前回に引き続き、MySCUE品川シーサイド店で展示中のメンタルコミットロボット、パロの開発者、柴田崇徳先生の取材の後編をお届けします。

日本に先んじて欧米で評価され、「医療機器」として医療機関での導入が進んだパロの軌跡と、日本で2025年度から「介護テクノロジー」の新重点分野「認知症生活支援・認知症ケア支援」の「選定機器」第1号になった現状についてのお話です。誕生から30年を経て今や世界中の医療・介護の現場で活躍中。認知症ケアやPTSD治療など、小児から高齢者まで、多様な臨床現場で効果を示してきたパロの軌跡と、広がり続けるその可能性を追いかけます。

1. 200体が数日で完売! 市販化を通じて得た教訓

日本では、2005年3月にパロが市販化されました。2005年の「愛・地球博」(2005年日本国際博覧会)で展示することになり、パロは長久手日本館等、日本政府が運営しているVIP(皇族、王族、各国首脳等)向けのパビリオンでの展示を依頼され、準備していたのですが、触れ合える人が限られてしまうため、一般の方々向けにパロの展示場所を作ってもらい、触れ合えるようにしました。安全であること、壊れないこと、汚れないことの対策に苦労しました。結果として、「愛・地球博」には、6ヶ月間で約2200万人が来場したのですが、何ら問題も無く乗り切ることができました。

第8世代ではパロを株式会社知能システムから商品化し、万博の開始に合わせて3月1日からパロを受注することになり、テレビのニュースなどでもたくさん紹介されました。最初の200体くらいが数日で完売、追加の80体分もすぐになくなりました。さらに4ヶ月分のパロが数日で完売したのですが、待ち期間が長くなることと、実際にパロが届いてからトラブルになるのも困るので、いったん販売を休止しました。

パロの購入者にアンケート調査をしたところ、概ね高評価でしたが、ネガティブな反応(「思ったより大きかった」「思ったより重かった」等)が4件だけありました。これらは購入前に、触れ合ったことが無かったことが原因で、それ以外はポジティブな反応でした。それ以降は実際にパロを体験し納得してから購入してもらうようにして、現在もずっとその方式を取っています。今回(MySCUEの店舗で)このようなオープンな場所でパロを展示し、実際に触れ合ってもらうことができるのは、非常に良い機会だと思います。

日本は欧米に比べると、ペットを飼育する文化や歴史に大きな違いがあり、ペットに対する意識はまだまだ低いと言わざるを得ないのですが、一方で、商品の「品質(クオリティ)」については非常に厳しく、ちょっとしたことでもすぐにクレームになる傾向があります。そこで、まず日本の消費者が満足するクオリティのものやサービスを提供することを実現し、その後、海外でパロを輸出・販売することにしました。

また、日本ではロボットに対して親和性が高く、ロボットに対し、友達、かわいい、役立つ等の好印象があります。一方欧米では、ロボットは奴隷のように人の仕事を代替させ、労働者から仕事を奪うモノであり、もしロボットが心や感情を持つと人に歯向かい危害を加えるようになるもの、という風に考えており、一般の生活の中で受け入れることはあり得ない、というほど強い拒絶感があります。しかしながら、アニマル・セラピーについては、誰もが認知・理解しており、動物は人に良いもの、と考えられています。ロボットであるパロの話を聞いただけでは、強い拒絶感がありますが、パロの実物を見るとすぐに笑顔になり、触れ合うとロボットだという概念が無くなって可愛く思い、さまざまな人々に良い効果が有るものだと、すぐに受け入れられています。

