「ケア友」とは、介護やシニアケアを必要とする人々を支えるために、日常生活における家事や精神的な支援などを行う人のことを指します。この言葉は近年、日本の社会において注目されつつある新たな形の支援ネットワークの一部として存在感を増しています。従来、介護やシニアケアの主な担い手は家族や介護従事者などの専門職であることが多かったのですが、社会全体が急速に高齢化し、仕事や家庭の状況によって家族や介護従事者だけでは十分にサポートできないケースも増えてきました。そのような中、ケアを支援する「ケア友」の存在が重要視されるようになっているのです。
ケア友の概念は、もともとケアを提供するという観点においては、ボランティア的な役割を担う人々や、互いに助け合いながら生活するコミュニティの中で生まれました。これらには、身近な友人や知人同士が自然に助け合いながら、介護やシニアケアが必要な人に寄り添う関係も含まれます。例えば、親が認知症であり、そのケアに当たる人たちの集いで出会った人や定期的に通う病院などで知り合ったケアラー仲間など、同じ苦労や悩みをもち、それを打ち明けたり、聞き合うなどの活動でつながる人たちのこと、というとわかりやすくなるでしょうか? MySCUEにおいては、ケアラーとそのようなつながりをもつ人のことを「ケア友」と捉え、ケアラーにとって感情的なサポートや社会的なつながりを提供する重要な役割を果たす人として、その重要性を考えてみたいと思います。
MySCUEにおけるケア友とは、ケアラーにとって役立つ情報を提供してくれたり、相談にのったり、ただ話を聞いてくれるなど、精神的な支えとなる存在です。肉体的な疲労に加え、精神面でも負担を強いられる介護やシニアケアを行っているケアラーにとっては、ケアマネなどの専門職とは異なり、気軽に接することができる相手として、重要な存在となることが予想されます。
介護やシニアケアの現場で直面する困難や悩みを共有することは、感情的な疲れを軽減し、心のケアも行うことにもつながります。また、状況によってはケアラーが物理的な問題で困っている場合に介護や生活についての支援を行うこともあるかもしれませんし、介護やシニアケア、そして家事や仕事の世界のみに活動の場が狭まりがちなケアラーに、異なる局面での社会参加を促すための手助けや、趣味を一緒に楽しむことなどもケア友の重要な役割なのです。
「ケア友」という考え方が注目される背景には、日本社会の急速な高齢化があります。日本は今後ますます高齢化が進み、介護が必要な人々が増える中で、家族だけでのケアは限界が来ると予測されています。また、長時間働くことが多い現代社会において、家族の誰かがフルタイムで介護を担うことは難しくなりつつあります。このような状況において、ケア友のような非家族的な支援の形が非常に有益であることが分かってきました。
ケア友の存在は、ケアラー自身の充実感や自己肯定感を高めることにもつながり、それは翻って被介護者の生活の質向上に結び付くこともあると思われます。また、自身もケアラーであるケア友が他のケアラーの支援を行うことで、「人の役に立っている」という実感を得ることは、本人にとっても大きな喜びとなります。これは、ボランティア活動における満足感と似ており、共感と助け合いを重視する現代、そしてこれからの社会において重要な要素といえるでしょう。
ケア友として活動するには、いくつかの心構えが重要です。まず、相手のペースに合わせた支援を行うこと。支援を押し付けるのではなく、相手が求めることを見極め、必要な時に手を差し伸べることが重要なのです。
また、ケア友としての役割を果たす際には、過度な負担を避けることも重要です。ケアラーは、精神的、身体的に疲れ果ててしまうことが多々あります。適度に自分のペースで活動を続け、必要に応じて他の支援者と協力することが重要です。
ケア友の活動を通じて、地域社会の絆が深まり、より豊かな共生社会が実現することが期待されます。
写真:PIXTA
著者:MySCUE編集部
MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。