イオングループが展開する半日型のリハビリ特化型デイサービス「イオンスマイル」が、新潟市に初出店。東区の新潟東店、西区の新潟西店の2店舗で、いずれも「買い物リハビリ」という独自の取り組みを導入し、地域密着型の運営をスタートしました。今回は、利用者やスタッフの声を通して、その実態を取材しました。

1. 出店の経緯──関東圏外初の地に新潟を選んだ理由

2025年7月、新潟東店・西店がオープンし、イオンスマイルとして初の関東圏外出店となりました。福部事業部長は「予想以上の反響があり、内覧会には100名以上が来場。新潟ではイオングループへの信頼と親しみが非常に強い」と語ります。また、両店舗とも地元に詳しいスタッフで構成されており、「雪国での運営は本部スタッフにとって未知の部分も多く、冬場の対応などを地元スタッフに支えてもらえるのは心強い」と話しています。

2. イオンスマイル新潟東店を訪ねて──バックヤードに広がる明るい空間

イオンスマイル新潟東店は、イオン新潟東店の2階バックヤード(通常は従業員専用エリア)に設置されています。初めて訪れた際、靴売り場の奥にエンジ色の「イオンスマイル」の標識を見つけ、それを目印に店舗へ向かいました。


イオンスマイル新潟東店
イオンスマイル新潟東店

イオン新潟東店2階フロアからバックヤードに入る扉に「イオンスマイル」の表示が(上)。扉を開けてすぐにある「イオンスマイル新潟東店」の入口(下)


扉を開けてバックヤードに入ると、すぐにイオンスマイル新潟東店の入口が現れます。店内は間口以上に広く感じられ、外に面した窓からの採光で明るく清潔な雰囲気です。各種マシンが奥に配置され、中央スペースが広く取られているため、利用者の方の動線もスムーズです。


イオンスマイル新潟東店

午後の利用者の方、3名が到着する時間帯、屋上の駐車場に送迎車が到着。雨模様の中、スタッフが丁寧に誘導し、利用者の皆さんはショッピングカートを押しながらゆっくりと店内を移動し、2階の店舗へと向かいました。


イオンスマイル新潟東店
イオンスマイル新潟東店
イオンスマイル新潟東店

屋上の駐車場に停めた送迎車から利用者の皆さんの降車をスタッフが丁寧にサポート(上)。ショッピングカートを支えに、店舗まで進みます(中)。店舗への到着後、リラックスした利用者の皆さんの様子(下)


店舗到着後、利用者の皆さんは椅子で休憩しながら水分補給とバイタルチェックを受けます。その後、モニターを見ながら体操を行い、口腔体操までしっかりと取り組みます。続いて個別トレーニングの時間となり、16時までスタッフの指導のもと、マシンを使った運動を行います。

3. 利用者の方の声──「親切で続けやすい」

この日の利用者のおひとり、82歳の男性に少しお話を伺いました。この方の介護度は要支援1で、イオンスマイルには週1回通っています。


イオンスマイル新潟東店
イオンスマイル新潟東店

取材に応じていただいた新潟東店の利用者の小柳正昭さん(上)。マシンを使っての個別プログラムにも積極的に取り組みます(下)


「以前は別の施設に行っていたんだけれど、そこでは運動は自分勝手にやる感じでした。こちらではスタッフが付いていろいろ調整してくれたり、協力してくれるので、心強いしずっとやりやすいですね。1年ぐらい通ってどの程度自分の筋力とか体力がついてくるかが楽しみです」
週1回のイオンスマイルのほか、毎朝30分の散歩を続けているというこの方も、最新のマシンやスタッフのきめ細かい対応に満足している様子でした。

4. 新潟でも息づく「介護予防」への思い

新潟東店の管理者を務めているのは館田晋一さん。新潟県内の別の施設で10年以上勤務した経験を持っています。


イオンスマイル新潟東店

イオンスマイル新潟東店の管理者、館田晋一さん


以前は入浴や食事中心の一日型デイサービスに勤務していましたが、最近は元気な高齢者が増え、要介護になる前の「予防」が重要だと感じるようになりました。「できるだけ自宅で生活したい」という声も多く、特化型サービスの必要性を感じていた中で、イオンスマイルの「短時間・運動特化型」の方針に共感し、開設に参加しました。

