シニア世代の親と行きたい旅をトラベルライターの間庭典子がプランニング。今回は世界遺産・厳島神社へ参拝し、この春、宮島口の駅近くに開業した「HOTEL FORK&KNIFE Miyajima」で広島の味覚を堪能するコース。絶景のサーマルスプリングでは、温泉やサウナも楽しめます。

1. 厳島神社で祈り、広島の豊かな食でリトリート

平和を祈りたい今こそ訪れたい広島。そう思うインバウンド客も多く、広島は東京、京都、富士山に次ぐ人気の旅先として、海外からのトラベラーでにぎわっています。世界遺産にも登録された厳島神社がある宮島も、同様に人気ですが、今までは宿泊施設があまりなく、日帰りで訪れる人がほとんどだったのとか。しかしこの4月、宮島口の駅の近くにモダンでユニークなホテルがオープンしました。その名も「HOTEL FORK&KNIFE Miyajima」。なんとも食いしん坊心をくすぐるネーミングです。


監修ディレクターの石浜綾シェフ
監修ディレクターの石浜綾シェフ。手技やグリルを目の前で見られるカウンター席もある



その名の通り、一番の目玉はそのお料理! ディナーでは広島の旬の食材を生かした創作料理が提供されます。朝も土鍋で炊いたほかほかご飯のお供として様々な広島の食材がお目見え。瀬戸内海の幸あり、山ではきのこや山菜がとれ、ブランド牛や鶏などの大地の恵みあり、広島の食材は本当に豊かなのです。うーん、これは期待できる!



2. 和の美意識を現代的に昇華した建築デザイン

伝統的な日本の美と、モダンを追求した機能性がいいあんばいにミックスされたこのホテル。チェックインも最先端です。いわゆるフロントデスク的なものはなく、エントランスに入ると、スタイリッシュなギャラリーやバーが目に入ります。手続きはその前にあるチェックインカウンターで。飛行機の自動チェックインのような感覚です。予約後にメールで送られてきた情報を入力すると、客室やサーマルスプリングに入るためのQRコードとナンバーが表示され、これをかざせば(もしくはダイヤルすれば)簡単に開錠されるというわけ。このシステムに慣れてしまえば、キーを持たずに過ごせて快適です。


HOTEL FORK&KNIFE Miyajima
右が展示スペース、左にあるのがチェックインカウンター。奥にバーやラウンジ、レストランが続く



伝統的な日本建築の意匠を取り入れた空間は、数寄屋建築の名匠『中村外二工務店』で研鑽を積んだ建築家・美術家 佐野文彦氏が設計。木材や石など自然界にある素材を使い、端正さとぬくもりを兼ね備えるデザインに仕上げています。厳島神社の能舞台から着想を得たという展示スペース、広島でつくられた提灯のやわらかな光など、ローカルを感じるモチーフも点在。レストランやサーマルスプリングに置かれた家具は広島の木工家具メーカー、マルニ木工のもの。囲炉裏を囲むサロンラウンジや1958年、復興の途上にあった広島の姿を収めた写真集『Hiroshima 1958』を閲覧できる「The STUDY」など、日本の文化や歴史に触れるパブリックスペースも各所にあり、館内だけでも楽しく過ごせます。メインエントランスの展示や「The STUDY」など、ホテルが発信するカルチャーのキュレーションにも参画している中本健吾さんによるセレクトショップ「ref.Miyajima」も必見です。

3. 10タイプの客室はどれも木のぬくもりを感じる和モダン

各客室にも障子や柱などがモチーフとして取り入れられ、スタイリッシュなのになんとも和める和モダンなデザイン。10タイプある各客室は旅の目的や気分によって選べます。例えば25~30㎡の檜香―Hinokaには小上がりがあり、天井にモダンさが感じられるなど、コンパクトでありながら縦の奥行きのある空間に。宮島側を見渡せるテラスがついた瀬音―Seoto、バリアフリールームの漣―Sazanamiなど、同じくらいの広さの部屋でも、それぞれ趣向が異なったデザインとなっています。


HOTEL FOLK & KNIFE 
部屋には高津堂のもみじ饅頭が。フォークでいただくとなんだかスタイリッシュ



3人で滞在できるタイプもいくつかあり、宮島を望めるテラスと眺望浴室つきで4名まで滞在できる潮騒―Shiosaiなどは、家族旅行におすすめ。プレミアムスイート翠―Midoriにはなんとプライベートサウナや露天風呂、キッチンも完備で、180㎡という驚きの広さです。


miyajimaf&k_shiosai
靴を脱いで畳でくつろげる座敷を取り入れた「潮騒」



今回は宮島ビューを楽しめるテラス付きの部屋に滞在。まったりとお茶を飲んでくつろげるよう急須や茶碗もそろい、広島ならではの定番おみやげ、もみじ饅頭も。そしてその器やフォークがなんともおしゃれなのです。使われている器などは「ref.Miyajima」で購入可能なので、家でもマネしたい! 

