肉野菜炒めといえば、塩こしょうやうま味調味料で味を整えるのが定番ですが、同じ具材でも「蒸し煮」にすることで、調味料は塩だけというシンプルな味付けが可能になります。野菜本来の甘みを存分に楽しめ、食べ応えも栄養も満点の一品です。
ふだん、「炒める」「煮る」の調理法が多い人は、「蒸し煮」にチャレンジしてみませんか?
具材を切ってふたをするだけで、手間をかけずに効率よく素材のうま味を引き出せます。ゆで料理のように水溶性の栄養素が溶け出す心配がなく、また炒め料理ほど油を使わないのでエネルギーがカットできるヘルシーな調理法です。また、火を通すことでカサが減り、野菜をたっぷりとれることも魅力です。
今回のレシピでは、豚肩ロースと春野菜(キャベツ、たまねぎ、トマト、グリンピース)を使用。豚肩ロースはたんぱく質が豊富で、筋肉や免疫力の維持に役立ちます。キャベツやたまねぎは、加熱することで甘みが増し、豚肉のうま味をしっかり引き立ててくれます。味付けは塩のみとシンプルですが、豚肉と野菜本来の甘みとコクがあるため、塩分控えめでもおいしくいただけます。
豚肉は表面を焼いていったん取り出し、野菜を炒めてから戻して蒸し煮にすることで、やわらかく仕上がるため、噛む力が心配な高齢者も安心して食べられます。この一皿で約267gの野菜がとれるので、野菜不足を感じている方にもピッタリのメニューです。
材料(2人分)
豚肩ロース肉……1 枚(120g)
キャベツ……240g(正味200g)
たまねぎ……1 個(200g)
トマト……小1 個(100g)
グリンピース……10 さや(正味35g)
塩……適量
オリーブ油……大さじ1/2
バター……10g
A
白ワイン……大さじ1
こしょう……少々
ローリエ……1 枚
*料理のエネルギー・ 塩分は1人分です。
*野菜類は皮をむくなどの下ごしらえをすませてからの手順を説明しています。
エネルギー 270kcal
塩分 1.6g
料理撮影:石井 宏明
レシピ開発・調理:満留 邦子
①豚肉はすじを切り、塩小さじ1/3をまぶして冷蔵庫に1時間ほどおいておく。
②キャベツは芯を取り、5㎝幅に切って細切りにする。たまねぎは半分にしてから薄切りにする。
③トマトは1~2㎝角に切り、グリンピースはさやから出す。
④厚手の鍋にオリーブ油を入れて中火で熱し、①の両面を焼いてから取り出す。肉の粗熱が取れたら、1.5㎝幅に切る。
⑤④の鍋に②のたまねぎ、バターを入れて弱めの中火で熱し、しんなりするまで炒める。②のキャベツを加えて塩小さじ1/4をふり、キャベツが少ししんなりするまで炒める。
⑥④の肉を鍋に戻し入れ、③、Aを加えてふたをし、弱火で15分ほど蒸し煮にする。
シニアのためのひと工夫:
豚肉は、1.5㎝角に切るとさらに食べやすくなります。
著者:満留 邦子(みつどめ くにこ) /管理栄養士 料理研究家
大学の家政学部を卒業後、料理研究家のアシスタントなどを経て、独立。書籍、雑誌、新聞、テレビなど多様な媒体で活動し、料理教室の講師や企業のレシピ開発を手掛ける。特に「家庭料理」を得意とし、身近な材料で作りやすいレシピ作りに定評がある。著書に『料理が楽しくなる圧力鍋レシピ』(成美堂出版)、『今日のうどん』(成美堂出版)、『ごはんのおとも』(成美堂出版)など多数。