シニア向けの住居を検討するなかで、介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違いが気になる人も多いのではないでしょうか? 今回は、2つの施設の特徴と違いを解説します。

1. 「介護付きホーム」と「サ高住」それぞれの特徴

■介護付き有料老人ホームとは

介護付き有料老人ホームは「老人福祉法」と「介護保険法」に基づいた施設で、主に民間企業が運営しています。

都道府県による「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、国が定めた人員基準や設置基準を満たしているのが特徴です。これにより、24時間体制のケアが介護保険で受けられます。

 

介護付きホームには「一般型」「外部サービス利用型」の2種類があり、施設数が多いのは「一般型」です。本記事では「一般型」に絞って説明していきます。

 

■サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは

サ高住は、「高齢者住まい法第5条」に基づくシニアのための賃貸住宅です。主に民間企業が運営し、住宅はバリアフリー仕様で安全性も高いのが特徴です。自由に外泊や外出ができるなど、生活の自由度が高いことも魅力の一つといえるでしょう。

 

サ高住には「一般型」「介護型」の2種類があり、そのほとんどが「一般型」です。本記事では「一般型」に絞って解説していきます。

2. 入居条件の違いは?

■介護付き有料老人ホーム

基本的に65歳以上の方が対象です。介護付きホームには以下の3つの分類があり、それぞれ条件が異なります。

・自立型・・・入居時点で要介護認定を受けていない自立の人
・介護専用型・・・要介護1以上の人
・混合型・・・自立〜要介護認定を受けている人

 

一例として、夫婦で入居を検討する場合、1人が自立で、もう1人が要介護状態であれば「混合型」が対象となります。

その他の要件は施設により異なり、認知症の方や看取りケアに対応する施設も増加しています。

■サ高住
以下のいずれかに該当する単身・夫婦世帯が対象となります。

・60歳以上の人
・60歳未満で要介護または要支援の認定を受けている人

上記に加えて「認知症ではない」「感染症に罹患していない」など、独自の基準を設けている住居もあります。

3. サービス内容の違いは?

■介護付き有料老人ホーム

介護付きホームでは、施設の介護職員から24時間体制で介護サービスを受けることができます。また、看護師の配置が義務づけられているため、医療的ケアも受けられますが、看護職員の勤務時間帯は施設により異なります。

高度な医療的ケアや終身利用を希望する人は、対応の可否を事前に確認しておきましょう。


■サ高住

サ高住で必ず受けられるサービスは安否確認と生活相談です。介護が必要な場合、「一般型」のサ高住では、入居者が個別で外部の介護事業所と契約することで介護サービスの利用が可能です。

また、人員基準の定めがないため、医療的ケアや機能訓練に関しては施設によって大きな違いがあります。

4. 費用の違いは?

■介護付き有料老人ホームの費用

初期費用(入居一時金)と月額費用が必要となり、その相場は以下の通りです。

【初期費用(入居一時金)】0~数億円
【月額費用】12~40万円


施設によっては、居室の設備や内装が充実しているために、初期費用が数億円かかる場合もあります。また、初期費用が不要な施設もありますが、その場合は月額費用が高くなる傾向があります。費用の詳細を確認し、予算に合った施設を選びましょう。


【月額費用の内訳】
・家賃
・管理費
・介護サービス費
・自費サービス費
・追加サービス費
・医療費
・食費 など


「一般型」の介護サービス費は、要介護度に応じた定額料金です。介護保険の自己負担分以外のサービスを利用すると、実費や追加料金を負担することになります。


■サ高住の費用

サ高住は「シニア向けの住居」という位置づけのため、入居時に敷金が必要です。

敷金と月額利用料の相場は以下の通りです。

【敷金】数万円~数百万円
【月額利用料】5万円~25万円


「一般型」のサ高住でかかる月額費用の項目は、施設により異なります。代表的な項目は、以下の通りです。

・居住費
・管理費
・食費
・生活支援費
・介護サービス利用料(自己負担分)


介護サービスの利用料は、利用したサービスごとに支払う仕組みです。そのため、要介護度が高くなって必要なサービスが増えると、費用もその分増加していきます。

また、月額費用やそれに含まれるサービス内容は施設ごとに異なるため、施設を決める際には詳細を確認することが大切です。

5. 各施設のメリット・デメリット


施設による違いが大きいため、契約前に比較検討したうえで施設選びをすることが大切です。


■介護付き有料老人ホーム
●メリット
・24時間体制で介護サービスを受けられる
・介護度別に介護サービス費の自己負担額が決まっているので、月額費用がわかりやすい

●デメリット
・特養やサ高住と比較して費用が高い
・施設ごとに特色が異なるため、施設選びに迷いやすい

■サ高住
●メリット
・生活の自由度が高い
・入居者が希望する介護事業所と契約して介護サービスを受けられる

●デメリット
・要介護度が上がると退去を求められる場合がある
・施設によっては入居者の要介護度にばらつきがあり、要介護度の低い人はストレスを感じる可能性がある

6. 介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違いのまとめ




■介護付き有料老人ホーム
費用目安:
【初期費用(入居一時金)】0~数億円
【月額費用】12~40万円


入居基準:
・原則65歳以上
 自立型:入居時点で要介護認定を受けていない自立の人
 介護専用型:要介護1以上の人
 混合型:自立〜要介護認定を受けている人
※くわしい要件は施設により異なる


サービス内容:
施設の介護職員から、24時間体制で介護サービスを受けられる

おすすめの人:
・24時間体制で介護サービスを受けたい人
・終身利用を希望する人


■サ高住

費用目安:
【敷金】数万円~数百万円 
【月額利用料】5万円~25万円


入居基準:
以下のいずれかに該当する単身・夫婦世帯
・60歳以上の人
・60歳未満で要介護または要支援の認定を受けている人
※くわしい要件は施設により異なる


サービス内容:
介護サービスは個別で外部の介護事業所と契約して利用する


おすすめの人:
・生活の自由度を重視する人
・ある程度自立した生活ができる人



 監修:中谷ミホ



この記事の提供元
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著者:小原 宏美

大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。
現在はフリーライターとして、介護や音楽などに関する記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)

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