「介護」と「シニアケア」という2つの言葉。現実の場面ではこれらを補完的に使うこともあるかと思います。本記事では、両者の意味合いや範囲の違いを整理し、MySCUEが大切にしている「介護」に留まらない「シニアケア」の概念についてお伝えします。

1. 「シニアケア」と「介護」の基本的な違いとは?

親の介護を考え始めると、まずこれらの言葉の違いが気になるかもしれません。それぞれの言葉が持つイメージと範囲を整理してみましょう。


1.1. 「介護」が指すものとそのイメージ

一般的に「介護」は、日常生活を送る上で支援が必要になった高齢者や心身に障がいのある方に対して行われる、具体的なケア行為や介護サービスを指すことが多いです。

◾️具体的なケア
食事、入浴、排せつの介助、着替えの手伝い、体位変換など、生活に不可欠な直接的な援助。


◾️サービスのイメージ
介護施設(特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど)、在宅介護サービス(訪問介護、デイサービス、ショートステイなど)


◾️心理的なイメージ
「突然始まる」「大変」「義務感」「避けたい」といった、少しネガティブで受動的な印象を持たれがち。


「介護」は、特定の状態やサービスを示す明確な言葉ですが、その分、対象となる範囲が限定的で、「必要に迫られて行うもの」というイメージが強いかもしれません。


1.2. 「シニアケア」が持つ広い意味とポジティブな側面
一方、「シニアケア」は、より広範で長期的な視点を持つ言葉です。MySCUEでは、介護が必要になる前の予防的な段階から、実際に介護が必要な段階までを含め、さらに高齢期の生活全体の質(QOL)を高めるための全ての関わりを「シニアケア」と捉えています。

シニアケアの概念図

◾️時間的な広がり
・介護予防段階: 健康寿命を延ばすための取り組み(健康診断の推奨、バランスの取れた食事、適度な運動)、将来に備えた住環境の見直し、社会参加の促進など。

・軽度支援段階: 日常生活でのちょっとした困りごとへのサポート(買い物代行、掃除、電球交換、ゴミ出しの手伝いなど)。見守りや安否確認。


・介護段階: 上記「介護」で述べたような具体的なケアやサービスの利用。


◾️内容的な広がり
・生活支援: 家事援助、食事の宅配、移動支援など。

・健康管理: 定期的な健康チェック、服薬管理、持病の把握、リハビリテーション、認知症ケアの情報収集と備え。

・精神的・社会的ケア: コミュニケーション、孤独感の解消、趣味活動の支援、地域コミュニティとの繋がり維持。

・将来への備え: 終活支援(エンディングノート作成補助)、財産管理の相談、介護保険制度の情報提供、介護用品(杖、歩行器、手すりなど)選びのアドバイス。

「シニアケア」は、「介護」よりも主体的に、シニア本人や家族が人生の後半期をより良く生きるために、前向きに取り組む活動全体を指す、ポジティブなニュアンスを含む言葉といえます。介護との違いは、この範囲の広さと時間軸の長さ、そして「備える」「支える」「豊かにする」という前向きな姿勢があるということです。

2. シニアケアとは、未来を見据えた前向きな関わり

私たちMySCUEは、誰もがいずれ経験する「老い」とその変化を現実として受け止めつつ、「シニアケア」が介護を内包する、ポジティブで広範な概念として捉えることを提案します。

2.1. なぜ「介護」だけでなく「シニアケア」視点が重要なのか?
いつかは介護が必要になる可能性を理解した上で、早いうちから「シニアケア」という広い視野をもち、未来に備えることには、多くのメリットがあります。


◾️不安の軽減と精神的余裕
「突然の介護」にあわてるのではなく、「段階的なシニアケア」として捉えることで、精神的な負担が軽減され、冷静な判断がしやすくなります。

◾️本人の意思の尊重
親御さんなどのケアされる側の方が元気なうちから将来の希望(医療、住まい、生活など)について話し合うことで、本人の意思を尊重したケアプランを立てやすくなります。

