100円ショップには介護用として開発されたグッズも数多くありますが、専用のものでなくてもアイデア次第で介護に活用できる商品はたくさんあります。今回は、社会福祉士である筆者自身が実際に使ってみて「これはいい!」と感じた、100円ショップで購入できる一般向けアイテムをご紹介します。
100円ショップで購入できる商品には、下のような大きなメリットがあります。
●心理的な抵抗感を減らす
介護専用品を使うことに拒否感を示す方は少なくありません。一般向けの商品であれば「介護されている」と感じにくく、ご本人の自尊心を傷つけずに自然な形で導入できます。
●気兼ねなく試せて、衛生的に使える
介護は消耗品に意外と費用がかかるものです。100円ショップの商品なら、汚れてしまったら無理に洗わず処分し、気兼ねなく買い替えることができるため、常に清潔な状態をキープしやすくなります。また、介護の状況に合わせてさまざまなアイデアを低コストで試せるのも魅力です。
●介護者のゆとりと効率化
介護者の負担軽減は非常に大切です。本来の用途とは違っても、「洗う・拭く手間を省く」「ご本人の自立を助ける」という視点で商品を選ぶと、介護生活を支える心強いツールに変わります。
今回は、入れ歯ケースやストロー付きコップなど、すでに介護用品として認知度が高いものは除外し、「排せつ」「食事」「健康」という3つのケアの視点から、ちょっと意外で便利な活用法をご紹介します。
※2026年6月現在の販売商品で構成しています。店舗により在庫状況が異なりますのでご了承ください。
排せつケアは、介護する側・される側にとって精神的・身体的負担が大きいものです。着眼点は「後始末の簡略化」と「ニオイ対策」です。
①ペット用消臭袋、生ごみ用消臭袋
使用用途:失禁パッドやオムツ、汚れたウェットティッシュの処理
ポイント:介護用オムツ処理袋は少し割高です。ペット用や生ごみ用でも同等以上の消臭効果を持つものが多く、持ち運びにも便利です。デイサービスなどで使用済みオムツを持ち帰るときも臭いが漏れにくく安心です。
②ペットシーツ
使用用途:オムツ交換時の防水シーツ代わり
ポイント:ベッドや床を汚さないようにペットシーツを敷くことで、万が一の漏れや汚れを吸収し衛生的な環境を保つことができます。また、素材が薄くてやわらかいため、床ずれの予防にベッド上に敷いておくのも賢い利用法です。
③レジャーシート
使用用途:ポータブルトイレの下敷き
ポイント:万が一、尿が漏れてしまっても、畳やフローリング、カーペットを汚さず、汚れたら丸ごと捨てられます。この他、食事スペースに敷いておけば食べこぼしても楽に拭き取ることができて便利です。
④ドレッシングボトル(プラスチック製)
使用用途:簡易おしり洗浄器
ポイント:オムツ替えの際、ぬるま湯を入れて利用しますが、介護用シャワーボトルより量をコントロールしやすく優しく洗い流せます。ペットシーツと併せての利用がおすすめです。
⑤S字フック、ワイヤーかご・ラック
使用用途:ベッド柵の小物入れ
ポイント:S字フックでかごをひっかけておきます。本人用にティッシュ、眼鏡、リモコンなどを、また介護者用にからだ拭き、おしり拭きや汚物処理袋をすぐにとれる位置にセットしておくと便利です。
⑥重曹
使用用途:消臭剤
ポイント:重曹はアルカリ性なので便臭など酸性の臭いを中和して消臭します。手作り消臭剤は水200mLと重曹小さじ2をよく混ぜ、ベッドの下や部屋の隅など臭いが気になる場所に置きます。また、衣類についた臭いには水200mLに対し重曹小さじ1を溶かし、洗濯物を漬け置きしてから、洗濯機で洗うとよいでしょう。
食事は本来楽しい時間ですが、食べにくいと食も進まず、こぼすことで本人が自信を失う原因になってしまいます。着眼点は「自立支援」と「準備・片付けの時短」です。
①シリコーン製型抜き
使用用途:ミキサー食やとろみ食を冷やし固める
ポイント:噛む力や飲み込む力が弱くなるとペースト状の食事になり味気ないものです。花や動物の形にするだけで視覚的に食欲がわき、食事の質が向上する効果もあります。
②クリップ
使用用途:おしゃれな食事用エプロン
ポイント:ひもやリボンにクリップや洗濯バサミをつけ、お気に入りのハンカチやタオルを挟みます。首から下げれば食事用エプロンが完成。洗濯にもすぐに出せ、介護用のエプロンを嫌がる方のプライドも守れます。
