シニアとケアラーが一緒におやつ作りをすることは、シニアの健康や栄養面などにさまざまなよい影響をもたらします。
今回は、介護福祉士としてデイサービスでシニアとおやつ作りをしていた著者が、おやつ作りのメリットとおやつレシピをご紹介します。
1. 脳の活性化が期待できる
2. ケアラーとの自然な会話が生まれやすい
3. 自分で作ることで食欲が湧き、必要な栄養や水分を補える
おやつ作りには、以下の特徴があることから頭の体操になり、脳の活性化につながると考えられています。
・ 材料を手で捏ねたり形を作ったりと、指先を使う動作が多い
・1つひとつの工程を順序だてて行う必要がある
・生地を焼いている間に後片付けをするなど、同時に複数の作業を行う場合がある
「どんな味付けにする?」「今日も美味しくできたね」などと、作業中や試食中に自然と話ができて、楽しさや充実感を得られるのもメリットのひとつです。また、適量のおやつは高齢者にとって貴重な栄養源であり、ゼリーやようかんなどからは水分も摂取できます。
食が細くなりがちな高齢者に対しては、自分で作ることで食欲がわき、食事量の増加も期待できるでしょう。
材料3つでできる、簡単スイートポテトです。火を使わないので、おやつ作り初心者の方も気軽に挑戦できます。
■材料(カップ4個分)
さつまいも…350g
バニラアイス…1カップ(200ml)
卵黄…1個分
■作り方
①さつまいもの皮をむき、適当な大きさに切って耐熱皿にのせ、水を少々振りかけてラップをする。レンジ(600W)で4~5分加熱した後、マッシャーで潰しておく。
②①とバニラアイスを混ぜる。
③②をトースター使用可能なカップに入れ、表面を平らにする。
④表面に卵黄を塗り、あればお好みで黒ゴマをのせる。トースターで焦げ目がつくまで約10分加熱する。
このレシピは「レシピサイトNadia」のレシピを参考にしています。詳しい作り方は下のレシピカードをご覧ください。
電子レンジひとつで作れる、お手軽なようかんです。パウンド型がなくても、自宅にある容器に流し入れて作れます。
■材料(18cmパウンド型1台分)
かぼちゃ…300g
【A】水…250ml
【A】粉寒天…4g
【A】きび砂糖…大さじ3
■作り方
①かぼちゃの皮を切り落として2~3cm角に切り、耐熱ボウルに入れてラップをする。レンジ(600W)で5分加熱し、フォークなどで潰す。
②別の耐熱ボウルに【A】(水・粉寒天・きび砂糖)を入れて、よく混ぜて溶かす。ラップをしてレンジ(600W)で3分加熱する。
③②を再度よく混ぜた後、①のかぼちゃを加えてしっかり混ぜ合わせ、ザルでこして型に流し入れる。
④③の粗熱が取れたらラップをして、冷蔵庫で2時間冷やす。
⑤④が固まったら型のまわりに竹串やナイフを入れて空気を入れ、お皿の上に向けて振って取り出し、食べやすい大きさに切る。
このレシピは「レシピサイトNadia」のレシピを参考にしています。詳しい作り方は下のレシピカードをご覧ください。
みたらしダレのほか、市販のあんこやきな粉などと食べても美味しいです。
■材料(白玉22~24個分)
白玉粉…100g
水…90ml
【A】砂糖…大さじ4
【A】しょう油…小さじ4
【A】片栗粉…小さじ2
【A】水…80ml
■作り方
①ボウルに白玉粉と水を入れて、しっとりするまでこね、2㎝くらいの大きさに丸める。
②小鍋にお湯を沸かし、沸騰したら①を茹でる。白玉が浮かんできてから1分半後に氷水にとる。
③別の小鍋に【A】(砂糖・しょう油・片栗粉・水)を入れ、よく混ぜてから火にかける。にごりが透明になるまで、加熱しながらかき混ぜる。
④白玉に③のみたらしダレをかける。
このレシピは「レシピサイトNadia」のレシピを参考にしています。詳しい作り方は下のレシピカードをご覧ください。
梨を砂糖と一緒に煮込むことで程よく柔らかくなり、シニアも食べやすくなります。
そのまま食べてもよいですし、ヨーグルトとの相性も抜群です。
■材料
梨…2個
レモン…1個
【A】グラニュー糖…種と皮を取り除いた梨の重さの20%
【A】水…400ml
■作り方
①梨は種と皮を取り除いて6~8等分に切り、レモンは皮と白い部分をむき、1.5cm幅に切る。
②鍋に【A】(グラニュー糖・水)と①を入れて強火にかけ、沸騰したら灰汁を取り除いて弱火にする。落とし蓋をして約12分煮たら火を止める。
③そのまま冷まして保存容器に入れる。
このレシピは「レシピサイトNadia」のレシピを参考にしています。詳しい作り方は下のレシピカードをご覧ください。
シニアとのおやつ作りを楽しい時間にするために、以下の2点に配慮しましょう。
■硬いもの、パサつくものは安全に食べられる工夫をして提供する
噛む力や飲み込む力が弱くなっているシニアにとって、硬いものやパサつく食べ物は誤嚥やムセ、窒息などの命にかかわる危険性もあります。
とはいえ、これらの食材も少し工夫することでリスクを軽減可能です。
・きな粉などの粉ものは、直接振りかけずに生地に混ぜ込んだり、水で練ってしっとりさせたりする
・硬い野菜や果物は柔らかくなるまで煮込むか、レンジで加熱する
料理が得意なシニアの方であれば、直接聞いてみてアイデアをもらい、会話を広げるのもよいでしょう。
■作業中は安全面に十分配慮する
シニアの方は、立った状態での作業が続くとふらついたり、ひじ掛けのないイスに座って作業するとバランスを崩して転倒したりする恐れがあります。
これらの事故を防ぐために、ひじ掛け付きの椅子に座って作業してもらうと安心です。立って作業してもらう場合は、必ずケアラーがそばで見守り、すぐ後ろに椅子を置いておくと疲れたときすぐに休憩できます。
火やオーブン、包丁を使う場合も、ケアラーと一緒に行うのが望ましいです。包丁は事前に研いでおき、ケガの予防に努めましょう。
おやつ作りは、おかずの調理と比較すると材料や工程が少ないものも多く、シニアとケアラーで楽しく取り組みやすいです。
日常生活の気分転換や親子の会話のきっかけとして、今回紹介したおやつ作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
監修:中谷ミホ
著者:小原 宏美
大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。
現在はフリーライターとして、介護や音楽などに関する記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)