老人ホームや介護施設は全部で11種類あり、それぞれ入居条件や費用、受けられるサービスが大きく異なります。
この記事では、各施設の特徴を一覧表で整理し、状況別の選び方まで詳しく解説します。まずは全体像を把握して、ご家族に最適な施設を見つけましょう。
老人ホーム・介護施設は、運営主体によって、「公的施設」と「民間施設」の2つに分けられます。
公的施設は、自治体や社会福祉法人が運営しています。国の補助を受けているため費用が安く抑えられる反面、希望者が多く入居待ちが発生しやすいのが特徴です。特に特別養護老人ホームは人気が高く、地域によっては数ヶ月から数年待つケースもあります。
一方、民間施設は民間企業が運営しており、費用は公的施設よりも高くなる傾向があります。ただし、空きがあればすぐに入居でき、設備やサービスの選択肢も豊富です。高級志向の施設から低価格の施設まで幅広く揃っています。
どちらが良い・悪いではなく、本人の状態や家族の希望、予算に合わせて選ぶことが大切です。

特別養護老人ホーム(特養)
・運営:公的
・対象者:要介護3〜5
・費用目安(月額):5〜15万円
・認知症対応:可能
・看取り対応:可能
介護老人保健施設(老健)
・運営:公的
・対象者:要介護1〜5
・費用目安(月額):8〜15万円
・認知症対応:可能
・看取り対応:要相談
介護医療院
・運営:公的
・対象者:要介護1〜5
・費用目安(月額):8〜20万円
・認知症対応:可能
・看取り対応:可能
ケアハウス
・運営:公的
・対象者:自立〜要介護
・費用目安(月額):7〜25万円
・認知症対応:要相談
・看取り対応:要相談
養護老人ホーム
・運営:公的
・対象者:自立(経済的困窮)
・費用目安(月額):0〜10万円
・認知症対応:不可
・看取り対応:不可
介護付き有料老人ホーム
・運営:民間
・対象者:要支援〜要介護
・費用目安(月額):15〜100万円
・認知症対応:可能
・看取り対応:可能
住宅型有料老人ホーム
・運営:民間
・対象者:自立〜要介護
・費用目安(月額):15〜30万円
・認知症対応:要相談
・看取り対応:要相談
健康型有料老人ホーム
・運営:民間
・対象者:自立
・費用目安(月額):15〜40万円
・認知症対応:不可
・看取り対応:不可
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・運営:民間
・対象者:自立〜要介護
・費用目安(月額):10〜40万円
・認知症対応:要相談
・看取り対応:要相談
グループホーム
・運営:民間
・対象者:要支援2〜要介護(認知症の診断)
・費用目安(月額):12〜20万円
・認知症対応:特化
・看取り対応:要相談
シニア向け分譲マンション
・運営:民間
・対象者:自立
・費用目安(月額):10〜30万円
・認知症対応:不可
・看取り対応:不可
●特別養護老人ホーム(特養)
原則として要介護3以上の方が入所対象で、終身利用が可能な施設です。入居一時金が不要で、月額費用も8〜15万円程度と安いため、人気があります。その分、待機期間が長くなりやすく、都市部では100人以上が待機している施設も珍しくありません。食事・入浴・排せつなどの日常生活全般の介護を受けられ、看取りにも対応しています。
→ 関連記事 特別養護老人ホーム(特養)とは?|かかる費用や民間施設との違いなど
●介護老人保健施設(老健)
病院を退院したあと、自宅に戻るためのリハビリを行う施設です。理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門スタッフが常駐し、機能回復訓練を受けられます。
入所期間は原則3〜6ヶ月で、終身利用はできません。在宅復帰を目指す方や、特養入所を待機中の方の一時的な入所先として利用されています。
→ 関連記事 特別養護老人ホームと介護老人保健施設の違い|ケアマネ解説!
●介護医療院
長期的な医療ケアが必要な方向けの施設です。医師や看護師が常駐しており、喀痰吸引や経管栄養などが必要な医療依存度の高い方も受け入れ可能です。看取りにも対応しています
→ 関連記事 介護医療院とは?|ケアマネ解説!介護施設・老人ホームの種類ごとの特徴
●ケアハウス(軽費老人ホーム)
比較的費用を抑えて入居できる施設で、一般型と介護型の2種類があります。一般型は自立した方向けで、介護サービスは外部を利用します。介護型は施設内で介護を受けられます。
→ 関連記事 ケアハウスとはどんな施設?|介護施設・老人ホームの種類ごとの特徴⑥
●養護老人ホーム
経済的な理由や家庭環境により、自宅での生活が困難な65歳以上の方が対象です。入所には自治体による措置決定が必要で、誰でも入所できるわけではありません。介護施設ではなく、自立支援を目的とした福祉施設です。
→ 関連記事 養護老人ホームとはどんな施設?|介護福祉士が解説!