新潟東店の周辺には機能特化型の施設が多く、競合も多いですが、「イオンが運営している」というブランド力が話題性となり、買い物ができるという独自のサービスも他にはない強みです。

介護度では「要支援」や「事業対象者」など比較的軽度な利用者の方が多く、運動の進め方にも工夫が必要です。基本プログラムは他店舗と共通ですが、個別リハビリでは手指の運動など自主トレーニングを指導。家庭でも継続できるようサポートし、3カ月ごとに筋力測定を行うことで、成果がモチベーションにつながるよう支援しています。

5. イオンスマイル新潟西店で見た「買い物リハビリビリ」

新潟東店での取材後、新潟西店へ移動。こちらは駐車場に面した1階にあり、送迎車からのアクセスがスムーズです。管理者の佐藤輝さんによると、登録者数は50名以上と東店を上回り、取材当日も10名以上の利用者の皆さんが個別プログラムに取り組むなど、活気ある雰囲気が印象的でした。


イオンスマイル新潟西店


外から見たイオンスマイル新潟西店

イオンスマイル新潟西店

イオンスマイル新潟西店の管理者、佐藤輝さん


買い物リハビリは、午後のプログラム終了後の16時からスタート。この日は男性1名・女性1名が参加し、女性利用者の方の買い物の様子を取材しました。スタッフが1対1で付き添い、カートを押しながら食料品売り場へ向かいます。店舗から売り場までは徒歩2〜3分ほどで、段差もなくスムーズに移動できます。


イオンスマイル新潟西店

利用者の方はスタッフと会話をしながら、和やかな雰囲気で売り場へ向かいます。チルド品から日用品まで順に巡り、スタッフは希望の銘柄や容量を丁寧に確認しながら商品を選び、カートに入れていきます。


イオンスマイル新潟西店

野菜売り場では、利用者の方が次々と野菜をカートに入れていき、10分ほどでカートはいっぱいに。移動は無駄のない順路で進みますが、途中で思い出した商品にもスタッフがすぐ対応し、売り場を案内。安心して買い物ができる環境が整っていました。


イオンスマイル新潟西店
イオンスマイル新潟西店
イオンスマイル新潟西店

レジでの支払い後、ご利用者が持参したエコバッグに購入品を詰める際も、重いものを下にするなどスタッフが丁寧にサポート。約20分でスムーズに買い物を終えることができました。

6. 介護予防に根ざしたリハビリ特化型デイの価値とその未来

新潟の2店舗を取材して感じたのは、地域が異なっても「半日型・リハビリ特化型」へのニーズが高いこと。そして、イオンでの買い物ができる「買い物リハビリ」が大きな魅力となっている点です。

新潟のように車への依存度が高い地域では、高齢者の免許返納も進んでおり、買い物に不自由を感じる方が少なくありません。そんな中、イオンというブランドへの信頼感や親しみやすさが、ご利用者の安心感につながっています。「イオンがやっているから安心」「買い物ができるから楽しい」といった声もあり、買い物リハビリを利用しない方でも、イオンの賑わいや季節感を感じられる環境に魅力を感じているようです。現在、石川県への出店も進行中。今後の展開にも注目が集まります。




イオンスマイル新潟東店 

イオンスマイル新潟西店 


新規会員登録

この記事の提供元
Author Image

著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

関連記事

シニアの体型とライフスタイルに寄りそう、 2つの万能パンツ

2022年7月23日

排泄介助の負担を軽減!排尿のタイミングがわかるモニタリング機器とは?

2022年9月23日

暮らしから臭い漏れをシャットアウト! 革新的ダストボックス

2022年9月5日

Cancel Pop

会員登録はお済みですか?

新規登録(無料) をする