排せつケアの負担を少しでも軽くする方法の一つとして、いま「アンダーヘアを整える」という選択肢が注目されています。今回は、デリケートゾーン用カミソリ「ピアニィVIO」を手がけるフェザー安全剃刀株式会社の平山秀輔さんに、元介護職のライターの著者が自身の現場経験も交えながら話を伺いました。ケアラーと介護を受ける方、双方の負担を軽減するためのヒントをご紹介します。
介護スタッフとして現場で働いていたころ、アンダーヘアが整っている方は排せつケアがスムーズだと感じる場面が何度もありました。
便がアンダーヘアに絡むと、拭き取りや洗浄に時間がかかります。その間、ご本人の皮膚を何度も擦ることになり、負担をかけてしまうこともあります。
特に大変だったのは、汚れが乾いて毛玉のように固まってしまったときです。お風呂で洗ってもなかなか落ちず、無理に取り除こうとすると皮膚を引っ張って痛い思いをさせてしまうこともありました。
こうした悩みは在宅で家族を介護するケアラーの皆さんも抱えているものではないでしょうか。そこで、排せつケアの負担を少しでも減らす方法について、平山さんに話を伺いました。
「アンダーヘアに関するお悩みは、これまでなかなか表に出づらい『ブラックボックス』でした。私たちがこの分野に着目したきっかけの一つに、排せつケアの現実があります。赤ちゃんの排せつケアなら、アンダーヘアがないのでスムーズですが、大人はそうはいきません。毎日、そして1日に何度も続くケアだからこそ、毛を少し短く、少なく整えるだけでも介護する方の時間やストレスを軽減できるのではないかと考えたのです」
「アンダーヘアを整える」と聞くと、「ケアラーの負担を軽くするため」と受け取られるかもしれませんが、開発の背景を伺うと、そこにはケアラー側だけではない視点がありました。
「私たちが大切にしているのは、お互いがストレスフリーになれる関係です。ケアラーだけの負担が軽くなればいいというわけではなく、介護を受ける方にも楽になってもらいたいのです。短時間でケアが終わることは、ご本人の羞恥心に配慮することにもつながります」
これは、私自身が介護現場で感じていたこととも重なります。排せつケアは、「汚れを取り除いて清潔を保てればいい」というだけのものではありません。ご本人にとって陰部を見られるという抵抗感を伴う場面だからこそ、できるだけ短時間で手際よくケアを終えることも、大切な配慮です。
また、ケアラーは「不快な思いをさせていないかな」と気遣い、ご本人は「迷惑をかけて申し訳ない」と遠慮してしまうことがあります。ケアの負担が軽くなることは、身体的な負担だけでなく、お互いの精神的な負担を和らげることにもつながるのです。
最近は「介護脱毛」という言葉も聞かれるようになりました。しかし、サロンや医療機関での脱毛は、時間や費用の面からハードルが高いと感じる方も少なくありません。平山さんも、こう話します。
「脱毛には時間も費用もかかります。そこまでしなくても、毛量を減らすだけでも快適さは大きく変わります。私たちは『脱毛』一択ではなく、毛の量や長さをご自宅で手軽に整える、というカジュアルな選択肢を提案しています」
同社が展開するデリケートゾーン用カミソリ「ピアニィVIO」には、毛をそる「そる用」と、毛量や長さを調整する「へらす用」の2種類があります。
高齢になると皮膚は薄くなりやすいと言われ、刃物を当てることに不安を感じる方もいるでしょう。介護の場面では、どちらが向いているのかを聞いてみました。
「介護の場面で特におすすめしているのは、コームが刃にかぶさっていて、刃が直接肌に当たらない設計の『へらす用』です。皮膚を傷つけにくい構造なので、ご家族が代わりに行う場合にも使いやすいと思います」
私が介護の現場で接した方の中では、個人差はありますが、男性は高齢になっても毛が濃く、長い方が多い印象でした。パッケージなどのデザインが女性向けにも見えますが、男性にも使えるのでしょうか。
「もちろん、男性にもお使いいただけます。開発段階から男女両方のモニターでテストを行っています。毛量や長さを整えたい場合も、軽いタッチでなでるだけで調整できますよ」
自宅でケアを行う場合は、使い方にいくつかポイントがあります。平山さんに安全に使用するためのコツを聞きました。
「基本は乾いた状態で使っていただくことです。お風呂に入る前、脱衣所などでサッとケアして、その後の入浴で毛を洗い流すのがスムーズだと思います。刃物ですので、ポンと肌に乗せてスッスッと滑らせるような、優しいタッチを心がけてください。平面ではない部分も、無理に押し当てないのがポイントです」
デリケートな部分に使用するものだからこそ、衛生的に管理することも大切です。
「使用後は石鹸などで洗って、しっかり水気を切って乾燥させてください。浴室に置きっぱなしにせず、湿気の少ない場所で保管すると長持ちします。切れ味が落ちてくると皮膚を引っ張る原因になるので、そのときは新しいものに交換してくださいね」
今回の取材で特に印象に残ったのは、平山さんの仰った「ブラックボックス」という言葉でした。排せつケアに限らず、シニアケアには他人に相談しにくい困りごとが数多くあります。そうした悩みに目を向け、ケア用品を開発しているメーカーがあることを心強く感じました。
介護は毎日続くものだからこそ、ケアラーと介護を受ける方の双方が少しでも心地よく過ごせる工夫を取り入れることが大切です。アンダーヘアを整えることも、そのための選択肢の一つです。この記事が、介護の負担を少しでも軽くするヒントになれば幸いです。
※2026年8月から、MySCUEの店舗で「ピアニィVIO」を展示中。使い心地や、刃が直接肌に当たらない安全設計を確認できます。
写真:PIXTA、写真AC
協力:フェザー安全剃刀株式会社
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著者:中谷 ミホ
福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級