11月11日は、厚生労働省が定める「介護の日」です。「介護はまだ先の話」と思っていても、病気や転倒などをきっかけに、ある日突然始まることも少なくありません。だからこそ、元気なうちから家族で将来について話し合う「ケア活」が大切です。この記事では、「介護の日」をきっかけに、家族でシニアケアについて話し合うヒントをご紹介します。
【著者】中谷ミホ
「介護の日」は、介護についての理解と認識を深め、介護をする人・受ける人、そして介護の仕事に携わる人を支えることを目的に、厚生労働省が2008年(平成20年)に制定した記念日です。
11月11日を「いい日、いい日」と読む語呂合わせから、「いい日、いい日、毎日、あったか介護ありがとう」というキャッチコピーが付けられています。
また、介護の日をはさんだ前後2週間(11月4日~11月17日)には、全国の自治体や関係団体で、さまざまな啓発イベントが開催されます。シニアケアがまだ身近でない方でも気軽に参加できる催しが数多くあり、家族で将来について考えるきっかけになるでしょう。
「親の介護はまだ先の話」と感じている人は少なくありません。しかし、シニアケアは十分な準備が整ってからスタートするとは限りません。
厚生労働省の「令和4年 国民生活基礎調査」によると、介護が必要になった主な原因には、認知症のほか、脳血管疾患(脳卒中など)や骨折・転倒が多く挙げられています。なかでも脳卒中や転倒による骨折は、突然起こることが多く、ご本人だけでなくご家族の生活も大きく変えることがあります。
突然の入院をきっかけにシニアケアが始まると、家族は退院までの限られた期間で介護保険の申請や自宅のリフォーム、介護サービスの選択など、さまざまな手続きを進めなければなりません。
そのとき、親の希望や健康状態、お金のことをまったく把握していないと、判断に迷い、大きな負担につながります。
だからこそ、親が元気なうちに家族で話し合っておくことが、将来に備える「ケア活」につながるのです。
「介護のことを話そう」と切り出すのは、誰にとっても簡単ではありません。だからこそ、一度ですべてを話そうとせず、日常会話の延長で少しずつ確認していくことが大切です。
親自身の希望
まずはここから始めましょう。最期までできるだけ住み慣れた自宅で暮らしたいのか、施設への入居も考えているのか。介護が必要になったとき、どこで、どんなふうに暮らしたいかという本人の希望は、すべての判断の土台になります。
健康と医療の情報
かかりつけ医の病院名や連絡先、現在飲んでいる薬の種類、過去の大きな病気(既往歴)やアレルギーの有無などは、救急搬送されたときや、急な入院手続きの際に必ず聞かれます。健康保険証や介護保険証、お薬手帳の保管場所だけでも確認しておくと、万が一のときに慌てず対応できます。
お金に関すること
シニアケアが始まると、生活費や介護費用の支払い、各種手続きなどで金融機関や保険会社を確認する場面があります。
具体的な預貯金額まで聞く必要はありませんが、どの金融機関を利用しているのか、どの保険会社と契約しているのかを知っておくだけでも、いざというときの手続きがスムーズになります。
連絡先と役割分担
もしものときに誰へ連絡し、誰が中心となって動くのか(キーパーソン)を家族で話し合っておきましょう。
また、地域包括支援センターの場所や連絡先も確認しておくと安心です。地域包括支援センターは、高齢者やその家族から介護・医療・福祉に関する相談を無料で受け付ける地域の総合相談窓口です。
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これらを一度にすべて聞き出す必要はありません。帰省や一緒に食事をする際など、顔を合わせるときに世間話の延長でひとつずつ確認していきましょう。
親に将来のシニアケアについて話を切り出すのは、気が引けるものです。「まだまだ元気だから大丈夫」と話を避けられることもあるでしょう。そんなときは、次のような方法を試してみてください。
記念日やニュースをきっかけにする
「11月11日は介護の日なんだって」「テレビで介護用品の特集を見たよ」など、世間の話題を入り口にすると、自然に会話を始めやすくなります。
自分のことから話す
「私も最近、もしものときに備えて家の中を整理し始めたんだ」など、自分自身の「ケア活」から話し始める方法もあります。親を心配するというより、「お互い将来に備えよう」という話題として伝えることで、相手も受け入れやすくなるでしょう。
答えを急がない
その場で結論を出そうとせず、まずは親の考えを聞くことに徹しましょう。一度話題にするだけでも、親自身が将来について考えるきっかけになります。時間をかけて少しずつ話し合いを重ねることが大切です。
11月4日~11月17日には、全国各地でシニアケアに関するイベントが開催されています。専門家による無料相談会や講演会、福祉用具や介護ロボットの展示、最新の介護食の試食会など、内容はさまざまです。
開催情報は、お住まいの自治体や社会福祉協議会のホームページなどで確認できます。秋の過ごしやすい時期に、親御さんと一緒に足を運んでみるのもおすすめです。展示を見たり、専門家の話を聞いたりすることで、シニアケアについて自然に会話が広がるかもしれません。
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「介護の日」は、家族でこれからの暮らしについて話し合うきっかけの日でもあります。「いい日、いい日」の11月11日を機に、まずは気軽な会話から「ケア活」を始めてみてはいかがでしょうか。
写真:PIXTA、写真AC 
著者:中谷 ミホ
福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級