この記事では、要支援2の状態を詳しくご紹介するとともに、要支援1や要介護1との違い、要支援2の方が受けられる介護保険サービスについて解説します。併せて、サービスを利用した場合の自己負担額についても紹介していますので参考にしてください。
要支援2とは、7段階に分かれている要介護認定において2番目に軽い区分です。
厚生労働省の「要介護認定等基準時間の分類」によると、要支援2は「要介護認定等基準時間が32分以上50分未満またはこれに相当する状態」と定義されています。
具体的には、以下のような状態の方です。
・ 買い物や掃除などに介助が必要
・立ち上がりや歩行時に介助が必要となることがある
・排せつや食事はほぼ自分で行える
日常生活動作は基本的に自立しているけれど、部分的に見守りやサポートが必要な場合、要支援2の認定を受ける可能性があります。
【要支援1との違い】
要支援1は、要支援2の1つ下の段階で、最も軽い介護度にあたります。
排泄や食事をほぼ自分で行える点は要支援2と同じですが、買い物や掃除の際に必要なサポートの度合いが少なくなります。要支援1の要介護認定等基準時間は「25分以上32分未満」となっています。
要支援1と2で受けられる介護サービスの種類に大きな差はありませんが、要支援2のほうが1ヶ月あたりの介護保険サービスの利用限度額が高いため、多くのサービスが受けられます。
【要介護1との違い】
要支援2の一つ上の段階が、要介護1です。
要支援2と要介護1の要介護認定等基準時間は同じ「32分以上50分未満」と設定されています。介護に要する時間は同じですが、要介護1では、要支援2に比べて運動機能や認知機能、思考力や理解力が低下し、部分的な介助が必要となる場面が増えます。
そのため、利用限度額も要支援2より高く設定され、受けられる介護サービスの種類や頻度が増え、より幅広いサービスが利用できるようになります。
要支援2の認定を受けると、以下の介護予防サービスが利用できるようになります。
▪介護予防訪問介護
ホームヘルパーに、掃除や洗濯、買い物などの「生活援助」や、入浴や排せつなどの「身体介護」を受ける
▪介護予防訪問看護
主治医の指示を受けた看護師や保健師から、健康チェックや助言を受ける
▪介護予防訪問入浴
自宅の浴室環境が身体状況に合っていない場合などに、浴槽を積んだ入浴車で入浴介助を受ける
▪介護予防訪問リハビリテーション
要介護状態への移行を防ぐため、理学療法士などのリハビリ専門職から歩行練習などのリハビリを受ける
▪介護予防居宅療養管理指導
医師や歯科医師、薬剤師などから、医療器具の使い方や病状に関する管理・指導を受ける
▪介護予防通所介護(デイサービス)
入浴や食事、機能訓練を目的としてデイサービスセンターなどに通う
▪介護予防通所リハビリテーション(デイケア)
介護老人保健施設などに通って、身体機能の維持や向上を目的にリハビリを受ける
▪介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)
一時的に施設に入所して、日常生活全般の介助を受ける
▪介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
一時的に介護老人保健施設などに入所して、医療的ケアや日常生活全般の介助を受ける
▪介護予防福祉用具貸与
介護予防を目的に、歩行器や杖などの福祉用具を借りる
▪特定介護予防福祉用具購入
入浴補助用具など特定の福祉用具を購入した場合、費用の一部助成を受ける
▪介護予防小規模多機能型居宅介護
通いを中心に、利用者の心身状況に応じて訪問サービスや宿泊サービスを組み合わせて利用する
▪介護予防認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
認知症の方が施設に通って、日常生活全般の介助やリハビリを受ける
▪介護予防特定施設入居者生活介護
有料老人ホームなどの入居者が、日常生活全般の介助を受ける
▪介護予防住宅改修
自宅に手すり設置などの住宅改修をした場合、20万円を限度に改修費の支給を受ける
なお、これらの介護予防サービスは、決められた利用限度額の範囲内で組み合わせて利用できます。
要支援2の方が介護予防サービスを利用する際の1ヶ月あたりの支給限度額は約10万5,310円です。
この限度額の範囲で介護予防サービスを利用した場合、利用者の自己負担額はサービス費用の1割となります。(所得により2〜3割となる場合もあります)
在宅サービスの利用料の自己負担額(目安)
▪要支援1の支給限度額:10万5,310円
▪利用者負担額1割:1万531円
▪利用者負担額2割:2万1,062円
▪利用者負担額3割:3万1,593円
自己負担が1割の場合、月々の自己負担上限額は1万531円となり、2割または3割負担の方は、それぞれ2万1,062円、3万1,593円となります。
なお、この支給限度基準額を超えてサービスを利用した場合、超過分は全額自己負担(10割)となることを覚えておきましょう。
介護予防サービスを利用するための手続きは、次のステップで進めます。
1. 要介護認定の申請
市区町村の窓口で、要支援・要介護認定の申請を行います。
2. 認定調査と主治医意見書の作成
認定調査員が自宅を訪問して生活状況を調査します。加えて、かかりつけ医による主治医意見書も作成されます。
3. 介護認定審査会での判定
認定調査と主治医意見書の内容をもとに、介護認定審査会で要介護度が判定されます。
4.認定結果の通知
審査結果が市区町村から通知されます。要支援1または2と認定された場合、介護予防サービスの利用が可能になります。
5.地域包括支援センターへの連絡
認定結果を受けたら、地域包括支援センターに連絡し、サービス利用について相談します。
6.ケアプラン(介護予防サービス計画書)の作成
地域包括支援センターの支援のもと、必要なサービスの内容と利用頻度を決めるケアプランを作成します。
7.介護予防サービスの利用開始
ケアプランに基づいて、介護予防サービスの利用を開始します。
お住まいの地域の地域包括支援センターに相談すると、担当者が一人ひとりの生活状況や希望に合わせたケアプランを一緒に考え、スムーズに支援を受けられるよう手配してもらえます。
要支援2の方は、基本的な日常生活動作が自立している場合が多く、適切なサポートがあれば一人暮らしの継続も可能です。
買い物や掃除などについては支援が必要なことが多いので、介護予防サービスをうまく活用し、必要なサポートを受けることが大切です。
住み慣れた自宅で長く暮らすためにも、ケアマネジャーに相談してその方に合った介護予防サービスを利用しましょう。
要支援2は、基本的な日常動作を一人である程度行うことができる状態です。適切なサポートを受ければ一人暮らしを続けることも可能です。
要介護状態への進行を予防するためにも、積極的に介護予防サービスを活用しましょう。
監修:中谷ミホ
著者:倉元 せんり
福祉系大学を卒業後、急性期病院で医療ソーシャルワーカーとして勤務。現在は、フリーライターとして、福祉にまつわるさまざまな記事を執筆している。福祉制度や社会保障などの知識を分かりやすく伝えるのが得意。
保有資格:社会福祉士・ケアマネジャー