高齢になると爪は厚く硬くなり、思わぬトラブルを招くことがあります。爪が原因で歩行が困難になったり、感染症につながったりすることも少なくありません。この記事では、自宅で安全に行えるシニアの爪ケア方法や注意したいポイント、利用できる専門サービスを紹介します。

1. シニアの爪の特徴とリスク

シニアの爪は、加齢に伴い厚く、硬くなりやすく、変形や変色も起こりやすくなります。これは爪の乾燥や血流の低下、栄養状態の乱れ、加齢そのものの影響が重なることによって起こる現象です。

爪が硬くなると切りにくくなり、伸びすぎた爪が皮膚を傷つけたり、靴下や布団に引っかかってケガをするリスクもあります。また、視力の低下や手先の動かしづらさから、ご本人が自分で爪を切ろうとした際にケガをしてしまうケースも少なくありません。


爪のお手入れ

特に足の爪は体重がかかるため、巻き爪や肥厚爪(ひこうそう)などの悩みが生じやすく、放置すると痛みや感染のリスクが高まります。歩行や日常生活にも大きな影響を与える可能性があるため、適切なケアが重要です。

2. 安全に爪を整えるためのポイント

シニアのネイルケアを安全に行うには、「タイミング」「手順」「道具の扱い」がとても大切です。以下のポイントを押さえることで、深爪やケガ、感染の予防につながります。

①入浴後に切るのが理想
爪は水分を含むと柔らかくなり、切りやすくなります。入浴後や足浴後など、爪がふやけた状態で切ると安全です。無理に硬い爪を切ると、深爪や割れの原因になるため避けましょう。

②道具は清潔に保つ
使用する爪切りやヤスリは、使う前後にアルコール消毒を行いましょう。特に高齢者の場合、傷口から細菌感染が起こりやすいため、清潔な道具を使うことが大切です。


爪のケアグッズ

③爪はまっすぐ、少しずつ切る
一度に大きく切るのではなく、少しずつ長さを調整するのが基本です。特に足の爪は、角を丸めず直線的にカットすることで巻き爪を防げます。白い部分を1〜2mm残すのが目安です。

④仕上げにヤスリで整える

切った爪の先端にはバリ(引っかかり)が出やすいので、やさしくヤスリをかけてなめらかにしましょう。衣類や肌を傷つけるリスクを減らせます。

3. 巻き爪・肥厚爪の注意点

◾️自己処理は避けて専門家へ相談を
巻き爪や肥厚爪が疑われる場合、自己判断で爪を切るのは危険です。無理に切ったり、皮膚に食い込んだ部分を除こうとすると、出血や炎症を引き起こし、かえって悪化することがあります。痛みや腫れがある場合は、皮膚科やフットケアの専門家に相談しましょう。

◾️早期のケアが悪化を防ぐポイント
爪のトラブルは、初期のうちに対応すれば比較的軽症で済むケースが多く見られます。爪が変形したり、厚みが気になり始めたら放置せず、早めに専門家に見てもらいましょう。進行すると歩行困難や長期間の治療が必要になる場合もあるため、注意が必要です。

4. 日常の爪ケアで心がけたいポイント

◾️無理のない姿勢で安全にケア
爪を切る際は、ご本人もケアラーも無理のない姿勢をとるようにしましょう。安定した椅子に座り、クッションや足台を活用して手足を固定すると作業がしやすくなります。明るい場所で行うのも大切なポイントです。

◾️清潔を保つ日頃のケア
爪の間には汚れがたまりやすいため、入浴時にやわらかいブラシを使って丁寧に洗いましょう。強くこすりすぎると皮膚を傷つける恐れがあるため、優しく洗うのがポイントです。

◾️保湿で爪と皮膚を守る
乾燥した爪や指先は割れやすく、トラブルの原因になります。入浴後や就寝前に保湿クリームやオイルを塗り、しなやかさを保ちましょう。

◾️足に合った靴を選ぶ
足の爪トラブルを予防するには、靴の選び方も重要です。先端が狭い靴やサイズの合わない靴は避け、指先に余裕があるデザインを選びましょう。インソールやクッションで圧力を分散させるのも効果的です。

5. 定期的な専門家のサポートで安心ケア

トラブルがなくても、定期的に専門家のチェックを受けることで、より安全な爪ケアを続けることができます。

◾️利用できる専門サービス
①医療機関
皮膚科、整形外科、フットケア外来などで、巻き爪や肥厚爪などの治療が受けられます。

②フットケアサロン
医療行為以外のケアを専門的に行うサロンもあります。医療的な問題がある場合は、医師の診断を優先しましょう。

③訪問型のフットケアサービス 
外出が難しい方は、訪問型のフットケアサービスも利用可能です。専門家による定期的なサポートを取り入れることで、爪のトラブルを未然に防ぎ、痛みや感染リスクを軽減できます。

6. まとめ

シニアの爪ケアは、衛生面だけでなく、転倒やトラブルの予防にもつながる大切な日常のケアです。日々の小さなケアの積み重ねや、必要に応じた専門家のサポートを取り入れることで、安心して過ごせる環境づくりに役立ちます。無理のない範囲でできることから取り入れてみてはいかがでしょうか。



写真:PIXTA、写真AC


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この記事の提供元
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著者:中谷 ミホ

福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級

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