」というアイテムを発売。このアイテムとカメラ(対応するEufy Securityカメラは別売り)を連動させることで、防犯カメラからの録画データを家の中で管理。万が一カメラが壊された場合でも録画データを残すことができます。ただし、カメラとの接続設定や、ネットワークの初期設定など、導入時には少し手間がかかる点は考慮しておきたいところです。
映像を室内で保存できる機能のほかにも、家族と知らない人を判別して「知らない人」の映像だけを抽出する機能や複数の防犯カメラのデータを連携させる機能なども利用できます。
アンカー・ジャパン「Eufy HomeBase S380」
現在では多機能で賢い多くの防犯カメラがありますが、「そもそもわが家に本当に必要なのかがわからない……」そんな悩みがあるなら、お手頃価格のカメラから始めるのも手です。
例えば、Wi-Fi機器で高いシェアを持つTP-Linkの「屋外セキュリティWi-Fiカメラ Tapo C310」は、実売6,000円前後(2025年6月時点)ながら、ナイトビジョンモード搭載で夜中の映像もしっかりチェック。動きを検知するとスマートフォンに通知する機能や、不審な人を見つけたら光と音で警告する機能も搭載しています。
最大512GBのmicroSDカードを挿入することで映像を録画記録することも可能。有償のサブスクサービスに加入することで、30日間の録画映像をクラウド上に保存することもできます。
TP-Link「屋外セキュリティWi-Fiカメラ Tapo C310」
著者:倉本 春
倉本 春(くらもと・はる)
家電ライター。白物家電(生活家電)やIoTガジェットなど、生活を快適・便利にする製品の紹介や解説、レビューを中心に記事を執筆。ソフトバンクにてPC系雑誌(月刊誌PC Japan /PC Computing )の編集を5年、その後、6年間東京にてドッグカフェを経営(オーナー兼シェフ)。2013年より生活家電、白物家電をメインとした家電ライターとして活動する。カフェのオーナーシェフ経験を生かした、調理家電の使いこなし方の紹介やレシピの提案、PC系雑誌の編集経験を生かした、テクニカル面からの製品紹介、専門ライターとして製品選定など、柔剛両面からの家電の紹介・解説・監修が得意。