肝臓に中性脂肪がたまる「脂肪肝」は、進行すると最終的に肝臓がんにつながることもあります。予防には、日頃から糖質の摂り過ぎは控えつつ、たんぱく質や食物繊維、ビタミン・ミネラルをバランスよく摂ることが大切です。今回は、牛肉と旬の野菜を使った蒸し料理をご紹介。しょうがの香りが食欲をそそる一品です。
体に中性脂肪が過剰にたまり、行き場がなくなると心臓や膵臓などの臓器につくことがありますが、肝臓に脂肪がたまる状態を「脂肪肝」といいます。
原因には、お酒の飲み過ぎのほか、食べ過ぎや運動不足、閉経後のホルモン変化などがあります。特に女性は閉経後に脂肪肝になりやすいため、注意が必要です。脂肪肝が進行すると、肝臓に炎症が生じて線維化が進み、まれに肝硬変や肝がんにつながることもあります。
健診で肝機能に異常がみられた場合は、まずは食べ過ぎや飲み過ぎを控え、適度な運動習慣をもつことが大切です。
食事では、良質なたんぱく質や食物繊維、ビタミン・ミネラルを積極的に摂り、肝臓に脂肪をためないようにしましょう。肝臓で脂肪を処理する酵素の材料となるたんぱく質、そして糖質や脂質の吸収を遅らせ、脂肪の蓄積を防ぐ食物繊維は、その中でも特に意識したい要素です。
今回のレシピの主役は、高たんぱくで脂身の少ない牛赤身肉。片栗粉をまぶして蒸すことで硬くならず、しっとり軟らかく仕上がります。
れんこんやしいたけを合わせれば、食物繊維も摂れて噛みごたえが増し、満足感のある一品に。ちなみにれんこんには、たんぱく質の働きを助けるビタミンCやB1・B2、ミネラルも豊富です。
具材を切って蒸すだけなので、料理のハードルがぐっと下がるのが蒸し料理の良いところ。仕上げにしょうがとオイスターソースの香味ソースをかければ、香りとコクが加わり、食欲をそそります。

牛赤身肉(焼肉用)……200g
片栗粉……小さじ2
れんこん……小1/2節(100g)
長ねぎ……1本
生しいたけ……2枚
しょうが……1かけ
A
酒・しょうゆ……各小さじ1
B
オイスターソース・酒……各大さじ1
しょうゆ・ごま油……各小さじ1
*料理のエネルギー・ 塩分は1人分です。
*野菜類は皮をむくなどの下ごしらえをすませてからの手順を説明しています。
エネルギー316kcal
塩分 2.1g

料理撮影:貝塚 純一
レシピ開発・調理:伊藤 晶子
①牛肉はAをからめ、片栗粉をまぶす。
②れんこんは皮をむいて1㎝厚さの半月切りにし、水にさらして水気を切る。長ねぎは1㎝厚さの斜め切り、しいたけは軸を除いてそぎ切り、しょうがはせん切りにする。
③セイロにクッキングシートを敷き、牛肉、れんこん、長ねぎ、しいたけを盛り、しょうがを散らす。
④蒸気の上がった鍋にのせ、8~10分蒸す。
⑤Bを混ぜ合わせ、蒸し上がった④にかける。
*セイロがない場合は、皿に盛って蒸し器で蒸す。
シニアのためのひと工夫:
•牛肉は切り落とし肉に変えると、食べやすくなります
•一緒に蒸す野菜はなんでもOK。冷蔵庫にある野菜をいろいろと蒸して楽しんでください
写真:PIXTA
著者:伊藤 晶子(いとう・あきこ)
料理研究家・管理栄養士
料理教室FRASCO 主宰(福島県いわき市)
女子栄養短期大学を卒業後、料理研究家アシスタント、料理教室スタッフなど様々な食の現場を経て、2009年に独立。『栄養と料理』『レタスクラブ』『お料理家計簿』(講談社)などの料理雑誌でのレシピ提案や、料理教室講師、イベント運営、企業のレシピ開発、料理番組の裏方など、多岐にわたって活躍。2020年末にいわきへUターンし、現在は料理教室運営を軸に、東京へも出向き、食の仕事に携わる。確かな調理技術をもとに、作りやすさと美味しさを兼ね備えた、食べて笑顔になる料理を提案し続けている。『フィスラーの料理教室』(KADOKAWA)、『ラプンツェルと学ぶ 料理の基本(料理担当)』(KADOKAWA)、『おいしすぎる糖質オフカレー』(KADOKAWA)、『幼児から小学生まで 食物アレルギー栄養しっかりごはん(料理担当)』(女子栄養大学出版部)など著書多数。