日本古来から親しまれてきた「吹矢」を、健康づくりのために現代的にアレンジさせたのが「スポーツウエルネス吹矢」です。長い筒に矢をセットし、「フッ」と一息で的に吹き当てる、シンプルながら奥深いスポーツ。腹式呼吸と胸式呼吸を組み合わせた「吹矢式呼吸法」により、誰でも・いつでも・どこでも楽しみながら健康増進を目指せます。現在、競技人口は全国で約7万人。大会や教室も各地で開かれており、若い世代からシニアまで幅広く人気が広がっています。的を狙って矢を命中させる爽快感と、心身のリフレッシュを同時に味わえるのが、このスポーツ最大の魅力です。

1. 今、注目! 日本発祥の「スポーツウエルネス吹矢」とは?

スポーツウェルネス吹矢

スポーツウエルネス吹矢は、長い筒を構え、「フッ」と一息で矢を的に吹き当てる日本で生まれた健康スポーツです。競技としての面白さに加え「心身の健康づくり」を目的に幅広い世代で親しまれています。

経験や体力に応じて、的までの距離を調整できるので、初心者でも無理なく楽しめます。最近では小学校や高齢者施設でも導入が進み、世代を超えて交流の輪が広がっています。本格的なスポーツ経験のない人でも始めやすく、趣味友づくりにもぴったりです。

2. ポイントは呼吸にあり! 腹式+胸式で整う「吹矢式呼吸法」

スポーツウェルネス吹矢

スポーツウエルネス吹矢の最大の特徴は、その「呼吸法」にあります。「スポーツウエルネス吹矢式呼吸法」は、胸式呼吸と腹式呼吸の両方を取り入れ、胸とお腹の筋肉をバランスよく使う呼吸法です。息を静かに、細く長く吐ききり、自然に息を吸ったあと、息を止め的に向かって「短く・強く」吹きます。正しい基本動作を身につけることで、この呼吸法が自然にできるようになります。

競技の前後には「礼に始まり礼に終わる」という一連の動作もがあり、これは、武道のように一連の動作を重視しています。この基本動作を繰り返すことで、技術の向上とともに健康効果も得られるよう考案されています。

3. 血流・姿勢・脳の活性化にも!? 吹矢式呼吸法がもたらす健康効果

スポーツウェルネス吹矢

深く大きな呼吸を行う吹矢式呼吸法は、心と脳に良い影響を与えます。吹矢式呼吸法を続けることで、次のような効果が期待でき、シニアの健康維持にはぴったりといえます。ただし、効果には個人差があります。

●ストレスの軽減と心の安定
深い呼吸は自律神経のバランスを整え、ストレスの軽減や気分転換に役立ちます。呼吸に意識を集中することで心が落ち着き、マインドフルネス(今この瞬間に意識を向け、評価せず受け止める心の状態)と同様の効果も期待できます。また、吹矢の一連の動作には、筋肉を緩めて全身をほぐすマッサージ効果もあります。

●集中力の向上と脳の活性化
的を狙うためには雑念を払い、集中することが必要です。このプロセスが脳を刺激し、認知症予防にもつながると考えられています。実際に、定年後に始めた人からは「集中力が上がった」「頭がすっきりする」という声も多く聞かれます。

●脳の老化の防止
深い腹式呼吸を行うことで、脳に十分な血液と酸素が送り込まれ、脳細胞の老化を抑える効果が期待されます。

●口腔機能の向上と誤嚥性肺炎の防止
吹矢は口の周りや舌、喉の筋肉を使うため、口を閉じる力がつき、唾液の分泌を促して口腔乾燥を防ぎます。食べ物を飲み込みやすくし、誤嚥性肺炎の予防にも効果的です。また、肺からの空気を口から吹き出す動作は、口や鼻、喉を塞ぐ弁の働きを鍛えるトレーニングにもなります。

●パーキンソン病の症状改善
的に矢を命中させたときの達成感や、仲間と楽しむことにより「3大幸福物質」ドーパミン・セロトニン・オキシトシンの分泌が促され、自律神経のバランス改善ににもつながります。結果として、パーキンソン病の症状緩和も期待されます。

●ぜん息の改善
ぜん息で気道が狭くなると、呼吸回数が増え、呼吸自体が苦しくなります。腹式呼吸を習慣づけておくことで、横隔膜を下げて効率よく息を吸えるようになり、呼吸時の筋肉の負担や痛みを軽減できます。

●その他の効果
骨盤底筋群も鍛えられるので腹圧性尿失禁の予防や改善に役立つほか、正しい姿勢で行うため腹筋や背筋が鍛えられ、ぎっくり腰や腰痛の予防にもなります。さらに、血流が促進されることで、肩こりや冷え性の改善にもつながります。

4. 道具はこれだけ! 安全・手軽にスタートできる理由

スポーツウェルネス吹矢

スポーツウエルネス吹矢は、どなたでも手軽に始められるスポーツです。安心安全に楽しんでいただくためにも、必ず一般社団法人日本スポーツウエルネス吹矢協会公認の用具の使用をお願いいたします。

主な用具の特徴と安全性については以下の通りです。

●筒
筒は、ジュニア用の100cmをはじめ、120cmの2種類があります。素材はカーボン製やグラスファイバー製等があり、重量は体力や筋力、そして吹く強さなど、個人に合わせられるよう、用意されています。この筒に矢を入れて吹きます。

