イオンスマイル新浦安店を訪れてのレポート、第2弾をお届けします。今回は同店舗で利用者様がトレーニングの際に使われるマシンやそれらを使ったトレーニングについて、くわしくお話を伺いました。そして、ケアラーや高齢者の方が自宅などでも取り組める運動や苦手な動作を克服するポイントについても併せて伺いました。トレーニングの目的は単に筋力をアップさせることだけでなく、日常の動作を安全に行えるようになること。そのことを念頭に、高齢者が苦手な動作の原因や克服するためのポイントに気付くきっかけにしていただければ幸いです。

1. PCに接続されたマシンでひとり一人に最適な負荷でのトレーニングを

それぞれのマシンとそれを使ったトレーニングの内容などを教えてください。


「これはレッグプレス(①)。足腰の筋力低下を予防する運動をするマシンです。これはローイング(②)といって、背中の筋肉を鍛えるもの。猫背を予防するためのトレーニングになります。

これはレッグエクステンション(③)といって、太ももの前側(大腿四頭筋)を鍛える機械になります。太ももの前なので、立ったり座ったり、階段を上る時などにも重要な筋肉を鍛えるマシンです。ひざをのばして蹴っ飛ばすような動作になります。

レッグプレスはお尻周り、太もも周りの筋肉を鍛えるもの。下半身全般の、立ったり座ったりという、日常の動作全般のための運動になります。ヒップアブダクション(④)では、お尻の横の筋肉を鍛えます。この筋肉は歩く姿勢になった際、その瞬間のふらつきを抑えてバランスを取ってくれる大事な筋肉です。歩く姿勢がプラプラしている方には、これをがんばって、とお声がけしています」



①レッグプレス



②ローイング



③レッグエクステンション

④ヒップアブダクション


各マシーンの重さの負荷はどう調整しているのですか?

「利用者様ごとに1枚ずつカードがあり、その中にその方の体重、身長などのデータが入っていて、その人に合う重さが登録されているんです。

そのデータはパソコンで管理していて、3ヶ月ごとなど定期的に行っている体力測定で筋力が上がってきた、ということがあれば、トレーニングメニューの重さを変更するためにパソコンで登録し直しています。パッと見は負荷がわからないのですが、『この人は何キロでやってるんだ?』とここを覗きに来る利用者様もいます(笑)」


(MySCUE編集部員、レッグエスクステンションでWBI〈体重支持指数〉を出してみる)皆さん、どのくらいの値を目指しているんですか?

「ここに来る方はまず、0.4を目指してもらっています。そのくらいの値がないと、自立歩行していても転倒のリスクが高くなってくるんです。ここに来る段階では皆さん大体、0.4を切っている方ばかりなので。

0.4をクリアしたら、次は0.6を目指していただきます。これは階段を昇ったり、しゃがんだりといった日常生活の動作を問題なくするために必要な値だといわれています。当初は目標をここに設定していたんですけど、今、0.7とか0.8の方が出てきているんです。0.2にもいってなかった人が初めて0.4を超えた時の表情は全く違いますし。『0.6なんて無理』と言っていても数ヶ月後に0.6を超えてくる方もいます。87歳で0.6を超えた方もいました。正しいやり方で取り組んで、ちゃんと栄養も取れば、ある程度のレベルにはいけるんです」

2. 高精度な体組成計とアンケートによって利用者様ごとの課題や目標を設定

こちらが体組成計ですか?

「はい。鉄製の体組成計(写真下)です。体重だけでなく、筋力や筋肉量を測定できます。

このA4の紙が結果のシートで、こちらを皆さんにお渡しして、ケアマネさんにも共有しています。これを見ながら、3ヶ月に一度の頻度で、カウンセリングを行っています。身体の状態をトータルで見て、変わってきているところを確認して、こういうことを継続してくださいとアドバイスしたり、ここの伸びが少ない原因は何だろうと考えたりしています」



体組成計

「生活面でのアンケートなども行って、プログラムに反映させています。例えば、食事が取れていないから、そこをもうちょっと取っていければ上がっていくるんじゃないかとか、運動内容が実はちょっと軽いかもしれない、じゃあもうちょっと重くしましょうとか、といった形です。逆に男性陣は過去の(感覚で)できると思って、無理な重さでトレーニングをしてしまって体を壊している方もいるんです。ですので定期的にプログアムを調整して、その人のそのタイミングで一番ベストな運動負荷を提案していくようにしています」

トレーニングは18名の利用者様が何手かに分かれて行っているんですか?