③使い捨てまな板シート
使用用途:ランチョンマット
ポイント:食卓に広げてその上で食事をしたり、おやつをカットすることもできます。食べこぼしてもシートを丸めて捨てるだけで、テーブルの上の水拭き・消毒の手間も省けます。
④レンジ椀
使用用途:食事介助用品
ポイント:高齢になると薄い色が見えにくくなるため、中面が赤い器が目に入りやすくなります。みそ汁椀などを複数個準備し、ごはん、おかず、汁物、デザートなどに分けておくと味が混ざらずおいしく食べることができます。電子レンジ対応だと温め直しも簡単です。
⑤ミニマッシャー、ヌードルカッター
使用用途:おかずや麺類の一口サイズカット
ポイント:包丁を使わずに、食卓で麺を切ったり固形物をつぶしたりして噛みやすい大きさにすることができます。直接介助しながら使えるのでその日の状況に合わせて形状を調整できます。
⑥ミニ泡立て器
使用用途:とろみ付けの時短
ポイント:とろみ剤を使ってとろみ茶を作る場合、混ぜるのが大変です。ミニ泡立て器はスプーンでかき混ぜるよりもダマになりにくい利点があります。
高齢者になると安全かつ快適に生活できる環境づくりが大切です。健康ケアの着眼点はズバリ「予防」です。
①布団バサミ、竿止めクリップ
使用用途:布団や毛布のずり落ち防止
ポイント:ベッド上で寝返りを打つうちに布団が下に落ち風邪をひいてしまうこともあります。ベッド柵と布団や毛布の端を挟むだけで防止できます。
②電動ネイルケア(※500円商品)
使用用途:安全な爪切り
ポイント:高齢になると肥厚爪、巻爪になり、普通の爪切りでは皮膚を傷つけることもあります。時間はかかりますが爪を削ることで安心・安全に爪を整えることができます。
③足指パッド、メイクスポンジ
使用用途:水虫、白癬菌(はくせんきん)予防
ポイント:高齢者に多いのが、爪が白や黄色に濁り、分厚くボロボロと崩れる爪白癬(つめはくせん)という症状。白癬菌はジメジメとした環境を好むためお風呂上がりには足の指の間をよく乾かしたいものです。こんなときメイクスポンジを適度な大きさに切って挟んでおくと指を広げ空気に触れやすくなります。
④泡立てネット、泡ポンプボトル
使用用途:入浴時の泡洗浄
ポイント:高齢者の皮膚は薄く、タオルでこすると傷ついてしまいます。せっけんを泡立て手で包むように洗うと皮膚が傷みません。泡立てる補助具として泡立てネットや泡ポンプボトルを利用すると介護する側の作業負担も軽減されます。
⑤センサーライト
使用用途:夜間の転倒防止ライト
ポイント:夜間の水分補給やトイレへの移動時の転倒予防として、ベッドサイドや廊下の足元に置きます。暗い中での転倒リスクを未然に防ぎ、介護者も夜中に何度も起きて誘導する負担が減ります。
⑥45リットル以上のゴミ袋
使用用途:スライディングシート(ベッド上での移動を楽にする介護用品)の代用品
ポイント:寝たきりになると体の一部が圧迫され床ずれができやすくなるため、定期的な体位変換が大切です。袋の底部分をハサミでカットし、筒状のシートにすることで簡易版スライディングシートとして活用できます。
⑦冷温ジェル商品
使用用途:熱中症や冷えの防止
ポイント:高齢になると体温調節機能が低下します。夏場の熱中症対策、冬場の保温に冷蔵庫で冷やしたりお湯やレンジで温めたりすることができるジェルタイプの商品が役立ちます。
⑧脳トレ、塗り絵、各種ワークブック
使用用途:認知症予防やリハビリ効果
ポイント:正解や上手さを求めず、とにかく楽しむことが大切。脳への刺激やADL(日常生活動作)の維持に役立ちます。いろいろなシリーズがあるので、興味のありそうなものから選ぶことができます。
著者:渋澤和世(しぶさわ・かずよ)
在宅介護エキスパート協会代表
会社員として働きながら親の介護を10年以上経験し、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得。自治体の介護サービス相談員も務め、多くのメディアで執筆。著書『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)、監修『親と私の老後とお金完全読本』(宝島社)などがある。
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