●矢
矢は、プラスチックフィルム製で長さが約20cm、重さは約1g程度と非常に軽く、先端は丸く形成され、安全性が確保されております。

●的
的は、直径33cmの四角形です。素材はポリエチレン製でできています。的の点数面を交換することができる交換的や練習用の専用シールを貼り付けるマトなどが用意されています。また、ゲームを楽しんでいただけるよう、変わった的シールなども用意されています。

これからスポーツウエルネス吹矢を始める人のために、必要なものが揃った入門セットが用意されています。このセットには、筒、矢、的のほか、筒クリーナー、矢入れポーチ、矢抜き、筒ケースなどが含まれており、すぐに練習を始められるようになっています。用具に関する詳しい情報は、一般社団法人日本スポーツウエルネス吹矢協会または、公認用具販売店増え問い合わせることで、ご確認いただけます。

5. 狙う、集中する、当たる! 競技としての奥深い魅力

スポーツウェルネス吹矢

スポーツウエルネス吹矢は、健康だけでなく競技としても奥深いスポーツです。基本ルールを覚えて、昇級や昇段を目指すのも楽しみの一つです。

●基本ルール
4~10m離れた的(直径33cm)をめがけて、1ラウンド(3分以内)に5本の矢を吹き、得点を競います。中心に近いほど高得点で、7点、5点、3点、1点となっており、5本の矢がすべて7点枠に入ると「35点満点のパー増えクト」。距離は段や級位、体力に応じて吹くことができます(大会や段級位認定試験等では、あらかじめ距離が定められています)。

●昇級・昇段の楽しみ
約7万人が競技に参加し、級位(5~1級)や段位(初段〜十段以上)の認定があります。目標を持って練習することで、達成感ややりがいが生まれ、長く続けるモチベーションになります。

6. 初めてでも安心。全国の教室&自宅でできる練習法

スポーツウェルネス吹矢

一般社団法人日本スポーツウエルネス吹矢協会の支部や、カルチャースクール等が全国に存在しています。

中でも、体育館、コミュニティセンター、公民館や高齢者施設等で活動する地域も多く、身近に始められる環境が整っています。また、入門セットで用具を揃えれば自宅でも練習が可能です。練習の際は人や動物が前を横切ることがないよう、安全に配慮して行いましょう。

7. 「吹矢が生きがいに」──幅広い世代が語る体験談

スポーツウェルネス吹矢

スポーツウエルネス吹矢は、健康づくりだけでなく、目標や仲間、そして生きがいを見つけるきっかけとなるスポーツです。自分のペースで楽しみながら、心と体を整え、更なる健康づくりを目指してみませんか。体験者の声をお届けします。

「リハビリ目的で始め、気がつけば10年目に突入。最初は矢を的に当てるだけで精一杯でしたが、今では大会にも出場し、10mの部で3位以内を目指しています。目標があることで毎日の張り合いになっています」(73歳女性)

「ただ息を吐くのではなく、体全体をどう使うかを考える奥深い競技です。集中して矢を放ち、的の中心に命中したときの爽快感は格別。年齢を重ねても上達が感じられるのが魅力です」(75歳男性)

「定年後に始めて25年。仲間と和気あいあいと楽しめ、集中力の向上にもつながっています。孫や子どもたちと一緒に楽しめるのもこのスポーツのよいところ。親子三世代の交流にもぴったりです」(82歳男性)

「現役時代から“生涯続けられるスポーツ”を見つけることが大切だと思っていました。吹矢は仕事での集中力維持にも役立ち、ストレス解消にもなります。心身の健康を保ちながら長く続けられる趣味です」(50歳男性)

8. まとめ:呼吸と心を整える、生涯スポーツを始めよう!

呼吸は「吸うより、吐くことが大事」です。スポーツウエルネス吹矢は、単に的増え矢を当てる楽しさだけでなく、「生涯心身の健康づくり」に貢献するスポーツです。

スポーツウエルネス吹矢は、競技性の楽しさと、健康増進という二つの柱を両立させています。特別な運動能力は必要なく、年齢や体力に合わせて吹くことができるため、どなたでも気軽に始めることができます。

健康維持や生きがい、そして世代や地域を超えた仲間との交流を求めている人にとって、スポーツウエルネス吹矢は最適な選択肢です。ぜひ、お近くの支部やカルチャー教室等で、その爽快感と健康効果を体験してみてください。

※「スポーツウエルネス吹矢」「吹矢式呼吸法」は、普通名称ではなく登録商標です。


監修:一般社団法人日本スポーツウエルネス吹矢協会 東京都ダーツ1010支部 寺田敏
公式HP
構成:研友企画出版


【監修者プロフィール】
スポーツウエルネス吹矢という健康を目的とした新しい国民的スポーツの普及と振興を図る団体。1998年に設立され、2019年「一般社団法人日本スポーツウエルネス吹矢協会」に名称を変更。障害がある方や性別や年齢を問わず誰でも楽しめるスポーツとして活動。スポーツウエルネス吹矢は腹式呼吸をベースにした呼吸法を用い、精神集中や血行促進、内臓の活性化などの健康効果が期待される。協会では競技大会の開催や段位・級位認定のほか、フレイル予防や健康増進に寄与する多彩な活動を展開している。



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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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