◾️適切なタイミングでの対応
ケアされる方の体調の変化や生活のしづらさに早い段階で気づき、必要なサポートやサービスを適切なタイミングで導入できます。


◾️選択肢の確保
時間的な余裕があれば、さまざまな介護サービス(在宅介護サービス、介護施設など)や介護用品を比較検討し、最適なものを選べます。


「介護」という言葉の重さに捉われず、「シニアケア」という視点を持つことで、シニア本人も家族も、より前向きに将来と向き合うことができるのです。


2.2. MySCUEが「シニアケア」で大切にしたいこと
MySCUEは、「シニアケア」を通じて、単なる介護の準備にとどまらない、豊かな高齢期の実現を目指しています。


◾️変化への備えを楽しむ
健康、お金、住まい、家族関係など、変化していく状況を冷静に見つめ、情報収集や準備のプロセス自体を前向きに捉えます。


◾️情報とコミュニケーションの重視
最新の介護用品や便利なサービス、公的な支援制度(介護保険など)、専門家のアドバイス、そして同じ経験を持つ人々の声といった「情報」を共有し、対話(コミュニケーション)を通じて最適な解決策を見つけます。


◾️個々の価値観の尊重
一人ひとりの生活歴や価値観、希望を尊重した、オーダーメイドのケアの形をともに考えます。

3. サービスの種類と選び方のヒント

シニアケアの具体的な形はさまざまです。ここでは代表的なサービスの種類を紹介します。状況や希望に合わせてこれらを組み合わせることも可能です。


3.1. 在宅介護サービス
住み慣れた自宅で生活を続けながら利用できるサービスです。

◾️訪問介護 (ホームヘルプ)
ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護(入浴、排せつ介助など)や生活援助(調理、掃除、買い物など)を行います。


◾️訪問看護
看護師が訪問し、病状の観察、医療処置、服薬管理、リハビリテーション指導などを行います。

◾️デイサービス (通所介護)
日中に施設へ通い、食事、入浴、レクリエーション、機能訓練などを受けられます。社会的交流の場にもなります。


◾️ショートステイ (短期入所生活介護)
一時的に施設に宿泊し、介護を受けられます。家族の休息(レスパイトケア)や冠婚葬祭時などに利用されます。


◾️福祉用具レンタル・購入
介護ベッド、車いす、歩行器、手すりなどの介護用品をレンタルまたは購入できます。介護保険が適用される場合もあります。

3.2. 施設介護サービス
自宅での生活が困難になった場合に利用する入居型の施設サービスです。

◾️特別養護老人ホーム (特養)
公的な介護施設で、常時介護が必要な方が対象。費用は比較的抑えられますが、入居待機者が多い場合があります。


◾️介護老人保健施設 (老健)
在宅復帰を目指すためのリハビリテーションを中心としたケアを提供する施設。入所期間は原則3~6ヶ月程度。


◾️有料老人ホーム
民間企業などが運営する施設。設備やサービス内容が多様で、入居一時金や月額利用料も施設によって大きく異なります。(介護付、住宅型、健康型などの種類あり)


◾️サービス付き高齢者向け住宅 (サ高住)
高齢者向けの賃貸住宅。安否確認や生活相談サービスが付いており、必要に応じて外部の介護サービスを利用します。


◾️グループホーム
認知症ケアを専門とする少人数制の施設。家庭的な雰囲気の中で共同生活を送ります。


3.3. その他のサポート


◾️配食サービス

栄養バランスの取れた食事を自宅まで届けてくれるサービス。


◾️見守りサービス
緊急通報システムやセンサーなどを活用し、離れて暮らす高齢者の安否を確認するサービス。

◾️地域包括支援センター
高齢者やその家族のための総合相談窓口。介護保険の申請代行やケアプラン作成支援、地域のサービス情報提供などを行います。


【選び方のヒント】
どのサービスが最適かは、本人の心身の状態、希望する生活、家族の状況、費用などによって異なります。まずは地域包括支援センターに相談したり、ケアマネジャーにアドバイスを求めたりするのが良いでしょう。複数のサービスを見学・体験してみることも重要です。

4. 準備と心構え

「いつか」ではなく「今から」シニアケアを意識することで、いざという時に備えることができます。介護初心者でも始められるステップをご紹介します。

4.1. 親御さんとのコミュニケーション
最も大切なのは、親御さんとの対話です。

◾️健康状態や生活について
 最近の体調、困っていること、不安に思っていることなどを、さりげなく聞いてみましょう。


◾️将来の希望について
「もし介護が必要になったらどうしたいか」「どんな場所で最期を迎えたいか」など、デリケートな話題ですが、元気なうちに少しずつ話しておくことが、後々の大きな助けになります。エンディングノートなどを活用するのも良い方法です。


