シニアと行きたい旅行プランをトラベルライターの間庭典子がご提案。今回はフランス・パリを拠点とするホスピタリティグループ・アコーのホテルブランド「グランドメルキュール」での滞在をレポート。琵琶湖・長浜や伊勢志摩など、なかなか訪れる機会のないエリアの文化を五感で感じられ、滞在中はお財布を持つ心配がないオールインクルーシブなサービスが、シニア層にもおすすめです。

1. 食事やドリンクも含まれたオールインクルーシブが快適

シニアの旅のきっかけのひとつといえばお墓参り。我が家では、岡山や京都にあるお墓参りの「ついで」として、そこから近いエリアに立ち寄ることが多いのです。今回は80代になる両親と、母の妹である叔母を誘っての滋賀琵琶湖旅。京都にある母方の家のお墓参りの帰りに、京都駅から琵琶湖線新快速で約1時間、長浜にある「グランドメルキュール琵琶湖リゾート&スパ」(以下グランドメルキュール琵琶湖)で一泊することにしました。ここならば和歌山に住む叔母の家からもアクセスがよく、東海道新幹線の米原駅からもすぐ。琵琶湖を一望というちょっと非日常な景観も楽しめます。さらにここ長浜は豊臣秀長にゆかりのある地として、2026年からの大河ドラマ「豊臣兄弟!」に向け、ドラマ館ができるなど、注目のスポットなのです。


グランドメルキュール琵琶湖ラウンジ

琵琶湖が一望できるラウンジ。ドリンクやスナックも滞在費に含まれ、夜はシックなラウンジに


今回、この宿を選んだのは、グランドメルキュールが提案するオールインクルーシブの快適さを実感したから。食事はもちろん、アルコールなどのドリンクや、ラウンジでのお菓子も含まれた料金設定なので、滞在中はお財布を手にすることなく過ごせるのです。基本的に温泉などの館内の施設やアクティビティ(一部除く)の使用料も含まれているので、旅の予算も立てやすいのです。

例えば、沖縄本島にある「グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート」には、流れるプールや地上3階の高さから滑る86mの長さのスライダーなど、エンタメ性の高い屋外プール施設もあり、宿泊者は何度でも利用できます。「グランドメルキュール那須高原リゾート&スパ」のように子供が楽しめる遊び場が充実している施設も多いなど、ファミリー客にも人気。施設内で完結し、退屈せずに過ごせるので、シニア層にとっても楽なのです。

チェックインをする間、母たちにはフロント前のラウンジで、セルフでウェルカムドリンクを楽しんでもらいました。このようなちょっとした合間に楽しみがあるのっていいですよね。キッズもよろこびそうなクッキーやラムネ、グミと並んで地元のお菓子、落花おとし煎餅もあり、ちょっとしたおやつ休憩にもなりました。15時からビールやハイボールも提供されるので、ここで乾杯するのもアリです!

2. 旅と言えば温泉、温泉ラウンジでリラックス! これが鉄板

シニア旅の鉄板と言えば、お風呂です。グランドメルキュールはほとんどの施設に温泉、もしくは大浴場やサウナがあり、歩き疲れた身体をしっかりと休めることができます。ここ琵琶湖の施設にあるのは、太閤ゆかりの温泉露天風呂。錆色のお湯は総鉄イオン(*)を多く含み、身体を芯から温めてくれます。屋内の内風呂やサウナも広々。温泉ラウンジがあり、ハーブやフルーツなどを入れたデトックスウォーターやビネガードリンクなども自由に飲めます。柔らかな光にほんのりと照らされた、洞窟のような空間のラウンジチェアでは瞑想するように、リラックスできます。


*総鉄イオン・・・温泉水中に含まれる鉄分イオンの合計のこと


グランドメルキュール琵琶湖_露天風呂

野趣あふれる温泉露天風呂。大浴場の洗い場も余裕があり、シニア旅に適している


おみやげが並ぶ売店や卓球台など、観光ホテルならではの和めるスペースも。卓球台の使用料などもオールインクルーシブなので、空いていれば誰でも自由に使えます。これも地味にうれしい! 

