5月に入ると、日差しが少しずつ強くなってきます。紫外線は5月ごろから増え始め、7〜8月にピークを迎えます。紫外線は、シミ・シワといった美容面だけでなく、皮膚がんなどの原因にもなる大敵です。さらに、加齢により肌のバリア機能が低下しているシニア世代は、わずかな日差しでも大きなダメージを受けやすく、時には全身の免疫力低下を招くこともあります。シニアとケアラーが知っておくべき紫外線対策について、皮膚の疾患に詳しい専門医が解説します。

1. 紫外線の基礎知識 A波・B波・C波はどう違う?

紫外線の種類

太陽光は生物にとって欠かせないものですが、皮膚にはさまざまな影響を与えます。紫外線(UV)のうち、地表に届き肌に影響を与えるのは「UV-A(A波)」と「UV-B(B波)」です。最もエネルギーの強いUV-C(C波)はオゾン層に吸収され、通常は地表には届きません。


・UV-A(A波):波長が長く、肌の奥の真皮まで届き、シワやたるみの原因になる
・UV-B(B波):エネルギーが強く、肌表面に炎症を起こし、シミの原因になる

紫外線は皮膚の細胞を傷つけ、炎症を引き起こす原因となります。UV-Aは、真夏の7~8月よりも、5月が年間で最も多いというデータが出ています。このため、5月ごろから紫外線対策を始めることが重要です。

2. シミ・シワの原因に!紫外線による「光老化」とは

「年を取れば肌が老化するのは仕方ない」と思っていませんか。確かに加齢による変化は避けられませんが、紫外線を多く浴びることで老化のスピードが速まることがわかっています。紫外線による長期的な影響として、シミ・シワ・たるみなどが生じ、こうした皮膚の変化は「光老化」と呼ばれます。

日焼けとは、紫外線によって皮膚がやけどのような状態になることでまず赤くなり、その後、色素沈着によって黒くなります。長年、紫外線を浴びてきたシニアの肌には、すでに多くのダメージが蓄積しています。さらに加齢によって皮脂の分泌が減少し、バリア機能も弱まっているため、これ以上、光老化を進行させないための日々の対策が不可欠です。

3. 気をつけたい「皮膚がん」のリスク

シミが気になるシニア女性のイメージ

紫外線が皮膚に与える影響の中で、特に深刻なのが皮膚がんのリスクです。長年にわたって紫外線を浴び続けることで、皮膚の細胞のDNAが傷つき、皮膚がんの発症につながることがあります。

特に注意したいのが、高齢者によくみられる「顔や手の甲にできる赤い斑(はん)」です。これは「日光角化症」と呼ばれ、皮膚がんの前段階とされています。ケアラーの方は、こうした変化に気づいた場合には放置せず、速やかに皮膚科を受診するよう促すことが大切です。

また、広範囲に日焼けをすると体の免疫機能が低下し、口唇ヘルペスの再発を引き起こしやすくなることも知られています。万が一、日焼けをしてしまった場合は、濡れタオルや氷を入れた袋をタオルで包んで患部を冷やすことが有効です。症状が強い場合には、ステロイド外用薬の使用なども検討されます。

4. 肌に優しい日焼け止めの選び方と使い方

日焼け止めのイメージ

紫外線を防ぐためには、帽子や日傘、サングラス、衣服による対策をしましょう。さらに、日焼け止めの使用も有効です。日焼け止めには、UV-Bの防止効果を示す「SPF値」と、UV-Aの防止効果を示す「PA分類」が表示されています。日焼け止めは、自身の肌タイプに合わせて選ぶことが重要です。

SPFは「1~50」までの数字で示され、数値が高いほど効果が高く、PAは「+」の数が多いほど効果が高く、「++++」が最も防止効果が高いとされています。

・タイプI(すぐ赤くなり、黒くなりにくい)
 散歩・外出など:SPF 10〜20/PA+〜++
 屋外でのスポーツ・レジャーなど:SPF 30〜50+/PA++〜++++

