自宅でシニアの口腔(こうくう)ケアをしていて、「口を開けてくれない」「ちゃんと磨けているか不安」と悩んでいませんか? 口腔ケアのお悩みには、原因に合わせた解決法があります。
今回は、ケアラーが抱えやすい4つのお悩みと具体的なケア方法、マイスキューのシニアケアモールで購入できるお助けグッズを、介護福祉士が解説します。
お悩み①指を噛んでしまう、口を開けてくれない
口は身体の中でも特に刺激を感じやすい場所です。
そのため、シニアが口内に予想外の痛みや不快感を覚えると、反射的に口を閉じてしまい、結果としてケアラーの指を噛んでしまうことがあります。
また、入れ歯や口臭に羞恥心を感じて口を開けたがらないケースや、過去の歯科受診で痛い思いをしたトラウマから口を開けられないケースも少なくありません。
お悩み②口の中が乾燥していて口臭が気になる
高齢になると、唾液の分泌量は減少していくのが一般的です。
唾液には抗菌作用や殺菌作用があるため、唾液の量が減ると虫歯や歯周病のリスクが高まり、口臭も強くなる傾向があります。
お悩み③歯みがきを嫌がる
歯みがきを嫌がる背景には、いくつかの理由が考えられます。
・認知症によって歯みがきの必要性がわからない、またはこれから何をされるのかという恐怖がある
・虫歯や歯周病などにより口の中に痛みがある
・口の中を触られることに抵抗がある
本人の言動から嫌がる理由を見極め、原因に合わせて対策していくことが大切です。
お悩み④正しくケアできているか不安
口の中は暗くて見えにくいため、「ちゃんと汚れを落とせているだろうか」「異変を見落としていないだろうか」と不安になる、というケアラーのお悩みもよく伺います。
先ほどご紹介した4つのお悩みを解消するケア方法を、詳しくお伝えします。
1.口の中で触ってはいけない場所を知っておく
口の中で「触ると痛い場所」「吐き気を感じやすい場所」を知っておくと、本人の不快感を減らすことができます。
<触ると痛い場所>
・上唇小帯(じょうしんしょうたい):上の歯茎の中央を走る筋
・下唇小帯(かしんしょうたい):下の歯茎の中央を走る筋
・舌小帯(ぜつしょうたい):舌の裏側にある筋
<刺激すると吐き気を感じやすい場所>
・軟口蓋(なんこうがい):喉の入り口の近く
・奥舌(おくぜつ):舌の表面の奥のほう
これらの場所に触れないよう意識すると、スムーズに口腔ケアを進められます。
2.これから歯みがきをすることを、道具を見せながら伝える
これから何をするかを事前に説明することで、本人の不安や恐怖が和らぎ、口を開けてもらいやすくなります。
歯ブラシやコップを実際に見せながら、「ご飯を食べた後は、歯みがきをして口の中をきれいにしましょう」と、わかりやすい言葉で伝えましょう。
このとき、本人とケアラーの目線の高さを合わせて話しかけると、より安心感を持ってもらえます。
3.口の周りや首の周りの筋肉を優しくマッサージする
頬やあご、首を優しくマッサージすると、唾液の分泌が促進され、口の乾き対策に効果的です。
簡単な唾液腺マッサージを3つご紹介します。
1.人差し指から小指までを上の奥歯あたりにあてて、円を描くようにマッサージする
2.あごのラインの内側のくぼみをまんべんなく押していく
3.あごの真ん中の柔らかい部分を両手の親指でゆっくり押し上げる
マッサージによって筋肉の緊張がほぐれ、口を開けやすくなる場合もあります。
4.ケアラーの介助で口を開けてもらう
食いしばりが強くて口が開かないときは、以下の手順で介助すると、口腔ケアが行えます。
1.ケアラーは衛生面と指の保護のため、医療用ゴム手袋をはめる
2.片方の手を「チョキ」の形にし、左右の奥歯の歯茎(歯肉)に2本の指を優しく添える
3.ゆっくりと指を下方向へ押し下げると、顎の力が抜けて口が開いてくる
4.隙間ができたら、歯ブラシを入れてみがいていく
本人の表情を見ながら優しく行うことで、痛みや拒否感を防げます。介助前に「今からお口の中をきれいにしますね」と声をかけると、本人の不安も和らぎます。
