1. 住宅型有料老人ホームとは
住宅型有料老人ホームは、主に民間企業が運営する民間の老人ホームです。掃除や食事の提供、見守りなどのサービスが受けられるほか、介護が必要となった場合は、介護保険を使った介護サービスを利用できます。
住宅型有料老人ホームの特徴は、施設によって入居条件や、費用、サービス内容が大きく異なることです。そのため、入居する方に適した施設を選ぶことができます。
2. 住宅型有料老人ホームの入居条件
・年齢:主に60歳以上
・要介護度:自立〜要介護
住宅型有料老人ホームは、主に60歳以上の人で、介護を必要としない自立の方から要介護の方まで幅広い方の入居が可能です。ただし、入居条件は施設によって異なるため、50歳以上60歳未満でも入居できることもあります。
また、自立から要介護の軽度の方を対象とした「自立型」、要介護1〜5の方だけが利用できる「要介護型」も存在します。
認知症については、軽度の方は入居可能ですが、進行してBPSD(行動・心理症状)※が見られる場合は、施設の見守り体制やセキュリティ体制によって入居できない場合があります。
※BPSD(行動・心理症状)・・・認知症の周辺症状とされる精神症状や行動障害のこと。具体的には、不安、抑うつ、興奮、徘徊、不眠、妄想など。
3. 住宅型有料老人ホームのサービス内容
◾️生活支援サービス
住宅型有料老人ホームでは、次のような生活支援サービスが提供されています。
食事の提供
掃除、洗濯、買い物の代行
緊急時の対応
健康管理
生活相談
見守り
レクリエーションやイベント
◾️医療サービス
住宅型有料老人ホームは、医療機関と連携しているので、万が一のケガや病気に対応してもらえます。しかし、看護職員の配置規定がないため、医療サービスの提供は施設ごとに大きな差があります。
看護職員がいない施設では、訪問看護ステーションを併設して医療サービスの提供を可能としているところも見られます。
一方で、看護職員を手厚く配置し、24時間体制で医療的ケアを提供できる施設や、理学療法士などのリハビリ専門職を配置してリハビリテーションに力を入れる施設も存在します。
◾️介護サービス
介護保険を使った介護サービスを利用できます。ただし、住宅型有料老人ホームには、もともと介護サービスがついていないため、外部の介護サービス事業者が提供するサービスを利用することになります。
そのため、介護サービスを必要とする方は、外部の居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)や介護サービス事業者を自分で選んで個別に契約する必要があります。
なお、近年は、住宅型有料老人ホームの敷地内に訪問介護事業所やデイサービスなどを併設しているところもあるので、希望すれば利用することも可能です。
自宅と同じ地域にある住宅型有料老人ホームに入居した場合は、これまでと同じケアマネジャーや介護サービス事業者を引き続き利用することができます。
4. 住宅型有料老人ホームの人員配置
住宅型有料老人ホームには、人員配置に関する基準は特にありません。入居者ごとに必要なサービスが異なるため、施設が提供するサービスに必要なスタッフが配置されていればいいとされているためです。
多くの住宅型有料老人ホームでは、以下のような職員が配置されています。
・施設長(管理者):1名以上
・生活相談員:必要数
・栄養士:必要数
・調理員:必要数
・介護職員:必要数
・看護職員:必要数
上記以外にも、必要に応じて理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、機能訓練指導員などの職種を配置する施設もあります。
例えば、リハビリに特化している施設では、理学療法士などリハビリ専門スタッフの配置が手厚くなっています。
職員配置の特徴がその施設の特徴になるため、施設選びをする際のチェックポイントのひとつになるでしょう。
5. 住宅型有料老人ホームの費用
住宅型有料老人ホームを利用するには、入居時に支払う「入居一時金」と毎月支払う「月額利用料」の2種類の費用が必要になります。
費用の目安は以下の通りです。
初期費用:0〜数千万円
月額費用:15〜30万円
ただし、上記は目安の金額のため、入居する施設や利用するサービス内容によって金額の増減があります。
なお、外部の介護サービスを利用する方は、介護サービス事業者へ支払う費用(介護サービス費)が、別途必要となることを覚えておきましょう。
6. 住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違い
◾️人員配置の違い
住宅型有料老人ホームの人員配置には規定がありませんが、介護付き有料老人ホームは介護保険における「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設のため、人員配置が介護保険法で定められています。
そのため、介護・看護職員の配置基準も介護保険法に基づき、利用者3人に対して職員1人以上と決められています。
なお、手厚い介護・看護体制を整えている施設では、基準の「3対1」以上の介護・看護職員が配置されています。
◾️入居期間の違い
住宅型有料老人ホームでは、入居後に重度の介護状態になり、施設での対応が難しくなった場合、退去を求められることがあります。
一方で、介護付き有料老人ホームは、基本的に介護を必要としている方を対象としているので、介護度が高くなっても入居を継続できます。寝たきりの方や看取りケアにも対応する施設も珍しくなく「終身利用」が可能です。
◾️サービス内容の違い
住宅型有料老人ホームで提供されるサービスは基本的に「生活支援サービス」のみであり、施設内では、介護サービスは提供されません。
介護付き有料老人ホームは、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているので、施設スタッフから24時間体制で介護サービスを受けることができます。
◾️介護サービス費の違い
住宅型有料老人ホームでは、利用した外部の介護サービス事業者に利用分に応じた自己負担分の料金(介護サービス費)を支払います。
一方で、介護付き有料老人ホームの介護サービス費は、月額費用に含まれています。要介護度に応じた定額料金のため、どれだけ介護サービスを利用しても一定の金額です。