「床ずれは、要介護度の重い人がなるもの」と思っている方も多いのではないでしょうか。実際には、いくつかの要因が重なると、要介護度の軽い人でも床ずれができることがあります。そこで今回は、床ずれができる原因と対処法、そして役立つケアアイテムを紹介します。
【著者】小原宏美
床ずれは褥瘡(じょくそう)とも呼ばれ、身体の同じ場所に長時間圧力がかかることで、皮膚やその下の組織が傷んでしまう状態のことです。
寝たきりや座りっぱなしなどで同じ姿勢が続くと、床ずれのリスクが高まります。体位を変えるタイミングは2時間おきが目安とされていますが、皮膚の状態や体格によって個人差があります。
初期症状は皮膚の赤みですが、気づかずに放置すると、傷が筋肉や骨にまで進んでしまうこともあります。重症化すると皮膚が細菌に感染したり、壊死したりする危険もあるため、早めの対処が大切です。
1.自分で姿勢を変えにくくなるから
要介護度が重くなると筋力が低下し、自力で寝返りを打ったり姿勢を変えたりするのが難しくなります。その結果、身体の同じ部分に圧力がかかり続けてしまうのです。
2.低栄養で傷が治りにくくなるから
高齢になると食欲が落ちやすく、低栄養の状態になりがちです。栄養が不足すると傷の治りも遅くなり、床ずれが悪化しやすくなります。
3.皮膚が傷つきやすくなるから
加齢とともに皮膚の弾力や水分量が低下し、肌のバリア機能も弱まります。こうした変化も、床ずれができやすくなる要因のひとつです。
床ずれは、次のような身体の出っ張った部分にできやすいです。
耳、肩、肘、腸骨、ひざ、くるぶし、後頭部、肩甲部、仙骨部、かかと、背部、尾骨、坐骨
毎日の着替えや入浴などのタイミングで、皮膚の状態をさりげなくチェックしておくとよいでしょう。
次の項目にひとつでも当てはまる場合は、床ずれができている、あるいは一歩手前の状態になっている可能性があります。
・皮膚が赤い、または紫色っぽくなっている
・本人がお尻の痛みを訴えている
・寝たきりで自力では起き上がれない
・以前より食が細くなってきた
・関節が伸びない状態で固まっている
・自力で関節を動かしにくい
・介護おむつをしていて、お尻や陰部が湿っている
・皮膚が弱ってきている
要介護度が重くなると本人が痛みを感じにくくなることもあり、床ずれの発見が遅れがちです。
「何だかいつもと違うな」という皮膚の変化にケアラーが早めに気づくことで、重症化を防げます。
なお、赤みや傷を見つけたときは自己判断で処置せず、まずはケアマネジャーやかかりつけ医、看護師などの専門職に相談しましょう。床ずれは進行の度合いによって、医療的なケアが必要になることもあります。
自宅でできる床ずれの予防法を、項目別にまとめました。
<身体への圧力を分散させる工夫>
・体位をこまめに変える(2時間おきが目安)
・体圧分散用のクッションやマットレスを活用する
<皮膚トラブルを防ぐ工夫>
・食事を工夫して、肌のもとになるたんぱく質と水分をしっかり補う
例)肉、魚、卵、豆腐、味噌汁、スープなど
・入浴や清拭で身体を清潔に保つ
・保湿クリームで肌をケアする
<ケアラーの負担を軽くする工夫>
・福祉用具を活用する
例)体圧分散マットレス、電動リクライニングベッド、体位変換器など
・訪問介護や訪問看護を利用する
床ずれの予防はケアラーだけで抱え込むと負担が大きく、介護疲れの原因にもなりかねません。介護保険サービスやケアグッズを上手に取り入れながら、無理なくケアを続けていきましょう。
床ずれ予防に役立つお助けグッズを、用途別に紹介します。お困りごとに合わせて選んでみてください。
<座っている時間が長い方に:体圧分散クッション>
1.がっちりサポート 楽らくクッション
独自の形状がお尻まわりにフィットし、体圧を分散して負担をやわらげます。座布団としてはもちろん、背あてとしても使え、丸洗いできるので衛生面でも安心です。
<こんな方におすすめ>
・車いすや椅子に座っている時間が長い方
・丸洗いできる座布団がほしい方
自動車シート製造のプロ集団が手がけた、コンパクトながらしっかり体圧を分散できるクッションです。仙骨、坐骨、背あて、足あてなど、置く場所に応じて幅広く使えます。旅行や長距離の移動にも便利です。
<こんな方におすすめ>
・いろいろな場所に使えるクッションがほしい方
・旅行に持っていけるクッションがほしい方
<栄養を補い、傷の回復を支える>
3.アイソカルゼリーハイカロリー あずき味
1カップで150kcal、たんぱく質3gが摂れる栄養補助食品です。「えん下困難者用食品」の表示許可を取得しており、誤嚥や窒息のリスクに配慮して硬さが調整されています。
あずき味のほか、きな粉、黒糖風味、コーヒーなど味の種類が豊富なのも魅力です。
<こんな方におすすめ>
・食が細く、ふだんの食事だけではたんぱく質やカロリーが足りない方
・おやつで効率よく栄養を補いたい方
・飲み込みに不安がある方
125mlの飲み切りサイズの栄養補助飲料です。たんぱく質やカルシウム、ビタミンDなどをバランスよく補います。コーンスープ味やココア味など種類も豊富で、飽きずに続けやすいよう工夫されています。
<こんな方におすすめ>
・たんぱく質と水分を一度に補いたい方
・水やお茶以外でも水分を摂りたい方
・さまざまな栄養素をバランスよく摂りたい方
著者:小原 宏美
大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。
現在はフリーライターとして、介護や音楽などに関する記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)