4. 絶景、宮島ビューのサーマルスプリングで非日常を体験

このホテルのロケ―ションを生かした施設がサーマルスプリング。男女混浴、水着着用で利用する温泉やサウナのことです。テラスではパノラマビューを眺めながらゆったりと整うことができますよ。シニア世代との旅行は、大浴場で転んだりしないか、のぼせないかと心配になることもありますが、みんなで入れる温浴施設ならば、目も配れて安心です。家族そろってサウナで整うなんて、なかなか愉快な体験かも。


サーマルスプリング
早朝の朝焼けサーマルスプリングも風情あり。テラスからは宮島を見渡せます



デッキは目の前に宮島が見渡せる絶景。到着したのが日曜日だったので、目の前の宮島ボートレースが眺められて、そのスピードと迫力にかなり興奮しました。家族でボートレース観戦なんて楽しそう。宮島の楽しさをまた一つ知りました。このデッキはゆったりと過ごせるので、文庫本を手に読書タイムなどもいいですね。

5. 広島の味覚を味わい尽くす、クリエイティブな焚火料理

旅のメインイベントは広島の旬の食材を味わう美食体験です。地域に根差した食文化や食材、そして伝統的な調理法によるローカルガストロノミーは「HOTEL FORK&KNIFE Miyajima」ならでは。日本の縮図とも呼ばれる自然環境を誇る広島県。ミシュランガイド一つ星の魚介レストラン「abysee」でスーシェフを務め、現在はビストロ「PEZ」で腕を振るう石浜綾シェフが、その多彩な地形によって得られる食材の魅力を引き出すコースを創作します。


魚料理
和の要素を取り入れたローカルガストロノミー。広島のワインや地酒とのペアリングも



コースは飛龍頭のすりながしから始まり、旬野菜(訪れたときは瑞々しいかぶでした!)と焼き昆布のグリル、発酵レモンを添えた真牡蠣、茶碗蒸しと続きます。どのお料理も滋養がありそうな優しい味。豆乳やヨーグルトなどが隠し味になっていたりして、体の奥から元気になれそう。地鶏や広島牛などのグリル料理も美味! カウンター席だったので、目の前で燃え上がる焚火には圧倒されました。〆は土鍋で炊いた穴子飯です。食べきれない分はお夜食のおにぎりにしてくれたのもうれしかったです。

デザートを含め11皿の充実したコースにはぜひお酒のペアリングを。「山のめざめ」のシャルドネなど、広島のワイナリーを中心とした各種ワイン、灘・伏見と並ぶ日本三大酒どころと呼ばれる東広島市西条の白牡丹酒造の「萌えいぶき」など、広島の食材にあう逸品をセレクト。クリエイティブなこのコースがより奥深く感じました。

6. ディナー後のバータイムや、爽快な朝ごはんにも大満足

ディナー後には夜の宮島散策へ。ライトアップされた厳島神社の鳥居が荘厳、と聞いてフェリーに乗りました。観光客がほとんどいない宮島は7時過ぎでも真夜中のような静けさ。鹿たちもまどろむようにひとところに座り、うとうととしていました。JR西日本宮島フェリーの場合、宮島口へ戻る最終便が22時14分なので、夜の宮島散策も余裕をもって楽しめます。夕暮れ時の宮島を参拝し、その後、ディナーというのもいいですね。

ホテルに帰った後はバータイムを満喫。これがまた、楽しかった! ディナーのペアリングで様々な広島のワインや日本酒を味わったのですが、まだまだこんな奥深い広島の味があったとは…! カクテルや広島のクラフトジン「桜尾」など、さまざまなお酒を飲み比べ。あとは寝るだけなので、心ゆくまで味わい、語りつくしました。ホテル内のバーならではの安心感です。


朝ごはん
瀬戸内ちりめん山椒やさつまいもレモンなど炊きたての土鍋ご飯が進むお皿が並ぶ



朝ごはんは炊き立て土鍋ご飯。絶妙なバランスのお膳で、天然さわらのゆず風味幽庵焼きと、パセリの香りが際立つマリネ仕立てのお刺身には感動! やはり米には魚だね、とうなずきたくなる美味しさ。女鹿平舞茸のお味噌汁、穴子の茶碗蒸しなど、ディナー同様、広島の旬を満喫できる献立。ヘルシーなおかずばかりで罪悪感がないのです。 ほんのりと焦げたおこげ部分が香ばしく、何杯もお代わりしてしまいました。

7. 広島の旬の美味しさを、宮島口の魅力を再発見する旅

早朝の厳島神社参拝も清々しく、朝のサーマルスプリングも爽快。12時のチェックアウトまで満喫し、懐かしくて、斬新な宮島滞在を楽しめました。

久々に訪れた宮島口のフェリーの乗り口は驚くほど観光地化され、通過点にするのはもったいないと感じました。「宮島から一番近い牡蠣小屋」ではなんと牡蠣の食べ放題も! さすがに食べ放題は50代では厳しいかな、と断念し、「ちょい食べ」を選択。とはいえ10個山盛りの牡蠣なので、大満足でした。


牡蠣小屋
 「宮島に一番近い牡蠣小屋」では平日80分3723円で牡蠣食べ放題というプランも



またカープのおひざ元、広島らしく、観光案内所にはカープの新人選手の企画展が。これが野球に疎い私でも楽しめる展示でした。新人寮の人気選手の部屋を忠実に再現したり、新人選手の生活をクイズ形式で学べる内容で、親しみや広島県人のカープ愛を感じました。

広島駅の周辺も大開発され、スタジアムもリニューアル。野球観戦やサッカー観戦のついでに訪れるのもよさそう。進化した広島を、宮島口を、ぜひ体感しましょう。




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著者:間庭典子(まにわのりこ)

中央線沿線の築30年以上の一軒家に後期高齢者の両親と同居する50代独身フリーランス女子。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)「mc Sister」編集者として勤務後、渡米。フリーライターとして独立し、女性誌など各メディアにNY情報を発信し、「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」(講談社)などを発行。2006年に帰国し、現在は日本を拠点に、旅、グルメ、インテリア、ウェルネスなど幅広いテーマの記事を各メディアへ発信。旅芸人並みのフットワークを売りとし、出張ついでに「研修旅行」と称したリサーチ取材や、さびれた沿線のローカル列車で進む各駅停車の旅を楽しむ。全国各地の肴を味わえる地元の居酒屋やスナックなどの名店を探すソロ活動も大好き。

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