腰の具合が悪くなるとあまり動かなくなり、体重が増えたり、腰をかばったりすることで姿勢が悪くなり、ひざの負担がふえます。また、そこに骨粗しょう症が合併すると、さらに姿勢が前かがみになり、腰への負担が増します。体を使わないと、体のバランス能力が低下し、転倒しやすくなるのです。

 

今回は、加齢や運動不足によって、ふえてくる腰痛、ひざ痛、肩こりなどを予防・改善する3つの体操をロコモの名医として知られる渡會公治先生に教えていただきました。

 

1. 背骨・股関節・ひざの複合トレーニング!腹ばい体操

動きが少ないと感じるかもしれませんが、背骨・股関節・ひざの体操として十分に効果があり、腰痛・ひざ痛の予防と改善にもおすすめの体操です。この体操がつらいと感じる人は背骨が硬くなっています。無理はせず、徐々に体操に慣れていきましょう。

 

 

基本姿勢
腹ばいになります。両脚を伸ばし、両手はおでこの位置で重ねます。

 


① 顔を左に向け、ゆっくり左ひざを曲げます。➡ 基本姿勢に戻ります。
② 次は顔を右に向け、ゆっくり右ひざを曲げます。➡ 基本姿勢に戻ります。
③ ①と②の動作をくり返し数回行います。反対側のひざが自重(自分の体重)で伸びていくのを感じてください。

 


の動きがスムーズにできるようになったら、基本姿勢から顔を左に向け、左ひざを曲げるのと同時に左肘を左ひざのほうへゆっくり近づけます。目線はひざの方向に向けます。➡ 基本姿勢に戻ります。
② 右側も同様に行います。➡ 基本姿勢に戻ります。
③ ①と②の動作を数回くり返します。

ポイントは、肘とひざを近づけることで、さらに背骨が大きく動きます。

 

2. 背骨・骨盤をスムーズに動かす!ネコ体操

ネコが丸くなったり伸びをしたりする動きをとることで、背骨・骨盤を前後になめらかに動かすトレーニングです。丸くなるときはしっかりとおへそを見るようにし、背伸びをするときは胸を伸ばすつもりで行います。背骨・骨盤・肩甲骨が伸びていることを意識して行いましょう。腰痛の予防と改善にも効果的です。

 

 

両手と両ひざを肩幅に開き、よつんばいになります。このとき、両手・両ひざの4点に均等に荷重を分散し、背中の力を抜きます。

背骨を天井に向けて押し出すイメージで、丸くなります。肘を曲げ、肘と頭を床につけて背中をストレッチしましょう。

今度は肘を伸ばして、背中全体を反らせながら胸を伸ばします。2と3の一連の動作をゆっくりと数回くり返します。

1の体勢から、右肘を曲げて、左上を見ます。同様に、左肘を曲げて右上を見ます。これを交互に数回行い、徐々に背骨を大きくねじっていきます。

3. 肩こり予防&改善に!スカプラプレーン体操

重りを入れたバッグを後ろ手に持って背骨の上を滑らせるスカプラプレーン体操は、肩甲骨周辺の筋肉を鍛え、肩甲骨の動きを滑らかにし、肩こりの予防と改善に効果大。無理のない範囲で1日に数回行いましょう。肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)のある人は、痛みが出ない範囲で行ってください。

 

 

 

大きめのバッグ(手さげ袋など)に、水の入ったペットボトル(2L)を入れます。重たい場合は、水の量を調整して行いましょう。

 

バッグを手のひらが背中を向くよう、後ろ手に持って肘を曲げ、背骨の上を滑らせるようにして、ゆっくりと上げ下げをくり返します。

ポイントは、バッグが背骨にそってまっすぐ上下移動するよう、腕を動かします。

 

次に両手で上げて、片手に持ち替えて、ゆっくりと下していきます。下ろしたら、両手で持ち上げるのをくり返します。楽にできるようになったら、片手で上げ下げをくり返します。

手のひらを前に向けて回外(※1)してやりがちですが、回内(※2)してやってください。両手で上げて、片手で下ろすといいトレーニングになります。

腕を速く動かすと肩や肘を傷める原因となるため、1よりもさらにゆっくりと上げ下げしましょう。

 

※1 外向きに回す運動のこと。
※2 内向きに回す運動のこと。

4. まとめ

4回にわたり、ロコモ体操を解説してきました。生涯、健康な足腰を保ち続け、最期まで自分の足で立って暮らすためにも、ロコモにならないことが大切。また、ロコモは認知症を招くことにもつながります。毎日少しずつでもよいので、ロコモ体操をやってみましょう。

 


イラスト:末続あけみ
指導・監修:渡會公治

この記事の提供元
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著者:渡會公治(わたらい・こうじ)

一般社団法人美立健康協会代表理事、帝京科学大学医学教育センター特任教授。
スポーツ医学および身体運動科学の専門家。主にスポーツ整形外科医として、スポーツ障害や高齢者のロコモティブシンドローム予防と治療に取り組む。体力や筋力を適切に評価し、トレーニングや運動量の調整を提案することで、スポーツ選手や高齢者の健康を支えている。『長生き足腰のつくり方』(アスコム)、『いますぐできるロコモ体操』(家の光協会)など著書多数。

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