2. 世界各国で先行して進んだパロの導入

海外展開を行うために、2003年から世界各国・地域の医療福祉機関とパロの臨床研究を推進しました。その中でも大きかったことは、2006~2008年にかけて、デンマークの国家プロジェクトでパロが評価されたことです。認知症対策のために高齢者の施設で利用していただきました。イギリス発祥の認知症のケアの理念で、「パーソン・センタード・ケア(Person Centered Care)(*1)」という考え方がデンマークでも認知症ケアの基本理念になっているのですが、パロがそれを実現しやすくするための道具となったんです。介護者やセラピストの道具として非常に有効だと評価され、2008年以降、本格的に導入したいという話になり、デンマーク女王がパトロネーゼ(支援)するデンマーク技術研究所が窓口となり、2009年からデンマーク国内でパロの販売が始まりました。

デンマークは医療・福祉が地方自治体により公的に提供されているので、パロの導入が決まったら導入にかかる費用を地方自治体が全額負担する仕組みになっています。またパロをうまく活用するためには、「人材育成」が重要なため、施設等の管理者や介護者等に対して、パロについて理解を深めてパーソン・センタード・ケアを実現するための運用方法等について研修を受けて「ライセンス」を取得することを義務化し、2009年から研修会とパロの導入を本格的に開始しました。その結果、パロがうまく活用され、非常に高い評判を得ました。また、当初は認知症の方の行動・心理症状(BPSD)の改善やコミュニケーションの活性化が目的だったのですが、パロの応用範囲が障がい者や子どもの発達障害者等、対象や年齢が大幅に広がり、現在では90%以上の地方自治体でパロが利用され、皆さんに喜ばれるようになっています。


デンマークでのパロ

デンマーク・コペンハーゲンの認知症センターでのパロ

デンマークでの研修会


デンマークで、パロについての研修会の様子


これらのようなデンマークでの実績を、他のヨーロッパの国々にも横展開していくことになり、ドイツ、スペイン、フランス、イギリスなど、ヨーロッパ各国にパロが広まっています。

最初は介護者の介護の質を高める一般的な機器として、ヨーロッパへの輸出のための認証(CEマーキング)を取得していたのですが、パロの活用範囲が広がるにつれ、痛み、不安、抑うつ、興奮(暴力、暴言、徘徊等)、不眠等の改善という医療的な効果が認められ、病院等、医療目的でも使われるようになり、その治療効果を積極的に謳えるように医療機器化して欲しいという要望が出てきたため、ISO13485等に準拠し、ヨーロッパで2021年にパロが「医療機器」として登録、輸出されるようになりました。


世界中で並行してパロについて臨床研究を推進していたのですが、インパクトが大きかったのはオーストラリアでの臨床試験でした。2013年に、約20人の少人数のランダム化比較試験(*2)でパロとの触れ合いによる認知症の人に対する効果──認知症の人のアジテーション(興奮)を鎮める等──が示され、その結果が『Lancet Neurology』(ランセット神経学)という医療系で世界的に有名な論文誌で紹介されました(*3)。

アニマル・セラピーについては、ローマ時代以前から犬や馬やイルカ等との触れ合いには医療的な効果があると言われ、さまざまな事例は発表されてはいましたが、ランダム化比較試験の結果によるエビデンスが示されたことはなかったのです。しかし、パロによって2000年以上の歴史上、世界で初めてアニマル・セラピーの効果のエビデンスが示された、として、そのインパクトが紹介されました。より大規模な試験をすることも勧められ、オーストラリア政府がこの試験を実施してくれたチームに多額の予算を付けてくれました。そこで改めて415人が参加したパロのクラスター・ランダム化比較試験を実施し、そこでもちゃんと効果が示されたことで有効性が認められ、オーストラリアの高齢者施設等でもパロがたくさん導入されることになりました。


*1 パーソン・センタード・ケア:認知症の方を1人の人格をもった人間として尊重し、その人の視点や立場から理解しようとするケアの在り方のこと

*2 ランダム化比較試験(Randomized Contorolled Trial、以下RCT):研究対象者を無作為に複数のグループに分け、一方のグループに新しい治療や介入を施し、もう一方のグループには既存の治療法やプラセボ(偽薬)などを施すことでその治療法などの効果を公平に比較する実験方法のこと。通称RCT。
*3 参考サイト:「Dolphins, dogs, and robot seals for the treatment of neurological disease」(Adrian Burton, Volume 12, Issue 9p851-852September 2013)
https://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(13)70206-0/fulltext

