心を満たすスキンケア「しなやかに歳を重ねる」
2024年8月22日 6:53 PM
ありのまま、という豊かさもある。
美容講習会などで好まれるテーマがあります。それは、「若々しく輝いて見えるメイク」。加齢によって現れる、表情や肌、造形の変化を知って、ナチュラルでありながらさりげなくフレッシュな印象をつくるメイクです。
ところが最近は「ありのままの自分」でいることが、ストレスがなく自分らしいのでは?と思う方も増えてきたように思います。言い換えると、今の自分を受け入れ、その中で自分の好きな部分を素直に表現するというメイクアップです。メイクで行うテクニックが根本から変化したわけではありませんが、心持ちが違うのです。前者が加齢によって失われたものをメイクアップで補うといった趣旨があるのに対し、後者は加齢によって新しく得ることができた自分らしさをメイクアップによって魅力的にしつらえる訳です。
私が美容を学び始めたころ、尊敬する先生がこうおっしゃっていました。「嫌いなところをメイクアップによって修正したところで、人並みなキレイさは手に入るかもしれないけれど、魅力的な人にはなれないのよ。人にはない自分らしさに気づき、そこを伸ばしてみる。するとそれがあなたの魅力となって輝くのです。」と。
加齢によって生じた現象をカバーするのは、もちろん悪いことではありません。けれど目尻のシワは、どのように生きてきたかの証となるあなたの財産。微笑んだ時に下がる目尻は、えもいわれぬ温かい表情を作り出しています。パンと弾き返すようなツヤはなくても、何もかも包み込むような柔軟な肌がある。フェイスラインのもたつきは、どこか思いやりを感じさせる安心感があります。下がりがちな口角を上げようと努めているそのほほえみこそ、自然の営みにあらがうことなく誠実に生きてきた証なのです。
美容はあなたのキレイを作ること以上に「応援してくれるもの」。私はこう思っています。明るく前向きに生きるためのルーティンのひとつにスキンケアがあり、メイクアップを施すことで平穏な朝がスタートすると。
先日ヒヤシンスの鉢植えを買ってきて、土を落とし水耕栽培にしました。日に日に白い根が伸び、硬かったつぼみがゆるみほんのりと色づいていくさまは、成長の過程を共有しているようでうれしくなります。暖かくなるとメダカが産卵します。朝早くに水槽を覗いてみると、突然1㎜くらいのメダカの赤ちゃんがピンピンと飛び跳ねるように泳いでいます。そんな些細なことが幸せにつながっているのだと感じます。
自然界の美しさへの気づき。人という造形の美しさ、人と違うご自分の顔の魅力を再発見し、自分らしいありのままの美しさに気づき共存する。そのことの豊かさや快適さを受け入れる支度を、そろそろ本気で始めてみませんか。しなやかに歳を重ねるために。
~前回までの掲載内容~
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