「要介護2」とはどのような状態なのか、ほかの介護度と何が違うのかが気になる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、要介護2の状態やほかの介護度との違い、受けられるサービスを解説します。
要介護2は、厚生労働省が定める「要介護認定等基準時間(介護にかかる時間)」が、50分以上70分未満、またはこれに相当すると認められる状態のことです。
7段階に分かれている要介護度の中で4番目に低い区分で、主に以下のサポートが必要とされています。
・歩行の介助
・ズボンの上げ下げといった着替えの介助
・トイレでの立ち上がりや浴槽の出入りの介助
・買い物や家事などの生活動作の介助
食事は一人でできるものの、自力での立ち上がりや歩行が困難であるため、一人暮らしをするのは難しい状態です。また、薬の飲み忘れや食事をしたことを忘れるなど、軽度の認知症症状が見られる場合もあります。
そのため、家族と暮らすか、介護施設に入居してケアを受けながら生活するのが望ましいといえるでしょう。
要介護2と、その前後の要介護度との違いをまとめました。
■要介護1
●心身の状態
・基本的な日常生活動作はひとりでできるが、身体機能が低下しており、見守りが必要な状態
・認知機能の低下が見られる場合もある
●要介護認定等基準時間(介護にかかる時間)
32分以上50分未満
■要介護2
●心身の状態
・一人で立ったり歩いたりするのが困難
・着替えや歩行、入浴などに介助が必要
・認知症の初期症状が見られる場合もある
●要介護認定等基準時間(介護にかかる時間)
50分以上70分未満
■要介護3
●心身の状態
・要介護2より身体機能の低下が進んだ状態
・日常生活全般を一人で行うのが難しく、あらゆる場面で介助が必要
・認知症を患っている方が多い
●要介護認定等基準時間(介護にかかる時間)
70分以上90分未満
要介護1と比較すると、要介護2は要介護認定等基準時間が長く、日常生活でケアを必要とする場面が増加します。
一方、要介護3は要介護2よりも一段階多くケアが必要とされる状態です。
要介護2で利用できる主なサービスをまとめました。
●在宅サービス
・訪問介護
・夜間対応型訪問介護
・訪問看護
・訪問入浴
・訪問リハビリテーション
●通所サービス
・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション(デイケア)
・療養通所介護
・認知症対応型通所介護
●施設への入所
・介護老人保健施設(老健)
・介護医療院
・特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
●短期入所
・短期入所生活介護(ショートステイ)
複合型サービス
・小規模多機能型居宅介護
●その他
・福祉用具の貸与費、購入費の支給
・住宅改修費の支給
特別養護老人ホームへの入居は原則要介護3以上が条件ですが、以下の項目に該当する場合、要介護2でも特例で入居できる場合があります。
・認知症や精神障害、知的障害により、日常生活に支障をきたす症状がある
・認知症や精神障害、知的障害により、周囲との意思疎通が困難な状態にある
・家族による虐待があり、心身の安全確保ができない状態にある
また、要介護2は介護保険を利用して歩行器や入浴補助用具、スロープなどのレンタルや購入可能な福祉用具が充実しています。
ケアを受ける方の状態に応じて福祉用具を導入すると、ケアラーの負担を軽減できるでしょう。
2024年12月現在、要介護2の介護保険の利用限度額(1か月あたり)は19万7,050円です。
利用限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、自己負担額が1割(一定以上の所得者の場合は2割または3割)となります。
【要介護2の自己負担限度額】
1割負担:1万9,705円
2割負担:3万9,410円
3割負担:5万9,115円
限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となるため、利用するサービスを計画的に選ぶことが大切です。
在宅生活を送る要介護2の方の、1か月あたりの介護サービス利用料金の一例を紹介します。
訪問介護(生活援助)・・・1,790円✕月8回=1万4,320円
通所介護(7時間以上8時間未満、入浴あり)・・・8,170✕月12回=9万8,040円
短期入所生活介護(単独型・従来型個室)・・・7,150円×月7日=5万50円
介護ベッドレンタル・・・1か月7,140円
車椅子レンタル・・・1か月5,500円
上記の場合、1か月の介護サービス費用概算額は17万5,050円で、自己負担額の目安は以下の通りです。
1割負担:1万7,505円
2割負担:3万5,010円
3割負担:5万2,515円
上記は概算ですが、さまざまな介護サービスを併用しながら在宅生活を送れることがわかります。
要介護2は、日常生活のさまざまな場面でサポートが必要な状態です。介護保険を活用することで、在宅生活の継続や施設への入居が可能になります。
利用できる介護サービスを比較検討したうえで、本人とご家族が安全で快適に過ごせるケア方法を選択しましょう。
監修:中谷ミホ
写真(トップ):PIXTA
著者:小原 宏美
大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。
現在はフリーライターとして、介護や音楽などに関する記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)