シニアと行きたい旅行プランをトラベルライターの間庭典子がご紹介! 今回は2023年11月にオープンしたばかりの麻布台ヒルズで、みなでシェアできる美食を堪能。最新の東京を探検しましょう!

1. ラグジュアリーな都心の村、麻布台ヒルズを散策し、美食を堪能!

東京の真ん中にいきなりひとつの村が出現! そんな驚きを隠せなかったのが、今年11月に開業した麻布台ヒルズです。日本一高い高層ビル「タワープラザ」と、まるでジブリの映画に登場しそうなゆるやかな曲線が美しい低層ビルの「ガーデンプラザ」の全く趣の異なる建造物が見事に調和。オフィスやレジデンス、商業施設のほかに医療センターや学校もあり、まさに村! グリーン&ウェルネスをコンセプトにしているだけに、敷地内には果樹園や菜園もあるなど、豊かな自然に囲まれています。
 
六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、虎ノ門ヒルズなど、このエリアには大型施設が多いのですが、この麻布台ヒルズに感じたのは、「上質な日常」。たしかにラグジュアリーなのですが、きらびやかな非日常ではなく、毎日の生活をグレードアップしてくれる現実感のある店舗や施設が揃っているように感じました。つまりセレブの日常⁈

飲食店も同様。上質なものを大事にいただく。時にはシェアすることで、それぞれにとっての適量を。感動もシェアできるごちそう、は麻布台ヒルズの名店ならではの傾向でもありました。

これ、シニア世代にはうれしいポイントじゃないですか? せっかくのフルコースや懐石料理も、すべてを食べきれずに残してしまうと、なんだか罪悪感が・・・・・・。美味しいものを、ちょっとだけでいいのに――そう悩むシニア層も多いはず。
そこで今回は、麻布台ヒルズで、シェアして味わう、最高の美食スポットをご案内します。
 

写真下:カジュアルなイメージのタイ料理も洗練されたインテリアとお料理の「サーワーン ビストロ」。
ラグジュアリーな都心の村、麻布台ヒルズを散策し、美食を堪能!

2. 三國シェフによるメインをシェアする本格フレンチ「ダイニング33」

眺望が見事な森JPタワーの33階の「ダイニング33」は、あの三國清三シェフによる本格的なフレンチレストラン。革新的なのはメインをみなでシェアするスタイルを提案していること。

例えば11,000円のディナーでは、端正な前菜やパイ包み焼きのスープなどは個別にサーブされ、青森沖平目の塩昆布焼き、フランス産うずらのファルシーフォアグラ詰めなどの魚料理と肉料理は迫力のある大皿として提供される。お料理を囲んで、取り分けることで親密さも増し、会話も盛り上がる。それぞれが食べられるだけ盛るという安心感も。

ランチは同じくメインをシェアする6,000円のコースと、一皿にスープからデザートまでの6品が乗った美しい3,000円のワンプレートメニュー。本当に上質なものをいろいろと味わえるのがうれしいのです。

入居企業の拠点となる会員制の「ヒルズハウス麻布台」内ですが、このグランビストロは誰もが利用できます。内部に侵入!みたいなワクワクした気持ちになれるのも醍醐味です。

ダイニング33

写真下:グランビストロ「ダイニング33」のコース例。肉料理などのメインはシェアするスタイル。
三國シェフによるメインをシェアする本格フレンチ「ダイニング33」

3. オープン後、約半年で星を獲得したモダンなタイ料理「サーワーン ビストロ」

オープンしてわずか7カ月後にミシュランガイドの一つ星レストランとなったバンコクで話題のモダンタイレストラン「サーワーン」が麻布台ヒルズに上陸! タイのベストレストランにも選ばれた洗練されたモダンタイ料理を、気の張らないビストロスタイルで、取り分けながらいただけるのがうれしい。生うにと卵黄の焼きディップもち米スティック、魚貝と鰹節のスープなど、伝統的なタイ料理でありながら、なじみのある食材やだしが積極的に使われているのも、おすすめポイント。初めての味なのにどこか懐かしい感覚になるんです。

メインのカレーもシェアして少しずつ味わえるのがいい。真鯛と素麺のターメリックカレー、和牛サーロインのマッサマンカレーなど、食べ応えがあり、これもタイカレーなの?という驚くでしょう。

「サーワーン ビストロ」ではスイーツもぜひ試して。世界女性パティシエチャンピオンシップ大会に、タイ人として初めて招かれたペーパーさんの繊細で優しい味に感動します。スタイリッシュなバーカウンターで味わうタイスタイルのカクテルも美味しいですよ。

サワーンビストロ
 
写真下:タイカレーというよりはカレー風味のメインディッシュという印象を受ける美しい盛り付け。
 
オープン後、約半年で星を獲得したモダンなタイ料理「サーワーン ビストロ」

4. 修善寺の名旅館の鉄板焼きをカウンターで味わう「おちあいろう ステーキハウス 東京」

修善寺の老舗旅館「落合楼」に本店を構えるステーキハウスも初の東京進出です。ディナーはコース仕立ての鉄板焼きで、茶わん蒸しや手巻き寿司、カニクリームコロッケ、やわらかなタンシチューなどのお料理が続き、メインは赤城和牛サーロインステーキ。デザートのプリンを含めて10品続く、充実のコースですが、ステーキや〆のガーリックライスは分けられるので、食べきれなかったらシェアできて安心です。

そしてもう一つのご馳走が窓からの眺め。きらめく夜景とビルに反射する東京タワーに胸がときめきます。まるでドラマの1シーンのよう! ランチは4000円のコースから、ディナーは11000円 です。
 
