後悔とともに、まだまだ続く⁉ 岡崎家の「ケア活」問題、実家の片付け編の第3回。70ℓのポリ袋30袋以上にもなった亡き母親の洋服の片付けが終わっても、実家には自分たち素人では太刀打ちができない部門が存在していた。それをプロに頼むことになったのだが……。

1. もう、母親は夢枕に立ってくれない

実家の片付けで、一番気がかりだった亡き母親の大量の洋服の片付けは、ご近所の母親の親友である2人のおばちゃんの手伝いもあり、なんとか処分し、完了することができました(詳細は「こんなことも「ケア活」なんです⁉ 実家の片付け編②」参照)。

母親の死は突然だったため、その後も冷蔵庫に買い溜めしていた食材の処分や引き出しに仕舞われていた小物の片付けなどを、時には夫や私の友人の助けを借りながら、手が空いている時間に実家に通い、少しずつ続けていきました。それなのに全く片付けが進んでいないように見える原因は、昭和な造りの室内であるため、クローゼットではなく各部屋にタンスがあったり、地方の親戚が泊まりに来たときに使っていた大量の布団が家の中に鎮座しているためなのです。これらの処分にも頭を抱えましたが、それ以上に実家の片付けが永遠に続くように思ってしまう背景には、「自分では片付けられない部門」という大問題の存在がありました。それは、祖父と父親の事業関連のモノたちの片付けでした。

祖父も父親も実家の一部を改築して、それぞれ違う事業を自らで興していました。2つの事業分の道具や関連器具の片付けは「素人では太刀打ちできない」ゾーンであるのは一目瞭然。ですが、「そんな大がかりな片付けはどこに頼めばいいの?」「処分にはいくらかかるの?」が、全くわかりません。未知の片付けゾーンを前に、母親が亡くなったあと恒例となっていた何度目かの途方に暮れていると、知り合いが「この業者なら、オフィス用品の処分から家の中のモノの処分まで一度にやってくれるよ!」と、ありがたすぎるアドバイスをくれたのです。ならば、「『自分では片付けられない部門』と、まだ終わっていない『自分で片付けようと思っていた部門』を一度にお願いしてしまおう!」と、すぐにその会社に連絡して実家に来てもらい、見積りを出してもらいました。


【専門家(アクティア株式会社 マーケティング統括部 家事代行グループ 住吉由美さん)が解説!】
※以下、グレー部分

遺品整理や不用品回収を業者へ依頼する場合、インターネット上では「3LDK〇万円~」といった価格表記を目にしたことがある方も多いと思います。

ただ、実際は物の量や処分品の内容によって費用は大きく異なります。特に家具や家電が多い場合は、想像以上に費用がかかることもあります。

一方で、相場より極端に安い業者には注意が必要です。不法投棄などを行う悪質業者であるケースもあるため、見積り内容や「一般廃棄物収集運搬業許可」の有無は必ず確認しましょう。

カジタクでは不用品回収や処分は現在行っていませんが、お客様と一緒に「残す・手放す」物の仕分け作業や、荷物をまとめる作業のお手伝いを行っています。要・不要の判断は、思っている以上に精神的な負担が大きいものです。プロがお手伝いすることで気持ちが少し楽になることもありますので、選択肢の一つとして考えていただくのも良いと思います。

多くの方にとって遺品整理とは、人生で何度も経験するものではなく、「何が適正価格なのかわからないまま進めている」というケースも少なくありません。

実際には厳密な相場だけで判断するというより、「片付けの期限」「自分たちでどこまでできるか」といった事情を踏まえながら、「この金額ならお願いしよう」と納得できる落としどころを探して決める方が多い印象があります。

また、遺品整理は感情面での負担も大きい作業です。費用面だけでなく、「安心して任せられるか」「丁寧に対応してくれるか」といった点を重視される方も少なくありません。そのため、後悔を減らすためにも、複数社から見積りを取り、費用だけでなく担当者の対応なども比較しながら検討することが大切だと感じます。

我々カジタクは、「イオングループだから安心」という声も多く頂戴しており、生前整理・遺品整理などのご依頼やご相談も年々増えているので、不用品回収や処分等も含め対応できるよう準備を進めております。お一人おひとりに合わせた最善のご提案をできるよう努めますので、ぜひ一度お問い合わせください。

2. 片付けのプロの見積は約80万円!

見積りには、「朝から夕方まで4人+トラックの運転手が必要で、約4日以上かかる」「不用品の運搬に3tトラックが1日につき2回往復、計8回往復する必要あり」として、約80万円の費用が掛かると記載されていました(約5年前)。そんな見積りを取ったこともなく、相場も知らないため、果たしてその金額が妥当なのかどうかもさっぱりわかりません。ただし、リサイクルできそうな家電や家具、オフィス用品など、売ることができるモノがあれば、それらの金額を見積り額から差し引いてくれるということでした。

片付け費用が高額になりそうな気はしていましたが、まさか約80万円にもなるとは……。想像以上の金額に、心の中ではマンガのように目玉が飛び出しそうになりながらも、現実を受け入れようと努めました。どうしても高額な費用になってしまうのは、大量のタンスや布団の処分代に加え、「自分では片付けられない部門」に飲食系の事業をしていた祖父が使っていた大量の食器や器具、数人の従業員を雇って事業をしていた父親らが使っていたデスクやパソコン、ロッカー、書類などの処分費用も含まれていたからなのです。