4.2. 情報収集と現状把握
漠然とした不安を解消するためには、まず情報を集め、現状を知ることが重要です。


◾️公的制度の確認
介護保険制度の仕組み、申請方法、利用できるサービスについて調べてみましょう。お住まいの自治体のウェブサイトや窓口、地域包括支援センターで情報を得られます。


◾️健康情報の共有
かかりつけ医、服薬内容、既往歴、アレルギーなどの情報を家族間で共有しておきましょう。お薬手帳の場所確認も忘れずに。


◾️経済状況の把握
年金収入、預貯金、保険、不動産など、介護費用に関連するおおよその経済状況を把握しておくことも大切です。(プライベートな情報なので、話しやすい関係性を築きながら)

◾️緊急連絡先の整理
親族、近隣の知人、かかりつけ医、地域包括支援センターなどの連絡先をリスト化しておきましょう。


4.3. 住環境のチェックと整備
安全に暮らせる環境を整えることもシニアケアの一環です。

家の中の危険箇所: 段差、滑りやすい床、暗い廊下など、転倒のリスクがないかチェックしましょう。
手すりの設置や段差解消: 必要に応じて、住宅改修(介護保険の住宅改修費支給を利用できる場合も)を検討します。
・整理整頓: つまずきの原因になるものを片付け、動線を確保します。


4.4. 専門家への相談
一人で抱え込まず、専門家の力を借りましょう。

◾️地域包括支援センター
高齢者の総合相談窓口。無料で相談できます。


◾️ケアマネジャー (介護支援専門員)
介護保険サービスを利用する際のケアプランを作成してくれます。


◾️医療ソーシャルワーカー
病院に在籍し、退院後の生活や医療費に関する相談に乗ってくれます。

5. ともに歩む「シニアケア」の未来へ

MySCUEは、高齢期を迎える方々とそのご家族が、安心して前向きに日々を送れるよう、信頼できる「情報」と、温かい「コミュニケーション」の場を提供することを目指しています。

MySCUEの情報サイトや店舗では、以下のようなシニアケアに役立つ多様な情報に触れることができます。


・最新の介護用品の情報や選び方のアドバイス
・介護保険制度や地域の支援に関する分かりやすい解説
・専門家(医師、看護師、ケアマネジャー、理学療法士、介護福祉士など)による健康管理やリハビリテーション、認知症ケアに関する知見
・介護を経験している方々のリアルな体験談や工夫

 

私たちは、これらの情報提供と、ウェブ・リアル双方での双方向コミュニケーションを通じて、あなたが抱えるシニアケアへの不安や負担を軽減し、最適な選択をするためのお手伝いをしたいと考えています。

「シニアケア」は、人生の新たなステージに備え、豊かに生きるための前向きな取り組みです。MySCUEは、その大切なプロセスに寄り添い、より良い未来を共に描いていきたいと願っています。



MySCUE会員登録への誘導



関連記事
介護、シニアケアのプチテーマパーク!? 〈MySCUEイオンスタイル品川シーサイド店〉来店レポート | MySCUE (マイスキュー)
薬剤師が教えるシニアケアに役立つお薬情報② 【薬を飲んでくれない方の介護】3つのポイント | MySCUE (マイスキュー)
きれいな指先でお母さんの心に「ときめき」を!シニアケア現場で注目の「福祉ネイル」 | MySCUE (マイスキュー)

この記事の提供元
Author Image

著者:MySCUE編集部

MySCUE (マイスキュー)は、家族や親しい方のシニアケアや介護をするケアラーに役立つ情報を提供しています。シニアケアをスマートに。誰もが笑顔で歳を重ね長生きを喜べる国となることを願っています。

関連記事

シニアの体型とライフスタイルに寄りそう、 2つの万能パンツ

2022年7月23日

排泄介助の負担を軽減!排尿のタイミングがわかるモニタリング機器とは?

2022年9月23日

暮らしから臭い漏れをシャットアウト! 革新的ダストボックス

2022年9月5日

Cancel Pop

会員登録はお済みですか?

新規登録(無料) をする