●介護付き有料老人ホーム
24時間体制で介護スタッフが常駐し、手厚い介護サービスを受けられる施設です。「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、介護保険サービスを定額で利用できるため、介護度が高くなっても費用が大きく跳ね上がりにくいのがメリットです。看取り対応可能な施設も多くあります。
→ 関連記事 介護付き有料老人ホームとはどんな施設?ケアマネ解説!介護施設・老人ホームの種類ごとの特徴②
●住宅型有料老人ホーム
食事や生活支援サービスは提供されますが、介護が必要な場合は外部の介護サービスを利用します。必要なサービスだけを選べるため自由度が高く、介護度が軽い方に向いています。介護度が上がると費用がかさむ可能性があります。
→ 関連記事 住宅型有料老人ホームとはどんな施設? 介護施設・老人ホームの種類と特徴|ケアマネ解説
●サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリー構造の賃貸住宅で、安否確認と生活相談のサービスが付いています。一般的な賃貸契約のため、入居のハードルが低いのが特徴です。自立から軽度の要介護の方に人気がありますが、介護度が上がると住み替えが必要になるケースもあります。
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●グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
認知症の方が5〜9人程度の少人数で、家庭的な環境の中、共同生活を送る施設です。認知症ケアの専門スタッフが常駐し、料理や掃除などを入居者と一緒に行うことで、症状の進行緩和を目指します。
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●健康型有料老人ホーム
介護を必要としない、自立した方向けの施設です。食事サービスや娯楽設備が充実していますが、介護が必要になった場合は退去を求められることがあります。施設数が非常に少ないため、選択肢は限られます。
●シニア向け分譲マンション
購入して所有権を取得するタイプの住宅です。バリアフリー設計で、コンシェルジュサービスなどが付いています。介護サービスは含まれないため、必要に応じて別途契約が必要です。資産として相続できるのがメリットです。
→ 関連記事 シニア向け分譲マンションとは?|ケアマネ解説!介護施設・老人ホームの種類ごとの特徴⑨
●一人暮らしに不安を感じ始めた場合
見守りや生活相談があれば安心できる段階では、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームがおすすめです。自立した生活を基本としながら、安否確認や必要に応じた生活支援を受けられます。外出や来客の自由度が高いのも特徴です。
●介護度が高い場合
介護や医療のサポートが多く必要な場合は、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム(特養)が適しています。特に要介護3以上では、介護が手厚い施設を選ぶことが重要です。看護師の配置や医療連携体制も確認しましょう。
●認知症の症状がある・進行が心配な場合
認知症がある方には、認知症対応型グループホームがおすすめです。少人数制で、専門的な認知症ケアを受けながら家庭的な環境で生活できます。
症状の程度や医療の必要性によっては、認知症対応が可能な介護付き有料老人ホームや特養も選択肢になります。
●収入や貯蓄に不安がある場合
年金収入が少ない方や、貯蓄をあまり取り崩せない方には、入居一時金が不要で利用料が比較的安い公的施設が選択肢としておすすめです。
●特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院には、所得や資産状況に応じて居住費や食費が軽減される制度があります。民間施設に比べ費用を抑えやすいため、収入が限られている方でも入所しやすいのが特徴です。ただし、入所待ちが発生する場合があるため、早めの情報収集と申込みをおすすめします。
1. 立地・アクセス
ご家族が無理なく面会に通える距離かどうかを確認しましょう。
2. 費用の内訳
月額費用だけでなく、おむつ代・医療費・レクリエーション費など追加でかかる費用も確認が必要です。
3. スタッフの雰囲気
見学時には、スタッフが入居者にどのように接しているかをよく観察しましょう。言葉遣いや表情から施設の質が見えてきます。
4. 医療体制
看護師の配置時間、提携病院、夜間の緊急対応など、万が一への備えを確認しておくと安心です。
5. 退去条件
介護度が上がった場合や長期入院した場合にどうなるか、事前に確認しておきましょう。
気になる施設があれば実際に見学し、複数の施設を比較したうえで検討することをおすすめします。
著者:中谷 ミホ
福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。
保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級