目の前は琵琶湖なので、湖畔をウォーキングするのもいいですね。竹生島へのクルージングや黒壁スクエアなどの商業施設やおしゃれなカフェがある長浜の街を観光するのも一案です。長浜は羽柴秀吉が初めて城持ち大名となって開いた城下町であり、大通寺の門前町や、北国街道の宿場としても栄えました。現存する日本最古の駅舎などレトロな建造物も残っていて、ノスタルジックとモダンがうまくミックスされたフォトジェニックな街並み。散策にはぴったりです。

3. 品ぞろえに圧倒されるスタイリッシュなビュッフェに大満足

温泉で旅の疲れを癒したら、夜はビュッフェレストランに。2階にある300席近くあるこの広々とした空間は琵琶湖を望むパノラマレストラン。暮れてゆく湖畔を眺めながらの一献は格別。ディナーにはビールやワイン、日本酒などのアルコールの飲み物もセルフで注ぐ、フリーフローなので、ちょっとした宴会に最適。昔話にも花が咲き、盛り上がりました。

食事は好きなメニューを食べたいだけ自分で盛り付けるビュッフェ。地元の食材をいかした郷土料理など、ご当地グルメを楽しめます。湖北地方の代表的な湖魚の子付けのジュレ仕立て、近江鴨鍋や米原産大豆で作った豆腐料理や焼鯖寿司はつまみとしてもちょうどよく、ワインや日本酒が進みます。ビュッフェなのでその時期やタイミングによりメニューは変わりますが、近江牛のすき焼きなど、滋賀名物がずらりと並ぶので、ひとくちずつ味比べしてみるのもいいですね。赤こんにゃくなどの滋賀ならではの食材もぜひ試して。

外資系ホテルだけあって、和食以外の各国料理も充実。ローストビーフやBLTビーフバーガー、麻婆豆腐に点心、パスタ、本格カレーまでそろいます。シニア世代にとっては珍しいメニューも多いので、それも刺激になりそうです。


グランドメルキュール琵琶湖_ビュッフェ

近江の郷土料理はもちろん、洋食や中華など各国料理も並ぶ華やかなビュッフェ


朝食も華やか。ヒレカツスライダーやカラフルなドーナツ、エッグベネディクトなどのはいからなメニューも充実しているのですが、湖東地域を中心に県内で食べられている泥亀汁(どんがめじる)のような郷土料理も。これは擦り胡麻をいれた味噌汁が泥のように、そして切れ目をいれたなすを亀の甲羅に見立ててつけられた名前だそう。見た目のおどろおどろしさ(失礼!)に反して美味しいと盛り上がりました。おしゃれなメニューも、地元の郷土料理も、まだ知らない味に出会うのは旅の醍醐味。関西で生まれ育った叔母でさえ食べたことがなかった琵琶湖名物はたくさんあり、楽しいひとときとなりました。

4. 深夜のラウンジはハードリカーも並ぶナイトキャップのバーに

満腹になったあとはまた温泉に。夜になると温泉ラウンジでは甘酒などのサービスもあり、時間帯によって表情が変わります。これもまた、グランドメルキュール系列の魅力。

1階のラウンジも然り! 夜が深まってスパークリングワインなどの提供は終わると、ウィスキーやジンなどのハードリカーが並ぶ、ちょっとシックなナイトキャップの時間帯に。ウォッカやジンにフルーツやスパイスを漬け込んだお酒などもあり、ソーダで割って、ジュースと合わせてオリジナルのカクテルを試してみるのも楽しい。さすがにシニア世代の3人は眠りについたので、文庫本を読みながら、一人の時間をゆったりと過ごしました。


グランドメルキュール琵琶湖_ラウンジ

ナイトキャップのラウンジには地酒やウィスキー、スパイスや果実の漬け込み酒などが並ぶ


周りを見渡すと、さっきは子供たちと食事をしていた家族連れや、シニアの女子旅らしきおばさまや、1人でしっぽりと日本酒を飲んでいるお父さんなど、オトナの顔ぶれに。同じ施設内なら大人だけで出歩きやすいし、なにかあればすぐ部屋に戻れるという安心感も。しかもこの料金も滞在費に含まれているとあっては、利用しない手はありません! わたしは4種の漬け込み酒も全部試してしまいました(笑)。

21時から23時のナイトキャップの時間帯は照明も一段くらい暗く、落ち着いたトーンとなり、1日の終わりをかみしめながら過ごす空間となります。シニア世代との旅は、眠りにつく時間帯も異なったりするので、外で気分転換できるこういったラウンジがあるのはありがたいですね。

5. シニア層との旅にグランドメルキュールがちょうどいい理由

その映える空間やサービスから感度の高い若い層向け、施設やアクティビティの充実度からファミリー層におすすめしてきたグランドメルキュール。ですが、実際に「アラ傘(傘寿=80歳)3人と共に旅をしてみて、この世代にこそ楽しめるブランドなのかも、と開眼しました。ポイントはまず以下の3点です。