・タイプII(赤くなり、その後黒くなる)
 散歩・外出など:SPF 10〜20/PA+〜++
 屋外でのスポーツ・レジャーなど:SPF 20〜50+/PA++〜++++

・タイプIII(赤くならず、黒くなりやすい)
 散歩・外出など:SPF 5〜15/PA+〜++
 屋外でのスポーツ・レジャーなど:SPF 15〜30/PA++〜++++


塗布時は、うなじや首、手の甲なども含めてムラなく塗り、2〜3時間ごとに塗り直すことが大切です。皮膚がかぶれやすい人は、紫外線吸収剤を含まない「ノンケミカルタイプ」などの製品が適しています。

5. 日焼け止めの新基準「UV耐水性」とは

日焼け止めを塗る女性

「SPF」や「PA」に加えて、新たな基準として設けられたのが「UV耐水性」です。これまで、海水浴など水に濡れた状態でも日焼け止め効果が持続することを示す表記は「水に落ちにくい」「ウォータープルーフ」など、メーカーによってさまざまな表現が使われていました。しかし、明確な統一基準がなく、各社が独自のテストに基づいて表示している状態でした。

そこで、消費者がよりわかりやすく比較・選択できるよう、国際規格(国際標準化機構ISO)に基づく統一基準が導入されました。現在は、星の数「★(もしくは☆)」の1つか2つで、水に濡れた状態でもSPF機能をどの程度保持できるのかが示されています。★の数が多いほど、水に濡れた状態でのSPF保持力が高いことを意味します。星のマークが黒塗り(★)か白抜き(☆)かによる効果の違いはなく、あくまで「数」が重要です。

具体的には、水に入った後にどれくらいの時間「SPF」の数値が保たれるかを表しています。

・UV耐水性★(星1つ):40分間水に浸かった後でも、日焼け止め効果が維持されることを示します。 沢遊びやガーデニングなど水に触れる場面などにおすすめです。

・UV耐水性★★(星2つ):80分間水に浸かった後でも、日焼け止め効果が維持されることを示します。海やプール、長時間水に触れるマリンスポーツなどに適しています。

これからの日焼け止め選びは、「SPF」「PA」に加えて、予定しているシーンに合わせた「UV耐水性」の星の数もぜひチェックしてみてください。

6. 骨を丈夫にする!適度な日光浴でビタミンD生成

日差しを気にする女性

紫外線にはリスクだけでなく、健康にとって重要な役割もあります。その1つが、カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」の生成です。骨折予防や骨粗しょう症対策が重要なシニアにとって、欠かせない働きといえます。

目安として、標準的な肌タイプの人では、夏の晴天時に腕や顔を数分程度日光に当てるだけで、必要なビタミンDが生成されるとされています。長時間紫外線を浴び続ける必要はありません。短時間の日光浴で必要なビタミンDを確保しつつ、長時間の外出時には日焼け止めや衣服でしっかりと対策を行う――こうしたメリハリのある紫外線との付き合い方が、シニアの肌の健康寿命を延ばすポイントとなります。



写真:PIXTA

監修:坪井良治先生

構成:研友企画出版


【監修者プロフィール】
坪井良治(つぼい・りょうじ)
東京医科大学名誉教授/西新宿サテライトクリニック理事長・院長
1980年、防衛医科大学校卒業。順天堂大学大学院医学研究科修了後、ニューヨーク大学医学部研究員、順天堂大学皮膚科学講師・助教授などを経て、2002年から2020年まで東京医科大学皮膚科学分野主任教授を務める。脱毛症、アトピー性皮膚炎、皮膚真菌症(いわゆる水虫)、褥瘡、皮膚腫瘍などを専門とする。
西新宿サテライトクリニック皮膚科



坪井良治先生

この記事の提供元
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著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

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