それでは、重要事項説明書を確認するうえで、押さえておきたい10項目をご紹介します。
1.事業主体概要
事業所名や所在地、電話番号、設立年月日、その施設の主な事業内容など運営元の基本的な情報が記載されています。
2.施設の概要
施設の名称や種類(有料老人ホームであれば「介護付き」か「住宅型」か)、所在地、管理者の情報、連絡先、事業開始年月日などの記載があります。
3.建物の概要
入居する建物の規模・構造・所有者などの概要と、居室の仕様、共有施設について書かれています。また、消火用スプリンクラーの有無など防災設備の状況についても確認できます。
4.サービスの内容
この項目には、全体の方針、医療連携の内容、入居後の居室の住み替えなど、入居に関する要件が示されているので、しっかりと見ておきましょう。
そのなかでも、「退去要件」や「施設からの契約解除の条件」の項目は要チェックです。
たとえば、「退去要件」でよく見られるものに「長期の入院で施設を離れることになった場合‥」という一文があります。この場合は、契約解除となる具体的な期間について確認しておきましょう。
また、「入居者の重大な契約違反や社会通念上契約の維持が困難な場合‥」といった記載があれば、具体的な判断基準や該当するケースを示してもらうことで理解がしやすくなります。
5.職員体制
施設の運営に関わる職員数とその内訳が記載してあります。
具体的には、施設で働く職員の職種や職種別の職員数、入居者1人に対する介護・看護職員の比率について記載されています。
また、職員の勤続年数や前年度の採用人数、退職者数など職員の定着状況も知ることができます。
たとえば「職種別の職員数」で、理学療法士や作業療法士などリハビリ分野の職員数が多い施設は「リハビリに力を入れている施設」であることがわかります。
また、採用人数や退職者数が極端に多い施設では、職員が定着しない理由があると想像できるため、入居者に行き届いたケアを提供できていない可能性があります。
職員体制はその施設のサービスの質や入居後の生活の質に関連してくるため、しっかりと確認しておきましょう。
6.利用料金
居住の権利形態や支払い方法、条件が変わった際の費用など料金に関する条件が示されています。
そのほかに、利用料金のプランや算定根拠、前払い金を支払う場合、その具体的な内容が記されています。
お金に関することは、施設側とトラブルになりやすいため、不明点や疑問点があれば質問し、しっかりと理解しておくことが重要です。
7.入居者の状況
施設内の入居者の情報を知ることができる項目です。
入居者の人数や性別、年齢、要介護度、入居期間が記されているので、施設の全体像が理解できます。
そのほか、入居者の平均年齢や入居率、前年度の退去者の状況も記載されています。
なかでも、入居率はその施設の経営状態を知る目安になります。あまりに入居率が低い施設は、経営がうまくいっていないと考えられます
8.苦情・事故等に関する体制
入居者からの苦情に対応する窓口や、損害賠償責任保険加入の有無など事故が発生した時の対応が記載されています。
そのほかにも、施設のサービスを改善・向上するために、利用者アンケート調査や第三者評価を実施しているか、またそれらの結果開示の有無も確認できます。
9.入居希望者への事前の情報開示
施設の契約書や経営状況を示す資料を入居希望者にどのような形で公開しているかが記載されています。
情報開示の内容が多い施設ほど、オープンな施設運営を行っていると言えますが、反対に少ないない施設は、知られたくない情報がある可能性が高いため、入居先の選択肢から外すことも考えましょう。
10.その他
入居者や家族と、施設側が話し合う運営懇談会の実施の有無などについて記載されています。