1.オールインクルーシブという安心感
現金を持ち歩きがちなシニア層にとって、手ぶらで過ごせるのはかなりの開放感。

2.ビュッフェでご当地グルメや各国料理を味わえる
少しずつよそえるので、新しい味にも挑戦しやすく、会話も盛り上がります。

3.温浴施設の充実で心も身体も癒される
外資系にもかかわらず、温泉や大浴場の設備が充実。温泉ラウンジも心地よい。


グランドメルキュール琵琶湖_客室イメージ

客室からも琵琶湖の絶景が! 各施設にオールインクルーシブプランがあり、館内だけでも楽しめます


これらの理由から、施設内で過ごすだけで十分に楽しめます。実際、長浜の街を観光しようと計画したのですが、「宿が素敵なのでゆっくりしたい」「もう一度、温泉に入りたい」「せっかくだから琵琶湖畔を散歩しよう」などの要望もあり、チェックアウトぎりぎりまで滞在することにしました。張りきって街情報を集めていた自分にとって、これは誤算でしたが、長浜駅に隣接したビルにスーパーマーケットやお土産物屋さんがあったので、そこに立ち寄ることで観光気分も満喫できました。

6. ブランドに共感し、全国22か所に点在する施設をめぐる

さらに以下のような「ちょうどいい理由」も。

4.混雑を回避し、ゆったりとした「はなれ旅」を計画できる
2024年にリブランドした22施設(グランドメルキュール、メルキュール)のほとんどは、大都市やメジャーな観光地から少しだけ離れた通な名所にあります。観光客が殺到するようなエリアから距離を置き、ゆったりと過ごすのはシニア層との旅向けと言えそう。

5.程よいおしゃれさで、ブランディングを確立
外資系、フランス・パリを拠点とするホスピタリティグループが展開するホテルブランドならではのという洗練された空間や、ビュッフェや施設の充実ぶりで、人に伝え、自慢したくなるようなブランドイメージ。これはシニア層に響きます!

6.リピートしやすい安定感で、次なる企画も立てやすい
今回感じたのは、シニア層は「間違いなし」という安定感にほっとするということ。同じクオリティのラウンジやビュッフェ、インテリアのおしゃれさが約束されるのならば、次もまた、とリピートしやすくなります。


グランドメルキュール_沖縄

沖縄本島の残波岬にある施設にはウォータースライダーのある各種プールも!


私は沖縄の残波岬や奈良の橿原、三重の伊勢志摩などのいくつかの施設をすでに訪れていますので、ブランディングが確立され、どの施設も安定したクオリティの食事が楽しめることを実感しています。それ故、ほかの地域のグランドメルキュールも、きっと満足できると確信できるのです。

一度このシステムを体験したら、次はシニア層だけでも別の施設に訪れやすいのではないでしょうか。関西在住の叔母も次回は友人と和歌山の施設にいってみようと話していました。シニアの家族としても、施設のクオリティ一を体験しているからこそ、80代だけの旅でも安心して送り出せます。

2024年にリブランドオープンしたグランドメルキュールとメルキュールは全国各地に22箇所は全国各地に22か所。いずれもすべての宿泊者が利用できるラウンジがあり、夕食と朝食ビュッフェがついているオールインクルーシブのプランがあります(グランドメルキュール札幌大通公園は夕食の提供がありません)。

ブランドの価値に共感すると、ほかの施設も訪れたくなります。スタンプラリーを集めるように、各地を巡ってみるのもいいですね。


グランドメルキュール琵琶湖リゾート&スパ 



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著者:間庭典子(まにわのりこ)

中央線沿線の築30年以上の一軒家に後期高齢者の両親と同居する50代独身フリーランス女子。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)「mc Sister」編集者として勤務後、渡米。フリーライターとして独立し、女性誌など各メディアにNY情報を発信し、「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」(講談社)などを発行。2006年に帰国し、現在は日本を拠点に、旅、グルメ、インテリア、ウェルネスなど幅広いテーマの記事を各メディアへ発信。旅芸人並みのフットワークを売りとし、出張ついでに「研修旅行」と称したリサーチ取材や、さびれた沿線のローカル列車で進む各駅停車の旅を楽しむ。全国各地の肴を味わえる地元の居酒屋やスナックなどの名店を探すソロ活動も大好き。

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