3. 認知症をはじめ、がんやPTSDの治療にも効果を発揮──アメリカで、フランスでの事例

アメリカでは株式会社知能システムが2008年に子会社を作ってパロを輸出・販売しようとしたのですが、「セラピューティック・ロボット(therapeutic robot:リハビリや癒しを目的として人間と直接触れ合うロボット)」という言葉は医療機器でないと使えないという規制があったため、パロを「医療機器」として登録するためにさまざまな手続きを進めた結果、パロの治療効果と安全性が認められて、2009年に「バイオフィードバック医療機器(クラス2)」の認定をFDA(アメリカ食品医薬品局)から受けました。ただ、市場での販売や使用が許可されただけですぐに保険適用になるわけではないため、それ以降も市販化後の臨床研究を継続することを奨励されたため、パロの治療効果と安全性のエビデンスをさらに蓄積しました。

テキサス州立大学では61名の認知症の高齢者の方々に対して、複数の認知症ケアユニットでのグループセッションで、「パロと触れ合うグループ」に対して、「音楽療法などの他のケアのグループ」を対照としてRCTを行いました。結果的にパロと触れ合ったグループには痛みや不安を改善して、生理的にも(血中酸素濃度や皮膚電位の変化、心拍数など)改善効果が示されました。

2015年の3月にはアメリカのホワイトハウスに招待され、大統領の科学技術顧問が主催する委員会で招待講演をしたところ、パロをアメリカの医療制度の中で使っていきたい、ということになり、7月にはアメリカの保健福祉省(HHS)が開催する「ヘルシー・エイジング・サミット」という会合での基調講演を行いました。その結果、2018年から処方箋に基づいた「パロを用いるバイオフィードバック治療」を実施すると、アメリカのメディケア、メディケイド(*)の保険適用になり、処置費用を保険償還できることになりました。

パロを使った治療対象の患者は認知症だけでなく、がん、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、脳損傷、パーキンソン病、発達障害等の患者の方々にも広がっています。痛み、不安、抑うつ、興奮(暴力、暴言、徘徊等)、不眠などの症状が診断されると、「パロを用いるバイオフィードバック治療」の処方箋が出て、処方者の他、セラピストや看護師、あるいは医療ライセンスをもったソーシャルワーカーがパロを用いて治療をすると、通常の治療の2倍ほどになるバイオフィードバック治療の費用が保険で償還されることになったんです。このような医療機器は他に例がなく、また日本製のパロがアメリカの保険適用になることは、特例的で奇跡的な事なのです。

近年アメリカで話題になっているフェンタニルなどのオピオイド系の鎮痛剤があります。これは基本的には麻薬で依存と副作用の問題があるため、治療には使わないことが望ましいということになってきています。その際の薬の代替として、パロが重宝されている、という背景があります。


アメリカ退役軍人病院でのパロ

アメリカ・退役軍人病院でパロとふれあい気分を向上し、興奮等を抑制するPTSDと認知症の退役軍人

高齢者の方が急性期病棟で手術後に入院されている際、その方に「認知症」の症状がある場合や、「せん妄」が発生すると、混乱したり、幻覚が見えると不安になって叫んだり、暴れたりすることがあります。治療薬が無いため、病院では大きな課題です。

ペンシルベニア大学(アメリカ最古の医学部で、臨床医学の世界大学学術ランキング2位)が、老年病棟急性期で手術後の患者で認知症、あるいはせん妄がある患者を対象に、「パロと1時間触れ合ってもらうグループ」と「触れ合っていないグループ(看護師等が1時間付添う通常の処置)」でRCTを実施したところ、パロと触れ合ったグループは20分以内に興奮状態が改善し、痛みも1時間以内に収まった、という結果が出ました。

