「ケア活」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? 「ケア」といっても、現代では主に自己ケアや周りへのケア、さらには地域社会や職場環境におけるケアなど、さまざまな「ケア」があります。ですが今回はMySCUEで語られる「ケア」=「シニアケア」の周辺から、その活動を意味する「ケア活」が意味するところについて整理し、その意義や具体的な実践方法、そしてその効果や影響について考えてみたいと思います。
まずは「ケア」という言葉自体について考えましょう。ケアは、一般的に「世話をすること」「心のケア」「支援を行うこと」といった意味合いで使われますが、これには家族を含む他人の身体的、精神的、社会的な健康や福祉を支える意味合いが含まれます。さらに昨今では「自己ケア(セルフケア)」の概念や重要性も多く語られるようになり、他人に対してだけでなく、自身に対してのケアも含めて認識され始めています。よって今回は、「ケア活」の意味合いにおいても、他人を支えるという意味だけではなく、自己ケアを含んだ広い範囲の活動が含めて考えていきます。
現代社会では、過剰なストレスや孤独感、精神的な疲弊などが問題になっていますが、シニアケアを担うケアラーはそんな中でも職場、家庭、そして家族のケアなど、複数の局面でそれらの問題を抱えています。それ故、自己ケアを実践することは特に重要視すべき課題です。
以上の観点から、MySCUEが考える「ケア活」は、自己ケアと周りの人へのケアの両方を指しています。自己ケアは、精神的な健康を保ち、日常生活を快適に過ごすための方法として広がり、周りの人へのケアは、家族や友人、さらには職場や地域での支援活動を通じて、社会的つながりを深め、共生社会を作り上げることを目指します。これらが一体となって、「ケア活」という概念を形成していると捉えています。
ケア活については、観念的な議論を展開するより実践されることが第一。そのためには、具体的な方法を知ることが重要です。
まず、自己ケアについて考えたとき、身体的なケアが挙げられます。定期的な運動やバランスの取れた食事、十分な睡眠は基本的な自己ケアとして実践されてきましたが、精神的なケアも同様に大切です。そのためには瞑想や深呼吸、リラックスできる時間を持つことなどが有効です。また、趣味や好きなことに没頭することも、心の健康を保つために有益です。例えば、読書や絵画、音楽など、自分をリフレッシュさせる活動を定期的に行うことが推奨されています。
一方、周りの人へのケアについては、すでに行っている身近なシニアへのサポートから、その方の状態によっては本格的な介護も含まれます。理想としてはケアされる方の気持ちを理解し、共感することが重要ですが、さまざまな事情からそれが難しい場合は、介護従事者やケアマネジャーなどの第三者の助けを借りること、また、それを重荷に感じないことが重要です。ケアの実践に伴う身体的、精神的な負担感や疲労感を溜め過ぎることなく、周りの人の手を借りてもケア自体が安全に行われることが重要なのです。そのための方法やサービス、制度などが整っている日本においては、まずその環境を知っておくこと、そしていざとなれば躊躇なく利用できるため、事前に情報を入れ、知識を身に着けておくことが重要です。そのための準備もまた、ケア活の一つといってよいと思います。
また、困っている人がいれば手を差し伸べることもケア活の一環です。地域活動に参加したり、ボランティア活動を通じて社会全体の福祉に貢献することも、周りの人へのケアとして広く行われています。職場でのケア活も重要です。例えば、同僚の心身の健康を気にかけたり、コミュニケーションを円滑にすることで、職場環境を良好に保つことができます。
ケア活の実践においては、継続的に行うことがポイントです。最初は自己ケアを試みても、続けることが難しいこともあります。しかし、日々の習慣としてケアを取り入れることで、自然とその効果を実感できるようになります。ケア活動は一過性のものではなく、長期的な視点で取り組むことが重要です。
ケア活を実践することには、さまざまな効果があります。まず、自己ケアに関しては、心身の健康を保つことができます。適切な運動やリラックス方法を取り入れることで、ストレスが軽減され、免疫力が向上することが知られています。さらに、心のケアを通じて、感情のバランスを保つことができ、精神的な安定を得ることができます。これにより、仕事やプライベートにおいても、より充実した日々を送ることが可能になります。
周りの人へのケアにおいても、ケア活動が持つ効果は計り知れません。親しい人や仲間とのつながりを深めることで、精神的な支えを得られるとともに、孤独感が減少します。また、ボランティア活動や社会貢献を通じて、自己の存在意義を感じることができ、自己肯定感が高まります。社会全体にとっても、ケア活はポジティブな影響を与え、共生社会の実現に向けた一歩となります。
さらに、ケア活が広がることで、コミュニティ全体の絆が深まり、支え合いの精神が浸透します。これにより、社会的な孤立を防ぐとともに、困っている人々への支援の手が届きやすくなります。こうしたケア活動は、地域や社会の活力を高め、持続可能な社会を作り上げる一助となるでしょう。
「ケア活」の概念は、自己ケアと周りの人へのケアの両方を実践することによって、個人だけでなく社会全体にも良い影響を与える活動です。現代のストレスフルな社会において、ケア活はますます重要な役割を果たしています。自己ケアを実践し、周りの人と積極的に関わることが、健康で幸福な生活を送るための鍵となるでしょう。ケア活は、自己と自分の周辺のバランスを保ちつつ、豊かな人間関係を築くための大切なアクションであるといえます。
イラスト:著作者:macrovector/出典:Freepik
著者:MySCUE編集部
MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。