MySCUEの正式な実店舗第1号「MySCUEイオンスタイル品川シーサイド店」を、ケアラー目線で岡崎がレポート。そこにはケアラーはもちろん、今は介護に無関係の人でも、誰もが介護について考えるきっかけを与えてくれる場があった。

1. たどり着きやすい場所にあった実店舗第1号!

11月のある日、MySCUEイオンスタイル品川シーサイド店を訪問した岡崎。理由は、介護歴20年以上の介護者(以下、ケアラー)目線で同店の魅力を読者のみなさんに伝えるためです。

「店舗はどこにあるのかな?」と1階の入口からイオンスタイル品川シーサイド店に入り、まわりをキョロキョロ。すると入口近く、店内でもわかりやすい場所に“MySCUE”の文字が輝く看板と、サイトでもお馴染みの黄色をベースにした店舗が目に飛び込んできました。思った以上の存在感(失礼!)に驚きです。

店舗に到着すると、お揃いのポロシャツを着た笑顔のスタッフさんが出迎えてくださいました。店内は「家族とできるコミュニケーション」「睡眠・聴覚のサポート」など、介護シーンでのテーマごとに仕切られた棚に商品が説明とともに並んでいます。

要介護者向けの商品はもちろんですが、「おすすめのケアラーサポート」の棚など、ケアラーが介護生活の中でリフレッシュするための商品なども並んでいます。さすがは「ケアラーのためのプラットフォーム」を謳う、MySCUE。福祉用具のカタログでは見つけることができない商品を取り上げてくれていることに岡崎は感動してしまいました。



写真上:「おすすめのケアラーサポート」商品が並ぶ棚。

2. 次々に介護関連用品を試してみた!

この店舗の最大の魅力は、約3カ月ごとに入れ替えるさまざまな介護関連商品を実際に手に取り、試すことができるということ。岡崎はスタッフさんの「どうぞ、どうぞ!」という言葉に甘えて、次から次へと商品を試させていただきました。

これはすごく貴重なことです。なぜなら介護が始まると福祉用具専門相談員さんの説明と福祉用具のカタログだけで商品を選択しなければならないことが多いから。どういうことかというと、必要に迫られているからこそ、比較検討の時間がなく、購入やレンタルを即決しなければならないことがあるためです。

さらに、大切な家族が使う介護関連商品がどんな使い心地のものか、そして特に大きなものの場合、設置や収納する場所はどのくらい必要かなど、福祉用具専門相談員さんはもちろん丁寧に説明してくれますが、「一見は百聞にしかず」なところがあったりもして、実際に目で確かめられる機会があることに越したことはないのです

一方、MySCUEの店舗は商品を購入する場ではなく、あくまで実物の商品を見て、手に取ってみる場。そのため、「買わなくては」という変なプレッシャーもなく、気軽にあれこれ試すことができます。気になった商品があれば、商品のそばにあるパンフレットを持ち帰ったり、商品のプレートに記載されたQRコードで商品情報をスマホでチェックし、ブックマークするなどしてじっくり検討してもいいのです。

介護経験のない人にも、スタッフさんが丁寧に説明もしてくれるので「こういう便利な商品があるのか」と事前に知識を蓄える場にもなります。

今回、さまざまな商品を試した岡崎ですが、体調を崩し車いすを利用することが多くなった父の気持ちになり、数種類の電動車いすを試してみました。それぞれの乗り心地の違いを検証しながら店舗内を走行できたことは貴重な体験となりました。


写真上:電動車いすに実際に乗ってみました!


最近の研究で認知症の進行と聞こえづらさには深い関係があることがわかり始めていますが、高齢者の聞こえづらさを解消する最新の商品を試用したことは、自分の将来のためにも(!?)大変参考になりました。

おすすめは、認知症の人に対しての考え方が変わるであろう「VR認知症体験」と「脳健康VR測定」。ぜひ、多くの人にトライしてもらいたい体験コーナーです。

「VR認知症体験」で岡崎は、いくつかあるプログラムの中から「ここはどこですか?」というプログラムを選択。電車の中で認知症の人がパニックになる感覚をVRで体験できるものです。父もこんなふうに不安だったのだと、ケアラーとして忘れがちな当事者の気持ちについて改めて考えさせられました。


写真上:「VR認知症体験」をお試し中。

3. MySCUEの店舗は「介護、シニアケアのプチテーマパーク」

MySCUEの店舗は介護関連商品の紹介のほかに、ケアラーが専門家にアドバイスを受けたり、ケアラー同士が繋がる場も提供しています。

店舗の中央奥の机といすが置かれたスペースでは連日セミナーやお試し会などが開かれ、仕切りで区切られたスペースでは介護関連の書籍を読みながら無料のコーヒーサービス(My SCUEの会員登録者限定)を楽しむことができ、さらに専門家への個別相談などに利用されているブースなどがあり、さまざまな用途に利用できる店舗となっています。

岡崎が訪問した日はMySCUEの連載でもお馴染み、介護者メンタルケア協会の橋中今日子さんによる「介護に備えて今できること―『親ブッグ』を使ったコミュニケーション―」が開催されていました。岡崎も飛び入りで参加。岡崎も含めて4人の参加者が、橋中さんの提案によりあだ名で呼び合うというフレンドリーな雰囲気で緊張感が一気にほぐれます。参加者は、これから介護をするかもしれない人、すでに介護をしている人、自分が介護されるかもしれない人と、年齢も状況もさまざま。家族のあれこれを記入して、家族のことを深く知ることができる『親ブック』をベースに、介護やシニアケアで重要となる家族の思いについて考えました。


写真上:連載でもお馴染みの橋中今日子さんによるセミナーに参加。

個別相談のためのブースでは、管理栄養士さんによる健康相談が実施されていました。

店先には、この日限定でケアする本屋「はるから書店」が出店。おもにオンライン書店として運営されている元ケアラーの店主、小黒悠さんが介護に【やくだつ本】と気持ちの【やわらぐ本】を取り扱っています。若いお客さんが小黒さんの説明を聞きながら介護の本を手に取る姿が印象的に残りました。

介護関連商品を手に取ってみたり、体験したり、セミナーに参加したり。足を踏み入れてから、アッという間に時間が過ぎていたMySCUE品川シーサイド店(岡崎は3時間も滞在)。そこは、まるで「介護、シニアケアのプチテーマパーク」のような場所でした。



この記事の提供元
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著者:岡崎 杏里

大学卒業後、編集プロダクション、出版社に勤務。23歳のときに若年性認知症になった父親の介護と、その3年後に卵巣がんになった母親の看病をひとり娘として背負うことに。宣伝会議主催の「編集・ライター講座」の卒業制作(父親の介護に関わる人々へのインタビューなど)が優秀賞を受賞。『笑う介護。』の出版を機に、2007年より介護ライター&介護エッセイストとして、介護に関する記事やエッセイの執筆などを行っている。著書に『みんなの認知症』(ともに、成美堂出版)、『わんこも介護』(朝日新聞出版)などがある。2013年に長男を出産し、ダブルケアラー(介護と育児など複数のケアをする人)となった。訪問介護員2級養成研修課程修了(ホームヘルパー2級)
https://anriokazaki.net/

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