5.パタカラ体操や早口言葉を一緒に楽しむ
口や舌をしっかり動かすことも、唾液の分泌につながります。
「パ」「タ」「カ」「ラ」を5〜10回ほど繰り返し発音する「パタカラ体操」のほか、早口言葉を本人とケアラーで言い合うのもおすすめです。
ゲーム感覚で楽しみながら行うと、心身の緊張が和らぎ、その後の口腔ケアにスムーズに移りやすくなります。
6.姿勢を整えてから口腔ケアをする
本人の姿勢を整えてから口腔ケアを行うと、口の中が見やすくなり、ケアの精度が上がります。
基本的な姿勢の整え方は、以下のとおりです。
・椅子や車いすに座って行う場合:できるだけ背筋を伸ばして座り、足の裏がしっかり地面につくようにする
・ベッドで行う場合:ベッドの背板を上げて上体を起こし、あごを少し引いた姿勢をとる
適切な姿勢は、食べかすやうがいの水が気管に入り込むのを防ぎ、誤嚥のリスクを減らせます。
7.ケアラーの指を使って口の中をチェックする
歯みがきが正しくできているか確認したいときは、以下の手順で口の中をチェックしましょう。
1.ケアラーは医療用手袋をはめて、本人の片方の頬の内側に人差し指をあてる
2.人差し指で頬を優しく広げて、口の中の汚れや異変を確認する
3.反対側の頬も同様に行う
どうしても口を開けてもらえないときや、噛まれてしまうときは、「デンタルブロック」というケアラーの指を守る器具を使うのもひとつの方法です。
ここからは、マイスキューのシニアケアモールで購入できるお助けグッズをご紹介します。
1.POPOTAN 爽
特許技術の360度毛歯ブラシで、口の中に痛みのあるシニアにも使いやすい設計です。柔らかな磨き心地で、舌みがきにも対応しています。
<こんな方におすすめ>
・みがき残しが気になる方
・うまく歯みがきができない方
・口の中に痛みがある方
・舌みがきもしたい方
2.がっちりサポート 楽らくクッション
備長炭入りのソフトチップがお尻の形に合わせてなめらかに変形し、自然な姿勢をサポートします。長時間座っていても疲れにくく、安定した姿勢で口腔ケアに臨めるのが魅力です。
<こんな方におすすめ>
・椅子に座って歯みがきをする方
・座っているときの姿勢が安定しない方
3.よだれ飴
味覚を刺激する「酸味・旨味・香り」をバランス良く配合した飴で、口に含んだ瞬間にじんわりと唾液腺を刺激します。
梅や抹茶など7種類の味があり、毎日飽きずに楽しめるのも嬉しいポイントです。
<こんな方におすすめ>
・口の乾きが気になる方
・飴を安全に舐められる方
※誤嚥の心配がある方は、かかりつけ医にご相談のうえご使用ください。
4.モンダミン うるおうドライケア
口の乾きと口臭をしっかりケアできるうがい液です。毎日のケアに取り入れることで、口腔内をうるおいのある状態に保ちやすくなります。
<こんな方におすすめ>
・口の乾きが気になる方
・口臭が気になる方
5.使っていいね! うがい受け
ヘリ付きでケアラーが持ちやすく、うがいをした後の水がケアラーの手にかかりにくい構造になっています。
<こんな方におすすめ>
・洗面所まで移動してのうがいが難しい方
・ベッド上で口腔ケアをする方
6.お口がみえるピッタンコップ
飲み口がU字型にカットされており、首を反らさずに飲み物を飲めるコップです。誤嚥のリスクを抑えながら、無理のない姿勢でうがいができます。
<こんな方におすすめ>
・自力でのうがいが難しい方
・誤嚥しやすい方
口腔ケアのお悩みは多くのケアラーが直面するものですが、原因や解決法を知ることで大きく改善できます。
今回ご紹介したケア方法やお助けグッズを参考に、無理なく続けられる口腔ケアを目指しましょう。
監修:中谷ミホ
著者:小原 宏美
大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。
現在はフリーライターとして、介護や音楽などに関する記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)