さまざまな旅館やホテル、飲食店を手掛けるバルコニーの系列店は同じフロアにお寿司屋さんやバーなども並んでいるので、気に入ったらリピートしてみるのもいいですね。

おちあいろう ステーキハウス 東京

写真下:カウンター席のみなので、目の前で焼いてくれる手さばきと夜景を楽しめる。
修善寺の名旅館の鉄板焼きをカウンターで味わう「おちあいろう ステーキハウス 東京」

5. 「ピザ フォーピース 東京」の焼き立てピザをシェアし、サステナビリティについて考える

通りに面したガーデンプラザの「ピザ フォーピース 東京」は、持続可能性=サステナビリティをテーマにしたレストランです。地球の未来のために自分たちができることは何か、を考えるきっかけとなるようなメッセージが込められ、メニューも雑誌のようなボリューム。お料理の説明だけでなく、野菜や小麦などの生産者や、家具や器、ナプキンにいたるまで作り手の思いと、伝える記事が満載なんです。

美味しいピザに欠かせないチーズは店内の工房で製造。ガラスの仕切りからミルクを撹拌する作業風景なども見学できます。自家製のモッツァレラチーズはもちもちでフレッシュ! チーズ製造時にできる乳清、ホエイは廃棄物にせず、サワーなどドリンクの材料にしたり、器にアップサイクルするなど、活用しているのもこのお店ならでは。
 
今回日本初上陸したベトナムで大人気のこのピザ屋さん。実はIT企業から独立した日本人夫婦が起業した逆輸入レストラン。素材を活かしたピザやサラダは、シニア層にもおすすめの優しい味。孫とともにピザを囲んで乾杯、なんてシーンに最適です。

ピザ フォーピース東京(Pizza 4P’s)

写真下:店内の工房でつくったチーズがフレッシュ! ホエイを材料にしたドリンクも好評。
「ピザ フォーピース 東京」の焼き立てピザをシェアし、サステナビリティについて考える

6. 「蕎麦前 山都」で粋に呑んだあとは、大せいろを囲み、味比べで盛り上がる

代々木上原の名店「蕎麦前 山都」も六本木ヒルズに続き、麻布台ヒルズタワープラザ3階に出店。板わさやそば味噌などお蕎麦屋さんならでのつまみで飲んで、4人前の大せいろを2000円をみんなでシェアするというスタイル。汁は別料金なので、もりつゆ、なめこ、濃厚ゴマなどから好きな味をいくつでも選び、味比べができます。

蕎麦屋の牡蠣せり鍋、焙煎黒カレーしゃぶしゃぶなども2人前からあり、シェアしやすいんです。シニア世代ならほっとする味ばかりで間違いなし! だしがじんわりしみた料理が胃に優しく、日本酒やワインも豊富なので、一時帰国したが海外在住の友人とちょこっと呑むときなどにも重宝しています。

蕎麦前 山都

写真下:伝統的な蕎麦屋さんの料理が驚くほどスタイリッシュな空間で楽しめる。
「蕎麦前 山都」で粋に呑んだあとは、大せいろを囲み、味比べで盛り上がる

7. 「ラシーヌ」の見目麗しいアフタヌーンティープレートで、豊かな時間を過ごす

全国60以上の生産者とつながり、オーガニック野菜を生かした料理と自然派ワインを提供する「ラシーヌ」もタワープラザ3階にオープン。色彩豊かなリースサラダや自家製ピタパンとフムスなどもおすすめですが、3時から18時までの、麻布台ヒルズ限定のアフタヌーンティープレート4500円はぜひ試してほしい! フルーツタルトやエクレア、苺のスープなど一口サイズのスイーツだけでなく、エッグサンドやスコーン、カプレーゼピンチョスなどもあるので、軽食としてもよさそう。スリランカ産の完全無添加茶葉の紅茶はフルーティー。何杯でも楽しめます。

お向かいには新業態の「ミモザ ナチュラルワインスタンド」があり、15時からワインの角打ちも始まります。ワイン以外に人気のドーナツや、オリジナルのジャムも並ぶので、おみやげ探しにもぴったりです。

ラシーヌ

写真下:スイーツだけでなくサンドイッチなどもあるので、遅めのランチをとるのにもおすすめ。
「ラシーヌ」の見目麗しいアフタヌーンティープレートで、豊かな時間を過ごす

8. さいごに

広大な敷地にそれぞれ個性的なスポットがあり、テーマパークのようにわくわくする麻布台ヒルズ。はっきり言って迷宮です! どのルートで目的地に行くかを、下見してみるのもいいけれど、せっかくなのでこの迷子状態を楽しんで。東京タワーとの絶景や、都心とは思えないほどの緑など、さまざまな景観に出会えますよ。
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著者:間庭典子(まにわのりこ)

中央線沿線の築30年以上の一軒家に後期高齢者の両親と同居する50代独身フリーランス女子。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)「mc Sister」編集者として勤務後、渡米。フリーライターとして独立し、女性誌など各メディアにNY情報を発信し、「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」(講談社)などを発行。2006年に帰国し、現在は日本を拠点に、旅、グルメ、インテリア、ウェルネスなど幅広いテーマの記事を各メディアへ発信。旅芸人並みのフットワークを売りとし、出張ついでに「研修旅行」と称したリサーチ取材や、さびれた沿線のローカル列車で進む各駅停車の旅を楽しむ。全国各地の肴を味わえる地元の居酒屋やスナックなどの名店を探すソロ活動も大好き。

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