「ウォーキングビリヤード」は、ビリヤードの楽しさにウォーキングの健康効果を組み合わせた、新しい生涯スポーツです。激しい運動が苦手なシニアの方でも無理なく始められ、ゲームを楽しみながら脳と体をバランスよく使うことから、認知症予防や健康づくりに役立つと注目されています。

ウォーキングビリヤードは、2021年に日本で生まれた新しいスポーツです。ビリヤードに「歩く」要素をプラスし、楽しみながら健康を手に入れられる工夫がされています。年齢や性別、経験に関係なく、すぐに楽しめるのが大きな特徴で、「ビリヤードは初めて」という方や、運動が苦手な方にもおすすめです。
一般社団法人 日本コーチングプロビリヤード協会は、「人生を最後まで楽しく過ごすために、何歳になっても楽しめて健康でいられるビリヤードのコミュニティーを全国に増やすこと」を理念として活動しており、90歳を過ぎてからでも始められるスポーツとして普及に取り組んでいます。

ウォーキングビリヤードは、身体活動、認知機能、精神面の三つを総合的にサポートする生涯スポーツです。協会は、ウォーキングビリヤードには「歩く」「喋る」「頭を使う」「目を使う」「ボールを決める楽しさ」の5つの刺激が同時に得られるとしています。
身体面:無意識のウォーキング効果と筋力維持
ゲーム中はボールの位置を確認したり、狙う方向を見定めたりするため、自然とビリヤード台の周りを歩きます。
協会の調査では、2時間のプレーで約3,000歩に相当する運動量があることがわかっています。平均的な1日の歩数(約6,000歩)に加えると、合計で約9,000歩となり、生活習慣病の予防や改善にも役立ちます。
また、キュー(ボールをつく棒)を持って構える動作は全身の筋肉を自然と使うため、足腰の安定にも効果的です。腕や肩、背中などにも適度な刺激が入り、全身の筋力維持につながります。
認知・精神面:認知症予防と達成感
ウォーキングビリヤードは、頭を使うスポーツです。ボールを目で見て確認し、手球の置き場所や、さまざまなパターンのボールのつき方を、頭を使って考えることが求められます。また、メンバーと会話しながら作戦を練ることで、脳が活性化し、認知症の予防に役立つとされています。
特に、認知症予防に効果的とされる「友人との交流」「達成感」「運動」「継続のしやすさ」「同時に複数のことを行う」といった要素をすべて満たしている点もメリットです。友人など交流がある人は、認知症の発症リスクが70%も減少するという報告もあります。

ウォーキングビリヤードは、ビリヤード競技で使われる「ナインボール」をもとに、初心者でもわかりやすいルールにアレンジされています。
・基本の流れ
対戦形式は2対2のチームに分かれてゲームを行います。スタート時にボールをビリヤード台に散らし、じゃんけんで勝ったチームから手球(白い球)を自由な位置に置いて始めます。ゲームは順番にキューを使ってボールをつき、一番若い番号のボールに当てながらポケットに入れていきます。失敗したら相手チームに交代し、最後に9番ボールをポケットに入れたチームの勝ちとなります。
・道具について
使用する道具は通常のビリヤードと同じで、キュー(棒)、ボール、ビリヤード台です。ビリヤード台のサイズは、フルサイズが必要な場合は縦6m×横4.5mのスペースが必要ですが、二周り小さいサイズの台であれば縦5m×横4mでも対応可能です。また、小さいサイズの台は台車に乗せたり、足を外して立て掛けたりして移動させることもできます。
また、体の不自由な方への配慮もされており、片手が使いづらい方や足が不自由な方でも参加しやすいよう、専用のサポート器具も用意されています。

ウォーキングビリヤードは、ゲームを通して自然と会話が弾み、コミュニティーづくりにもつながるスポーツです。
チーム戦が基本であり、「このボールを入れるには、どうしたらいいかな?」と仲間と話し合いながら作戦を練る過程が楽しく、コミュニケーションが苦手な方でも、少人数で取り組めるため安心です。
チーム戦を行うことで、人とのつながりや笑顔、会話が生まれやすい点も、長く続けられる理由の一つです。

一般社団法人 日本コーチングプロビリヤード協会は、「ビリヤードで高齢者の活性化を担う」という方針のもと、シニア施設への導入を積極的に進めています。
従来のビリヤードは指導が難しく施設への普及が進みにくい面がありましたが、ウォーキングビリヤードは初心者でもすぐ楽しめるため、導入施設数は100カ所を突破しました。施設では、専門知識を持つ「コーチングプロ」が初心者向け指導や定期イベントを担当し、入居者の運動習慣づくりや交流促進に貢献しています。
実際に導入した施設では、入居当初は不平不満が多かった方が、ビリヤードをきっかけに上達が楽しくなり、「私はこんなところに住めて幸せだ」と話すようになったという事例も報告されています。

参加した方からは、体の変化だけでなく、楽しさや生きがいにつながったという声が多く寄せられています。楽しさ、達成感、そして戦略を仲間と共有する喜びが、参加者の心と体を活性化させていることがわかります。
「いろいろなパターンのボールのつき方を考えるのが面白くもあり難しくもあり、奥深いスポーツです」(69歳女性)
「ゲーム中、無意識のうちにたくさん歩いているようで、脚が鍛えられて、日常動作が動きやすくなり、ウォーキングビリヤードの効果を実感しています」(80歳女性)
「大勢の人とのコミュニケーションは苦手なので、気心の知れた少人数で楽しめるのが魅力です」(75歳女性)
「このボールを入れるには、どうしたらいいのかな?と仲間と話しながらできるのが楽しいです」(69歳女性)

人生100年時代の今、「運動」「人とのつながり」「笑顔」は健康寿命を延ばすために欠かせないものです。ウォーキングビリヤードは、そのすべてを無理なく楽しみながら得られるように設計されています。
運動が苦手な方や人付き合いが得意でない方でも、自然と続けやすいスポーツです。協会では北海道・沖縄以外への出張体験にも対応をしており、体験会は3回まで無料で実施しています。
興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。ウォーキングビリヤードは、シニアの健康づくりと生きがいを力強く応援します。
監修:一般社団法人 日本コーチングプロビリヤード協会
一般社団法人 日本コーチングプロビリヤード協会…ビリヤードを「健康づくり」と「認知症予防」に役立つ生涯スポーツとして普及させることを目的に設立された団体。千葉県流山市を拠点に、ビリヤードプロとして実績のある町田直氏が代表理事を務め、高齢者や初心者でも安心して楽しめる指導プログラムの開発・提供を通じて、ビリヤードを介した心身の活性化と地域コミュニティーづくりに取り組む。「人生100年時代を健康で笑顔で過ごす」ことをビジョンとし、高齢者施設などへの出張レッスンや「ウォーキングビリヤード」などの健康志向プログラムを展開しつつ、専門的な指導ができる「ビリヤードコーチングプロ」資格制度を運営。競技としての上達だけでなく、目や身体の使い方を重視したコーチングや交流イベントの開催を通じて、介護・福祉分野とも連携しながら、ビリヤードを新しいヘルスケア・レクリエーションとして社会に広めている。
構成:研友企画出版
著者:MySCUE編集部
MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。