シニアと行きたい旅行プランをトラベルライターの間庭典子がご提案。今回は春日大社、東大寺、興福寺などの数々の世界遺産をお参りできる奈良の旅。最近ではユニークなホテルやおしゃれなスポットも増え、今、注目のデスティネーション(旅先)なのです!

1. 静けさの中の憩い~愛にあふれた宿を拠点に、スマートに移動

東大寺、興福寺、春日大社や平城京跡など、歴史の舞台となった遺跡や神社仏閣を巡る奈良の旅。インバウンド=海外からの旅行者で京都の観光名所は混雑し、需要が高まるにしたがってホテルの価格も上がるばかり。ならば奈良まで足をのばしてはいかがでしょう? 京都駅からJRの快速で55分、近鉄特急では52分と1時間弱でいけるとあって、京都を拠点に日帰りで訪れる人が多かったのですが、夕暮れの奈良、早朝の奈良も過ごせる宿泊を選ぶべき! 春日大社を貸切るかのように参拝できますよ! 最近ではユニークなホテルが次々と開業し、旅ジャーナリストの間でも奈良は注目されています。JR東海による鈴木亮平さんが旅する「いざいざ奈良」、杏さんが出演する近鉄グループの「わたしは奈良派。」などのCMでも今年は話題になりました。

紅葉が見事な秋も絶好の旅行シーズンですが、しんとした静けさを感じる冬にも見どころがいっぱい。そして春日大社境内の「飛火野(とびひの)」での鹿寄せも冬の風物詩です。1年の厄を払う年末の奈良、新年の抱負を誓う新春の奈良、どちらもおすすめです。


写真下:週末などの朝に行われる鹿寄せ。ナチュラルホルンの音色に誘われ、鹿たちが大集合します。

静けさの中の憩い~愛にあふれた宿を拠点に、スマートに移動

2. やはり神社仏閣。宿泊するからこその早朝散歩の楽しみも

奈良は曙、と声を大にしたくなるほど、私は夜明けの奈良が好き。まだ薄暗い中、紫から白へ、そして青くなっていく空を見ながら歩く古都は幻想的で、昼間とは全く違う神話の世界のような光景です。冬のつとめて(早朝)も清々しい。そしてそんな風景の中、ひょいと現れる鹿たちにも癒されます。前日に鹿せんべいも買い込み、まだ寝ぼけまなこの鹿たちにそっと差し出すと「え? なんでここでおせんべくれるの? きゃ~~!」みたいな表情をされて、ちょっとしたアイドル並みの気分を味わえます。春日大社の開門時間は11月から2月は7時から、3月から10月は6時半ですが、参道は開放されているので、ウォーキングをしている地元の人もいて、のんびりと散策ができます。毎日行う朝のお勤め、朝拝に一般参拝者が参加できる日もあるのでサイトのカレンダーでぜひチェックして。神職の指導があるので、知識がなくても安心して参加できますよ。参加費は無料で8時50分から約20分ほどです。秋・冬の春日大社は夜間参拝と回廊釣灯篭への献灯体験など、神職や御巫さんが案内してくれる参拝企画がいろいろあるので、参加してみるのもいいですね。

奈良には多くの遺跡や神社仏閣がありますが、ぜひ体感してほしいのが平城京の雄大さ。とにかく信じられないくらい広いのです。南北約4.8km、東西約4.3kmというから驚きですよね。710年から784年までの奈良は日本の中心地で、こんなに栄えていたんだ、としみじみ感じます。

平城京跡歴史公園は、2015年「復原事業情報館」を開設、2018年に朱雀大路を中心に観光拠点ゾーンとして整備していた「朱雀門ひろば」「平城宮いざない館」、そして2022年に第一次大極殿院南門の復原が完成するなど、ここ数年で大きくリニューアルされた施設。休憩スポットや土産店も充実しています。


写真上:「710(なんと)大きな平城京」の広さ、そして朱雀門の迫力には圧倒されます。ライトアップも幻想的。

3. 今までにないユニークで、洗練されたホテルも続々オープン

奈良は日本を代表するクラシックホテル、奈良ホテルがあることでも有名です。奈良公園に隣接していることもあり、敷地内にふらりと鹿が現れるなど……奈良ならではの滞在が楽しめました。優雅な老舗ホテルがある反面、宿泊施設が少ないため、日帰り奈良観光を選ぶ人も多かったのですが、最近では滞在してみたくなるユニークなコンセプトの宿が次々に開業しています。