「通常は18名を9:9で割って、 一方ではマシントレーニングをしてもらい、もう片方はバイクやこの階段も含めた個別メニューをやってもらっています。1単位が3時間なのですが、最初の1時間くらいは挨拶をして、血圧測定をして、準備体操をしてちょっと休憩を挟んだら過ぎてしまいます。残りの2時間で、メインの運動(マシントレーニング、個別のメニュー)を1時間ずつ交代して消化するという感じですね」

3. 苦手な動作を練習すること、苦手ポイントを把握して克服することが重要!

こちらの記事を読んで頂いている高齢者の方やケアラーの方のために、自宅で誰でもできるような運動があれば教えていただけますか?

「高齢者の方には、できれば日常的な動作の練習をそのままトレーニングとして取り入れることをおすすめします。具体的には、立ち上がる動作が苦手な方には、立ち上がる練習を家でもしていただく、ということです。

マシントレーニングで鍛えた筋肉を、動作で使えるようにしていかないと意味がないので。例えばスクワットをするよりは、椅子から立ち上がる動作を繰り返すということです。

ただ何かにつかまって立ち上がる時にも、楽に立ち上がるタイミングがあるんです。例えばこう、お辞儀するような姿勢から立ち上がると楽に立ち上がれるとか」




「足首が固いなどの問題がある方は、そのためにめちゃくちゃな動きをしている方が多いんです。ですので、ちゃんとポイントを掴んで立ち上がる練習を家でもやってくださいと言っています。

立ち上がる練習がクリアできてしまったら、その動作をする際に少し過度な負荷を加えてみましょうというのがポイントになります。これは(運動の法則で)過負荷の原則に基づいた方法です。例えばボールをひざの間に挟んで、お尻とか太もも以外の筋肉に刺激を入れた状態で立ち上がるといった動作の練習をするということです」



「立ち上がる動作というのは、歩く動作と比例していると言われていて、座る動作が下手な人は歩くのも下手で、歩くのが下手な人は、むちゃくちゃな立ち上がり方をしている場合があるんです。


立ち上がること自体はシンプルな動作ですが、体を傾ける時にいろんな筋肉や関節を一緒に協調させて動かすことでスムーズな動作になるんです。高齢者の方はそれを全て筋肉だけでやろうとすることがあります。そこでちゃんとポイントをつかめば、すごく楽にできるようになるんです。


(立ち上がる際に)体を傾ける際、お辞儀をするようにするとスムーズに行えます。傾きが浅くなってしまうのは、例えばお尻周りの筋肉が硬くなっているからかもしれず、それなら股関節のストレッチをしっかりしましょうと勧めたら、すっと立ち上がれるようになったりするんです」


「高齢者の方はどこかに不具合があって受診することもあると思うのですが、そんな時お医者さんは『運動しなさい』というアドバイスだけで終わってしまうんです。動けない、歩けない、という方にただ『運動しましょう、歩きましょう』という大ざっぱなアドバイスをされてもなかなかうまくいかないのは、そこにうまくいかなくなる細かい原因のポイントがあるからです。自己流の運動をがむしゃらに1~2ヶ月やるよりは、ポイントを掴んで2、3日やるだけでも十分動作を獲得できる場合がある。そこを見極めることは大事かもしれません。 ですので、何をやったらいいですか?という質問には、動作中心、ということが答えになります」



イオンスマイル新浦安店



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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい人への介護やサポートをする、ケアラーのためのプラットフォームです。 MySCUE(マイスキュー)は、高齢化先進国と言われる日本が、誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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