久しぶりに親に会ったとき、「歩くのが遅くなった」「外出が減った」と感じることはありませんか。その小さな変化は、フレイル(虚弱)のサインかもしれません。9月15日の「老人の日」をきっかけに、親の生活にフレイルの兆候がないか、一度確認してみませんか。今回は、親の状態にいち早く気づくための「基本チェックリスト(25問)」をご紹介します。

1. 老人の日は、親のフレイルに気づくきっかけに

9月15日は「老人の日」、15日から21日までは「老人週間」です。2001年(平成13年)の老人福祉法改正で定められ、高齢者福祉への理解を広めるとともに、シニア世代がご自身の暮らしを見つめ直す機会とすることを目的としています。


毎年この時期には、介護予防や認知症ケア、地域での支え合いに関する取り組みが各地で行われます。離れて暮らすご家族にとっても、親の健康や日々の暮らしについて改めて考えるよい機会となるでしょう。


そんな「親のこれから」を考えたとき、ぜひ知っておきたいキーワードが「フレイル」です。まずは、そのサインを見逃さないために、フレイルの基礎知識から確認していきましょう。

2. 知っておきたい「フレイル」とは

「フレイル」とは、加齢にともない心身の活力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態を指します。フレイルには次の3つの側面があり、互いに影響し合いながら進行していきます。


【身体的フレイル】 筋力や歩行速度の低下、転びやすさ、体重減少、疲れやすさ
【精神心理的フレイル】 意欲や認知機能の低下、抑うつ気分、もの忘れ
【社会的フレイル】 外出の減少、人との交流の減少、閉じこもり

フレイルの特徴は、適切に対応すれば健康な状態に戻れる「可逆性」があることです。だからこそ、早い段階で気づき、予防や改善につなげることが重要になります。

しかし、フレイルの初期サインは「歳のせい」と見過ごされがちです。本人も「少し疲れやすくなっただけ」と感じる場合が多く、自覚しにくいのが難しいところです。久しぶりに会う家族こそ、変化に気づきやすい立場にあるといえます。

では、具体的にどのような点に注目すればよいのでしょうか。そこで役立つのが、次にご紹介する「基本チェックリスト」です。

3. フレイルのサインを見逃さない!「基本チェックリスト」とは

「基本チェックリスト」は、高齢者の生活機能の状態を把握し、介護が必要な状態になるのを防ぐために厚生労働省が作成したツールです。

25問の簡単な質問に「はい」「いいえ」で答えることで、「運動機能」「栄養」「口腔機能」「生活機能」「閉じこもり」「認知症」「うつ」の7つの機能や症状についてチェックすることができます。

全問を親に直接聞くのはハードルが高いという場合は、「最近、お友達のおうちには行ってる?(No.4)」「お肉やお魚、固いものは食べられてる?(No.13)」など、世間話や電話口での会話にさりげなく織り交ぜて確認するのもおすすめです。

◾️基本チェックリスト(25問)
【生活機能】
1.バスや電車で、一人で外出していますか
2.日用品の買い物をしていますか
3.預貯金の出し入れをしていますか
4.友人の家を訪ねていますか
5.家族や友人の相談にのっていますか

【運動機能】
6. 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
7. 椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか
8. 15分位続けて歩いていますか
9. この1年間に転んだことがありますか
10. 転倒に対する不安は大きいですか

【栄養】
11. 6ヶ月間で2〜3kg以上の体重減少がありましたか
12. BMIが18.5未満ですか
※BMI=体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)

【口腔機能】
13. 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
14. お茶や汁物等でむせることがありますか
15. 口の渇きが気になりますか

【閉じこもり】
16. 週に1回以上は外出していますか
17. 昨年と比べて外出の回数が減っていますか

【認知症】
18. 周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか
19. 自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
20. 今日が何月何日かわからない時がありますか

【うつ】
21. (ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
22. (ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
23. (ここ2週間)以前は楽にできていたことが今はおっくうに感じられる
24. (ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない
25. (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする


【判定基準】
・1~20の項目のうち10項目以上に該当(生活機能全般)
・6~10の5項目のうち3項目以上に該当(運動機能の低下)
・11・12の2項目すべてに該当(低栄養状態)
・13~15の3項目のうち2項目以上に該当(口腔機能の低下)
・16・17の2項目のうちNo.16に該当(閉じこもり)
・18~20の3項目のうちいずれか1項目以上に該当(認知機能の低下)
・21~25の5項目のうち2項目以上に該当(うつ病の可能性)

このチェックリストは、あくまで今の心身の状態を把握するための目安です。1回の結果ですべてが決まるわけではありません。日々の生活の中で変化を感じたときは、時期を改めて、もう一度チェックしてみましょう。

なお、65歳以上で生活機能の低下が心配される場合は、「介護予防サービス」を利用できる場合があります。チェックをしてみて「少し心配だな」と感じたら、ぜひ次の相談窓口へ連絡してみてください。

4. チェックで気になったら「地域包括支援センター」へ相談を

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを総合的に支える地域の公的な相談窓口です。おおむね中学校区に1箇所設置されており、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門職が、ご本人やご家族からの相談を無料で受け付けています。

相談内容に応じて、運動機能の低下が見られる方には通所型の介護予防プログラム、外出が減っている方には地域の通いの場というように、必要な支援へと橋渡しをしてもらえます。

大切なのは、「介護が必要になってから」ではなく、「気になったら早めに」相談することです。フレイルの段階で地域包括支援センターとつながり、適切な支援を受けることで、要介護状態に進むのを防ぎ、これまでどおりの暮らしを続けやすくなります。

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5. 老人の日は親の「いま」を知るきっかけに

フレイルという早期の段階で変化に気づき、適切に対応すれば、健康な状態に戻れる可能性があります。「基本チェックリスト」は、その気づきにつながる手軽なツールです。今年の老人の日には、ぜひご本人と一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。

【出典・参考】
・公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「基本チェックリストとは


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この記事の提供元
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著者:中谷 ミホ

福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級

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