猿池からも近い「セトレならまち」はサステナブルを共に考え、環境に優しいビオヤード(環境循環型庭園)があるホテル。日本最古の植林の歴史を持つ奈良県南部の吉野地方で育まれた木材を新築資材やインテリアに使用し、このウッドパウダーや米ぬかを使用した発酵温熱沐浴も体験できます。ビオヤードには鶏もいて、朝はコケコッコーの鳴き声で目覚めます。宿泊者専用のラウンジではソフトドリンクだけでなく、生ビールや各種ワイン、純米吟醸酒も自由に飲めます。「三方(みかた)格子」という、釘や金具を一切使わない工法で作られた茶室、マイスタールームは鑑賞するだけでなく、ラウンジの一部として開放され、お茶を飲みながらくつろげます。他にも音楽を楽しめるライブラリーや五重塔を目の前に望む星宙テラスなどもあり、館内でゆったり過ごせるのです。


写真上:「セトレならまち」のラウンジにあるマイスタールーム。曲線を描く吉野杉の座椅子もアーティスティック。

4. 撮りたくなるデザインが光る奈良の最先端ホテル

奈良は古くから続く酒蔵がある清酒発祥の地。歴史ある酒蔵のお蔵や茶室の意匠を生かした「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」は全8室のラグジュアリースモールホテルです。「SAKE HOTEL」をコンセプトに、豊澤酒造の日本酒と地産地消にこだわったフュージョン料理のペアリングを堪能できます。風情が残る街並みを散歩しつつ、試飲のできる酒蔵を巡るのもいいですね。近所にある春鹿酒造の酒蔵ショップは10時からオープンしており、1人700円で5種類のお酒を試飲できるプランも。底にキュートな鹿が彫られているガラスのおちょこはそのままおみやげとして持ち帰れます。

さまざまな洗練されたモダンなホテルブランドを展開しているマリオットホテルグループでも、「JWマリオット奈良」が開業され、話題になりました。洗練されたロビーやラウンジにも鹿や吉野杉など奈良を感じるモチーフや素材が取り入れられ、ラグジュアリーだけれどほっと和めます。このくつろぎこそ奈良の懐の深さ。そしてオールディダイニングの「シルクロードダイニング」では、大陸から伝わったスパイスを生かした創作料理を提供しています。マリオット系には他にも、伝統的な空間をモダンに進化させた「紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良」や日本最古の道と言われる山の辺の道にある「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」など、ユニークな宿が多いのです。


写真上:酒蔵の面影を残しつつ、機能的でモダンなデザインに昇華した奈良ならではの宿「NIPPONIA HOTEL奈良 ならまち」。


5. どんどんおしゃれに進化する今こそ、いざ奈良へ!

平城京の近くに位置する「ノボテル奈良」は2024年9月にオープン。イタリアンレストランやスパ、大浴場もあるモダンで機能的なホテルです。2024年4月に開業し、全国各地で展開している「グランドメルキュール奈良橿原」には温泉もあります。宿泊代金に飲食代や温泉やジムの施設使用料などが含まれているオールインクルーシブのプランがあるのもうれしいポイント。ラウンジのスパークリングワイン、赤ワインや白ワイン、ビールなどのお酒やおつまみも自由に選べるので、ゆったりと滞在できます。若草山から見渡す絶景風呂のある「ANDO HOTEL奈良若草山」もフォトジェニック!

街も宿も奈良はどんどんスタイリッシュにバーションアップしています。スタイリッシュな施設も必見です。例えば奈良県コンベンションセンター内にできた奈良蔦屋書店はBook&Caféを楽しむ居心地の良い空間で、店内にはアート作品や室内庭園まであり、奈良の魅力を再発見できます。ゆったり読書するなんて豊かな時間ですよね。

2021年に猿池の近くにオープンした鹿猿狐ビルヂングは「日本の工芸を元気にする!」がコンセプトの中川政七商店による複合施設。歴史ある旧家屋や蔵を改装したギャラリー、奈良のものづくりが活きた商品を置くショップ、奈良の風土を味わえる飲食店が並ぶ空間で、さらにコワーキングスペースまである街の拠点なのです。

今こそ訪れたい奈良。奈良市のふるさと納税の返礼品には人気ホテルの宿泊券や旅行クーポンもあり、奈良への旅がより身近に。1年の厄を落とす年末の旅、夢を祈願する新春の旅にも最適なまほろばの南都。この冬、ぜひ訪れみてはいかがでしょう?


写真上:「なぜここであなたに会えるの?」という表情の鹿たち。大自然が身近にあるのも奈良市の魅力。


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著者:間庭典子(まにわのりこ)

中央線沿線の築30年以上の一軒家に後期高齢者の両親と同居する50代独身フリーランス女子。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)「mc Sister」編集者として勤務後、渡米。フリーライターとして独立し、女性誌など各メディアにNY情報を発信し、「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」(講談社)などを発行。2006年に帰国し、現在は日本を拠点に、旅、グルメ、インテリア、ウェルネスなど幅広いテーマの記事を各メディアへ発信。旅芸人並みのフットワークを売りとし、出張ついでに「研修旅行」と称したリサーチ取材や、さびれた沿線のローカル列車で進む各駅停車の旅を楽しむ。全国各地の肴を味わえる地元の居酒屋やスナックなどの名店を探すソロ活動も大好き。

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