この結果を踏まえ、ハーバード・メディカル・スクール(世界大学ランキングの医学部で1位)は、救急外来で、高齢患者に対するパロの治療効果について臨床試験を行っています。その他、世界各地の小児から高齢者まで急性期病棟や集中治療室で、パロのさまざまな臨床試験が行われています。

パロはアメリカの退役軍人省の病院でも使われています。元軍人の99%の方にはPTSDがあり、いきなり暴れ出したり、精神的に不安定になったりすることがあり、また高齢になると、認知症を早めに発症します。このような元軍人の方が、パロと触れ合っていると皆穏やかになって、看護・介護する人の負担も軽減できるのです。

フランスでは、2015年にパリ周辺のAP-HP(パリ公共病院支援機構)という公的な医療ネットワーク(医師、看護師、研究者、技術者などが総勢10万人ほど所属している世界でも最大規模の医療グループ)でパロを評価していただき、非薬物療法のイノベーションということで、2015年に「Patients Trophy」という賞をいただきました。

フランスではドネベジル(アリセプト)やメマンチン(メマリ)などの4種類の抗認知症薬の効果が低いことや副作用の問題から2018年の8月に保険適用から外され、認知症に対する薬が無くなりました。そのため、高齢者の施設がパロを導入すると、フランス全土で各州政府が全額を助成という仕組みができました。
こうした結果を踏まえて、ヨーロッパでも徐々に導入が進み、認知症の方や高齢者施設、障害者施設でも活用されています。


アメリカの病院でのパロ
アメリカ・カリフォニア州立大学サンフランシスコ校付属小児病院で、脳腫瘍のため100回以上の頭部手術を行って、集中治療室に入院中の子供に対するパロの活用


フランスの小児科でのパロ


フランス・パリの赤十字の小児病院は、ガン、腎臓病、糖尿病などで数年に渡り長期入院中の子供達にパロを活用


*メディケア、メディケイド…アメリカの公的な医療保険制度。メディケアは65歳以上の高齢者や一部の障碍者を対象としているのに対し、メディケイドは連邦政府と州政府の共同運営による制度で低所得者を対象としている。

4. 日本でのパロ導入の状況と今後の展開

日本では、2024年度から、いわゆる介護ロボットやICTなどをすべて統合して、介護テクノロジー(*)と呼ぶようになりました。これは厚労省や経産省が推進しているものですが、9つの重点分野があり、2025年4月からはさらに3つの重点分野が追加され、そのうちの1つが「認知症生活支援・認知症ケア支援」です。パロはその重点分野での最初の「選定機器」となりました。最初の2種類の選定機器のうち、1つはすでに製造されていないため、実際に販売されているものとしてはパロのみでした。「医療保険」と「医療機器」のような関係で、全てのタイプの介護事業者は、パロを導入する際に購入費用の75%(1体当たり30万円を上限として、定員により複数体が可能)の補助金が出るようになりました。すでに今年度、複数の都道府県で採択され、1つの施設で5体のパロを購入した事例もありました。日本でもオンラインで無料の「パロ・ハンドラー研修会」を受講して、効果的におアロを活用して頂いています。


*介護テクノロジー…介護現場における人手不足の解消や業務負担の軽減、そして介護サービスの質の向上のために介護ロボットやICTなどを導入する際、国や地方自治体が補助金の拠出などを行う取り組みのこと

5. ペットのように受け入れる気持ちが重要

パロは100%の方に対して効果があるというものではなくて、利用する方がパロを受け入れてくれる気持ちがあることが重要です。犬や猫が好きな方や飼っている方は、容易に触れ合い、話しかけたら何か反応があって人との会話のように解釈する経験があるかと思います。そんな触れ合いができる方は、パロをすぐに受け入れて、前記のようなパロの効果があると思います。

