介護はある日突然始まり、平均で4年以上続くといわれています。そこで今回は、介護福祉士の資格を持つ筆者が、知っておきたい介護の流れや制度、心構えなど、無理のない介護をするための「ケア活」についてご紹介します。
親の介護はまだ先のことだと思っている方も、ぜひ最後までお読みください。
介護の始まりから終わりにはさまざまなパターンがありますが、一般的な流れは以下の通りです。

脳卒中や骨折などは前触れなく起こることが多く、認知症もケアラーが気づいた時には症状が進行している場合があります。
親御さんが元気なうちに介護の全体像を把握しておくと、もしもの時に慌てず対応できます。
生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかる平均期間は4年7ヶ月とされています。
生命保険文化センターによる介護期間の分布は、以下の通りです。

(出典:生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」)
上記を見ると「4〜10年未満」が27.9%と最も多く、次いで「2〜3年未満」「1〜2年未満」と続きます。
一方で「10年以上」が14.8%となっており、介護にかかる年数は個人差が大きいといえるでしょう。
厚生労働省による「平成28年 国民生活基礎調査」によると、同居の主な介護者について、「日常生活での悩みやストレスがあるか」という問いに対して「ある」と答えた人は68.9%にのぼりました。
家族をケアする中で感じやすい負担やストレスは、主に次の3つです。
①身体的な負担
・本人の状態によるが、食事・トイレ・入浴のほか、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要になる場合もある
・夜間のトイレ介助などにより睡眠不足になりやすく、疲れも取れない悪循環に陥る
・長期的な介護負担により、膝や腰を痛めやすくなる
②経済的な負担
・介護食品代や紙おむつ代など、日常的に様々な費用が発生する
・介護離職、または正社員からパートなどへ働き方を変えざるをえない場合もある
③精神的な負担
・本人に認知症の症状があると、24時間目が離せないこともある
・認知症や脳卒中などの疾患により、本人の性格が変化する場合もあり、精神的なショックを受けるケアラーも少なくない
・家族の状況によっては、ほかに介護を手伝ってくれる人がおらず、孤独を感じやすくなる
・ケアラーの自由な時間が取れなくなり、ストレスを解消すること自体が難しくなる
・誰に相談していいかわからないために、悩みやストレスを溜め込んでしまう
・介護による疲れやストレスが溜まっていくと親のためにできることはしてあげたいという気持ちが薄れ、介護虐待や介護うつといった深刻な問題に発展する恐れもある
介護期間が長期にわたる可能性もあることを考えると、くれぐれも無理は禁物です。
ケアラーの心身の健康を保つためにも、介護保険のサービスはもちろん、自治体サービスや保険外のサービスも積極的に利用しましょう。

在宅介護でケアラーが感じやすい、身体的、経済的、そして精神的な負担を軽くする方法についてご紹介します。
■身体的な負担を軽くするには
・ショートステイ(短期入所)を導入して、休息時間を確保する
・見守りや外出・家事支援などの介護保険外サービスを積極的に活用する
介護保険外サービスは、要介護認定を受けていない方でも利用できます。庭の草むしりや同居家族のための家事など、介護保険では利用できない家事にも対応してもらえる場合があるため、ケアラーの休息のためにぜひ活用しましょう。
お住まいの地域で利用できる介護保険外サービスは、地域包括支援センターに問い合わせるか、自治体のホームページで確認できます。
■経済的な負担を軽くするには
・医療費控除や高額介護サービス費といった、介護や医療でかかったお金が戻ってくる制度を活用する
・必要に応じて介護休業制度の利用を検討する
・自治体による地域支援事業(紙おむつ支給など)や低価格で利用できる介護保険外サービスも利用する
・福祉用具はレンタルやリユース品を上手に活用する
月々の介護費用の平均は83,000円というデータもあり、介護が長期化すると経済的な負担が重くなります。
国や自治体の助成制度や控除をしっかり活用して、負担を減らしましょう。
■精神的な負担を軽くするには
・「認知症カフェ」や「家族介護の会」など、同じ立場の家族が集まる場に参加して、悩みを相談・共有する
・困った時やわからないことがあった時は、ひとりで抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センター、民間の介護相談サービスなどに相談する
・自宅での介護に限界を感じる場合は、介護施設への入所を検討する
つらい時ほどひとりで抱え込まず、同じ境遇の人やケアマネジャーなどの専門家に話してみることで、気持ちが軽くなる場合もあります。
マイスキューのアプリでも、無料の会員登録で専門家や同じケアラーに悩みを相談できますので、ぜひご活用ください。

介護は長期戦になる可能性もあるため、ケアを受けるご本人だけでなく、ケアラー自身の心身も労わることが大切です。
そのためにも、親が元気なうちから「ケア活」を始め、介護に関する制度やサービスを把握し、上手に人を頼りながら、頑張り過ぎない介護を目指しましょう。
監修:中谷ミホ
写真:写真AC
著者:小原 宏美
大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。
現在はフリーライターとして、介護や音楽などに関する記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)