シニアの指先をきれいに整え、生活に彩りを添える「福祉ネイル」をご存知でしょうか? 今回は福祉ネイルの特徴や期待できる効果、自宅で行う際のポイントなどをご紹介します

1. 福祉ネイルとは

福祉ネイルとは、ネイルのおしゃれを楽しみたいけど、ネイルサロンへ行けない高齢者や障がい者のためのネイルケアのことです。

 

一般的なネイルケアはファッション的な側面が強いのに対し、福祉ネイルは利用者の心の充足感や生活の質を高めることも目的にしています。また、人と触れ合いながら指先をきれいにする福祉ネイルは、特に認知症の方へのケアとしても注目されています。

2. 福祉ネイルが認知症ケアにつながる理由

MySCUE記事 認知症ケア 福祉ネイル

 

福祉ネイルが認知症ケアにつながると考えられているのは、認知症の方に安心感を与えるケア方法「ユマニチュード(*)」と共通する要素があるからです。

 

手指のケアは、本人の手に優しく触れ、目を合わせながら表情や体調を確認しながら行うため、安心感や幸福感につながりやすいのです。また、ケア中は自然と会話が弾むことも多く、和やかな時間が情緒の安定をもたらします。

 

さらに、手指がきれいになることで本人の前向きな気持ちを引き出す効果も期待できます。ふとネイルが目に入ったときに「ネイルをしてもらったな」「きれいだな」と感じることで、脳の活性化や自己肯定感の向上にもつながるでしょう。

 

* ユマニチュード…ケアを受けている人に対して「あなたは私にとって大切な存在です」と伝えるための技術。「見る・話す・触れる・立つ」の4つの柱で構成されている。

3. 福祉ネイルを受けられる場所

・老人ホーム
・訪問サービス
・デイサービス

 

主に福祉ネイルに関する民間資格を取得したスタッフが施設や自宅を訪問したり、施設に勤める職員が定期的に実施する形で行っています。

 

福祉ネイルを行っている施設に家族を通わせたい方は、担当ケアマネジャーに相談するか、直接施設に問い合わせてみるとよいでしょう。

 

また、自宅で気軽に始めたい方は、ご家族がケアを行うことも可能です。次の章では、自宅でできる福祉ネイルの方法をご紹介します。

4. 自宅でできる福祉ネイル

福祉ネイルに含まれる主なケアは「爪切り・爪やすり」「ハンドマッサージ」「マニキュア(カラーリング)」の3つです。自宅でできる方法とポイントをご紹介します。

 

■爪切り、爪やすり
高齢になると、ご自身で爪を切ることが難しくなる方が多いため、ご家族が爪のケアを行うことで、手足の清潔を保てます。

 

硬い爪は、ぬるま湯に浸して柔らかくしてから切ると安全です。爪切り後は、爪やすりで切り口を滑らかに整えることで、爪割れなどのトラブルを予防できます。

 

ただし、痛みを伴う巻き爪や化膿している爪など、ご自身やご家族での処置が難しい場合は、無理せず早めに医療機関を受診し、適切な指示を仰いでください。

 

 

 

■ハンドマッサージ
ケアをする方の手のぬくもりを感じることで「オキシトシン」というホルモンが分泌され、幸せを感じやすくなると言われています。

 

自宅で簡単にできるやり方を以下にまとめました。

 

1.ぬるま湯に手を浸けるか、温かいタオルで手を包んで手を温かくする


2.本人の手指から肘あたりまでオイルやクリームを塗って肌を保湿し、マッサージによる摩擦を防ぐ


3.指先から手のひらをほどよい力でもみほぐす


4.手首から肘に向かってさする

 

シニアは年齢による血流の低下や自律神経の乱れなどにより、手指の冷えを感じやすいため、定期的に行うとより効果的です。

 

MySCUE記事 認知症ケア ハンドマッサージ

 

 

■マニキュア(カラーリング)

マニキュアを塗ることで、手指が美しく見えて、自分に自信が持てるようになります。高齢者の爪はデリケートなため、以下のような刺激の少ないケア用品を選ぶと安心です。

 

・水性ネイル…有機溶剤が少なく、簡単に落としやすい


・強化成分入りのベースコート…カルシウムやたんぱく質で爪を保護する


・薄い色味のマニキュア…色素沈着のリスクを軽減し、爪への負担を抑える

 

ドラッグストアやネットショップなどで購入できるので、興味のある方は探してみてください。

 

MySCUE記事 認知症ケア ネイルケア

5. 福祉ネイルを自宅で行う場合の注意点

■シニアの爪や皮膚の状態を確認して行う
高齢者の手指は乾燥しやすく、皮膚トラブルも起きやすい状態です。状態が思わしくない時はマニキュアは控え、ハンドマッサージや爪切りのみ行うなど調整することでトラブルの悪化を防げます。

 

■事前準備を丁寧に行う
爪切りからハンドマッサージ、マニキュアまで一通り行うと、慣れないうちは30分以上かかる場合もあります。事前に「〇分くらいかかるよ」と、本人に見通しを伝え、ネイルケア前にトイレを済ませておくと落ち着いて施術ができます。

 

本人の体力が低下している場合は、全体のケア時間を20〜30分以内にできるよう段取りするなど、本人が無理なく楽しめるよう配慮することも大切です。

6. 「福祉ネイリストⓇ」という民間資格もある

福祉ネイルに興味のある方やより質の高いネイルケアを行いたい方には、民間資格の「福祉ネイリストⓇ」の取得をおすすめします。

 

この資格取得のための学習では、高齢者の病気に関する知識やネイル施術時の工夫などを体系的に学べます。専門知識を身につけることで、より自信を持ってご家族にケアを提供できるようになるでしょう。

 

参考:一般社団法人「日本保健福祉ネイリスト協会」

7. まとめ

手指や爪をきれいに保つことは、皮膚トラブルや病気を予防するだけでなく、自分への自信を育み生きる意欲を高める効果もあります。

 

ご自宅で本人と語らうきっかけづくりのひとつとして、福祉ネイルを取り入れてみてはいかがでしょうか。




監修:
中谷ミホ
写真:写真AC、PIXTA



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この記事の提供元
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著者:小原 宏美

大学で音楽療法を学び、卒業後は児童養護施設、高齢者通所介護施設にて勤務。生活支援と並行して、音楽療法による利用者のQOL向上に取り組む。
現在はフリーライターとして、介護や音楽などに関する記事を執筆している。保有資格:保育士・介護福祉士・日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)

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