しかし、動物が怖いと感じたり、動物嫌いな人の場合、パロと触れ合おうとせず、受入れない場合があります。このような人の場合、前記のような効果は望めない可能性があります。しかし、他の人がパロと触れ合う様子を見て、パロが安全であることを理解すると、パロと触れ合い始める、というように受け入れに時間がかかる人もいます。

ちなみに日本では約7割の人は、すぐにパロを受け入れてパロの効果を感じられるというデータがあります。海外では、人々がペットの受容性が高いため、約8~9割の人々がパロを受け入れるようになります。

6. パロを個人で購入した方の話

2005年に個人でペットとしてパロを購入した方が、2022年まで17年間かわいがってくれたという事例があります。その方は新しいタイプのパロの購入も希望され、追加で購入していただき、併せて2体を家族で飼われています。適切なメンテナンスがなされれば、パロはそれくらい長く使っていただけるロボットなのです。

パロは、掃除や洗濯や調理のような作業を代替するためではなく、触れ合う人に楽しみや安らぎ等の「心の豊かさ」や「満足感」を提供することを目的にしているため、パロの研究開発を始めた時、人とペットの関係について、調査を行いました。
ペットの平均寿命は長く、例えば犬で約14年といわれています。初期の価格はさまざまですが、生涯で掛かる費用は、小型犬なら約350万円、大型犬では約500万円といわれています。また、アニマル・セラピーのためには犬をトレーニングする必要があり、400~600万円ほどかかり、犬を扱うハンドラーの人件費もかかるため、年間に約1,000万円がかかる計算になります。

7. テクノロジーとアートの融合体、パロ

パロには、2~5年ごとのバッテリーの交換等、メンテナンスは必要ですが、犬等のペットと同様に、15~20年と長く一緒に生活することを目指して設計・製造をしています。このような長期的な利用を見据えて設計・製造されているものは、最近では航空機、高級自動車、機械時計くらいです。

極寒の-100℃から砂漠等酷暑の100℃近いような気温・湿度で、10年、20年と使用される機器は、数年や数ヶ月で壊れるような家電製品やおもちゃなどとは材料や製造方法が、全く異なります。そのため、パロのデザインに当たっては、自家用機、超高級車、機械時計の理念や製造プロセスや品質を参考に、実用性についても配慮しました。実際にパロを世界ブランドの高級自動車の部品等と同等の品質・製造プロセスで作っているため、理念と目的の実現ために、見えないところでも大きなコストをかけているのです。

一方で、パロを長く大切にして頂くために、デザインの面では「テクノロジー」と「アート」の融合を意識しました。「アート」の観点では、パロの工房がある富山県南砺市の伝統工芸の和紙、絹織物、木彫り、金箔、漆塗り等を参考にしています。富山県南砺市は、これらをベースに2つの「世界遺産」がある歴史と文化が深い地域です。そこで、パロを1体、1体、職人さんに手作りで作って頂いています。

パロの人工毛皮は、特殊な製法により、縫い目が見えず、自然な毛並みに感じられます。また銀イオンによる制菌加工が可能な素材の中から、最高の触り心地の素材を選んでいます。

これらの「アート」性は、海外で高く評価され、「アート」作品として、フランス・パリの「ルーブル宮・装飾美術館」、アメリカ・ニューヨークの「近代美術館(MoMA: Museum of Modern Art)、イギリス・ロンドン「ビクトリア&アルバート博物館(V&A M:大英帝国のビクトリア女王が世界中から収集した美術品、宝飾品、工芸品などを展示)」、ロンドン「デザイン博物館」、ノルウェー・オスロ「王立美術館」等で展示されてきています。


南砺

富山県南砺市の様子(UNESCO世界遺産:相倉集落)

南砺市伝統工芸


約300年の歴史がある富山県南砺市の井波彫刻

トリミングされるパロ

パロの人工毛皮のトリミング(顔周りで約2時間)

パロの個体差


1体1体の顔つきが少しずつ異なるパロ

ルーブル宮美術館


パロが展示されたフランス・パリのルーブル宮・装飾美術館(2008年)