3. 「家の中を完全に空っぽにしてください」とオーダーしたけれど……

「他はもっと安いんじゃないの?」用心深い私はインターネットで見つけた、いくつかの他の業者にも見積りをお願いしましたが、どこも知り合いが紹介してくれた業者とたいして変わらない見積り額でした。

ちなみに、この見積りをもらう作業も、業者に連絡し、お互いのスケジュールを調整し、見積りに来てもらって、その結果をじっくり検討、という一連を一人で担うとなると、それなりの時間と体力が必要になります。見積りの段階ですでに疲弊していた私は「おじいちゃんや父さんの事業の後始末をなんで、私が一人でやらないといけないのよー。父さんと母さんは元気なときは『仕事が忙しい』と言い訳ばかりの『やるやる』詐欺で、全然片付けなかったよねー」と一人、実家で悪態を付くなど、しばらく施設にいる父親に会いに行くことが億劫になるくらい、実家の片付けのために心が荒んでいました。

 

実家の片付けは精神的なことに加え、肉体的にもかなり疲れるため、心の余裕がなくなり周りに優しくなれないときがあります。どうか、これを読んでいる皆さんは、私の失敗談を反面教師にして、一人で抱え込むことがないよう、親が元気なうちに実家の片付けを少しずつ進めて欲しいと強く願っています。

 

結局、最初に見積りを取った、知り合いが紹介してくれた業者に片付けをお願いすることに。その業者には「家の中を完全に空っぽにしてください」というオーダーを出しました。こうした紆余曲折ありながらも、実家の片付けは進んでいきました。一方で「早く片付けを終えたい」という気持ちがありつつも、いざ、業者が片付けに入る日程が決まって家族との思い出に溢れた居間や台所を前にすると、「ここにあるものが、全て処分されてしまうんだ」とセンチメンタルな気分になり、「これはまだ使える!」「これは捨てたくないなー」と思い出の品々をかき集めている自分がいました。その姿を見た夫から「そんなことをしていたら、この家はいつまでたっても片付かないよ」と、耳の痛い忠告が…。そして、この夫のひと言により、私はある決断をすることに。その決断については、次回で!



イラスト(下):日野あかね


日野あかねさんイラスト

実家の片付けは、一般的な「モノの片付け」とは少し異なります。なぜなら、そこには長年ご両親が積み重ねてきた暮らしや思い出が詰まっているからです。

ただ、その思い出に対する考え方には、親子間で「温度差」があることがほとんどです。むしろ、それは自然なこととも言えます。

私がお手伝いしたご家族の中にも、お母様が途中で「もう嫌!やめる!」とおっしゃったケースがありました。理由を伺うと、「トラックに積み込まれていく荷物を見ていたら、いたたまれなくなった」とのことでした。

お嬢様にしてみれば突然の出来事だったと思いますが、お母様の中では、小さな不安や迷いが少しずつ積み重なり、限界を迎えてしまったのだと思います。たとえ処分を決めたのがご自身であっても、長年暮らした家の景色が急激に変わっていく様子は、想像以上に心へ負担を与えるものです。

もちろん、お嬢様もお母様の負担や今後の暮らしを考えながら、一生懸命進めておられました。こうしたケースでは、どちらが悪いということではありません。

実家の片付けは、家族全員が同じスピード感や気持ちで進められるものとは限りません。
「思い出への向き合い方には温度差がある」という前提を持ちながら進めていくことが大切だと感じます。

このご家族の場合は、お母様のお気持ちが落ち着くまで一度作業を中断し、再開後は荷物を改めて並べ直して、お母様とお嬢様に一緒に確認していただきながら片付けを進めました。思い出話をしながら一つひとつ確認していくうちに、お母様の表情にも少しずつ笑顔が戻っていったのが印象的でした。

実家の片付けとは、単にモノを整理するだけではなく、ご家族それぞれの気持ちに折り合いをつけていく時間でもあるのだと、改めて感じた出来事でした。




写真:写真AC

監修、アドバイス:住吉由美


【監修者プロフィール】
住吉由美(すみよし・ゆみ)…保有資格:生前整理アドバイザー認定指導員/整理収納アドバイザー1級。
アクティア株式会社が提供する家事代行サービス「カジタク」に所属。整理収納アドバイザーとしてお客さま宅の片付けサービスを担当するほか、生前整理アドバイザー認定指導員として認定講座を開催。さらに、イオンスタイル品川シーサイド「MySCUE」コーナーにて、生前整理に関するセミナーを月1回のペースで実施している。



住吉由美さん(カジタク)


カジタクロゴ


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この記事の提供元
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著者:岡崎 杏里

大学卒業後、編集プロダクション、出版社に勤務。23歳のときに若年性認知症になった父親の介護と、その3年後に卵巣がんになった母親の看病をひとり娘として背負うことに。宣伝会議主催の「編集・ライター講座」の卒業制作(父親の介護に関わる人々へのインタビューなど)が優秀賞を受賞。『笑う介護。』の出版を機に、2007年より介護ライター&介護エッセイストとして、介護に関する記事やエッセイの執筆などを行っている。著書に『みんなの認知症』(ともに、成美堂出版)、『わんこも介護』(朝日新聞出版)などがある。2013年に長男を出産し、ダブルケアラー(介護と育児など複数のケアをする人)となった。訪問介護員2級養成研修課程修了(ホームヘルパー2級)
https://anriokazaki.net/

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