ルーブル宮美術館でのパロ


フランス・パリのルーブル宮・装飾美術館で展示された際のパロ

ビクトリア&アルバート博物館


パロが展示、、その後に収蔵されたビクトリア&アルバート博物館の様子(2018年)

ノルウェー・オスロの国立美術館


パロが展示されているノルウェー・オスロの国立美術館(2022年~)

健康な方々のペットとしてウェル・ビーイングにも役立つことから、火星探査等の長期宇宙探査ミッションではパロを応用することを提案しています。これまでに、JAXAの紹介で南極の昭和基地で2006年から1年間の実証実験を行い、2022年以降、アメリカ・ユタ州、アリゾナ州、ハワイ州とポーランドの模擬宇宙探査基地で実証実験が行われ、その結果の一部は、NASAの会議でも発表されました。


ハワイ州ハワイ島のHI-SEAS

ハワイ州ハワイ島の模擬宇宙探査施設HI-SEASの屋外実験ではパロにも宇宙服が着せられた

8. 災害や戦争などの困難に見舞われた人々の心のケアにも活用

日本では、2005年の玄界灘地震、2007年の中越地震、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2024年の能登半島地震の際に、避難所や高齢者施設、病院、学校等で、被災者の心の支援でパロを活用して頂き、喜ばれました。

また、2022年2月のウクライナへのロシアによる侵攻後に、多くの子供達、母親、祖父母が周辺国に避難しましたが、約400万人が避難したポーランドで、最初は2つの医療機関、その後、国際連合移住機関(UN IOM)や国際連合児童基金(UNICEF)がパロを活用して、避難者の心の支援でパロを活用しています。


能登半島の高齢者施設でのパロ

能登半島地震で被災した高齢者施設で、要介護者と介護者に喜ばれている様子。特に介護者は、自身も被災者であり、介護の負担感に加え、被災生活のストレス等、困難な状況の中で介護を続けているため、パロでストレスの軽減を期待される(2025年1月)


ポーランド・ワルシャワの小児精神病院でのパロ


ウクライナから避難した子供達がポーランド・ワルシャワの小児精神病院にウクライナから避難した子供達が通院し、パロとふれあい、不安やPTSDの症状を改善(2022年6月~)


取材を終えて

30年あまり、パロの開発に心血を注がれてきた柴田先生の情熱、そして世界各地での評判の高さと数々の歴史的なパロの功績を伺い、驚きや興奮を禁じ得ないMySCUE編集部でした。また、今回のテキストを作成するにあたり、さまざまな調べものをしていくと、ここでは語られていないより多くのパロの偉業が伺い知れ、さらに驚きや感動を覚えました。

副作用がない上に、やさしく、かわいく、賢く人を癒してくれるパロ。親や身近な家族、そして自分が助けを必要とする際にパロと触れ合うことができたら……との思いが去来しました。


・PAROについての詳細はこちら

 

柴田崇徳(しばた・たかのり)
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 上級主任研究員。
1967年生まれ。富山県出身。名古屋大学大学院電子機械工学専攻博士課程修了。博士(工学)。通産省工技院機械技術研究所入所後、マサチューセッツ工科大学(MIT)やチューリッヒ大学の人工知能研究所で研究員を兼任。2001年からは産業技術総合研究所の主任研究員を務めながら、2009年、2010年に内閣府政策統括官参事官(情報通信担当)付を兼務。2013年からは東京工業大学(東京科学大学)情報理工学院・特定教授、及びMIT高齢化研究所・客員フェロー、2024年4月からは東北大学大学院工学研究科ロボティクス専攻・客員教授も務めている。1993年から開発を始め、1998年に第1号を発表したアザラシ型のメンタルコミットロボット「PARO(パロ)」を発表。ギネス世界記録(2002年)、内閣総理大臣奨励賞(2003年)、Patients Trophy(AP-HP・フランス、2015年)など、国内外での受賞も多数。

この記事の提供元
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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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